2020年9月5日(土)



「本日2020年9月5日(土)にEDINETに提出された全ての法定開示書類」



Today (i.e. September 5th, 2020), 0 legal disclosure document has been submitted to EDINET in total.

本日(すなわち、2020年9月5日)、EDINETに提出された法定開示書類は合計0冊でした。

 

 

2018年12月18日(火)のコメントで、ソフトバンク株式会社の上場に関する記事を計26本紹介し、
「有価証券の上場には4つのパターンがある。」という資料を作成し、以降、集中的に証券制度について考察を行っているのだが、
2018年12月18日(火)から昨日までの各コメントの要約付きのリンクをまとめたページ(昨日現在、合計627日間のコメント)。↓

各コメントの要約付きの過去のリンク(2018年12月18日(火)〜2019年4月30日(火))
http://citizen.nobody.jp/html/201902/PastLinksWithASummaryOfEachComment.html

各コメントの要約付きの過去のリンク その2(2019年5月1日(水)〜2019年8月31日(土))
http://citizen2.nobody.jp/html/201905/PastLinksWithASummaryOfEachComment2.html

各コメントの要約付きの過去のリンク その3(2019年9月1日(日)〜2019年12月31日(火))
http://citizen2.nobody.jp/html/201909/PastLinksWithASummaryOfEachComment3.html

各コメントの要約付きの過去のリンク その4(2020年1月1日(水)〜2020年4月30日(木))
http://citizen2.nobody.jp/html/202001/PastLinksWithASummaryOfEachComment4.html

各コメントの要約付きの過去のリンク その5(2020年5月1日(金)〜2020年8月31日(月))
http://citizen2.nobody.jp/html/202005/PastLinksWithASummaryOfEachComment5.html

各コメントの要約付きの過去のリンク その6(2020年9月1日(火)〜)
http://citizen2.nobody.jp/html/202009/PastLinksWithASummaryOfEachComment6.html

 

ユニゾホールディングス株式会社の被雇用者が行う「エンプロイー・バイアウト("Employee Buyout")」に関連するコメント
http://citizen2.nobody.jp/html/202001/CommentsWithRelationToAn'EmployeeBuyout'.html

 

 

 



2020年9月3日(木)日本経済新聞
米証取に新興「メンバーズ」 市場データ、大手寡占 風穴 モルガンなど出資 情報提供料下げ促す
(記事)



 

Members Exchange (Wikipedia)
ttps://en.wikipedia.org/wiki/Members_Exchange

The Members Exchange (MEMX) is an independently owned, technology-driven stock exchange
founded by members to serve the investing public.
The founding members, which include nine major financial organizations,
seek to transform markets around the goals of transparency, innovation, and competition
in order to align exchange services with the interests of market participants.
It is the only member-owned equities trading platform,
and competes with the major equity exchanges: NYSE, Nasdaq, and CBOE.


【参謀訳】
メンバーズ証券取引所(MEMX)は、世の一般の投資家達の役に立つことを目的として
会員達によって設立された独立して所有され技術によって運営されている証券取引所である。
設立を行った会員―その会員には9社の大手金融機関が含まれるのだが―は、
証券取引所のサービスを市場参加者の利益に合わせるために、透明性と革新と競争という目標を中心にして
株式市場を変革しようとしている。
メンバーズ証券取引所は、会員によって所有されている資本証券を取引するための唯一の立会場であり、
ニューヨーク証券取引所やナスダック証券取引所やシカゴ・オプション取引所のような資本証券の大手証券取引所と競合している。

 

 

Members Exchange
ttps://memx.com/

>Simplicity is the ultimate form of sophistication

【参謀訳】
簡素であるということが複雑であることの究極の形なのです。

 

 


有識者に聞く「米国に証券取引所が多い」理由
(M&A Online 2019-08-20)
ttps://maonline.jp/articles/ltse_memx20190820


米国には営業前のLTSE(ロングターム証券取引所)を含め23もの証券取引所がある。
MEMX(メンバーズエクスチェンジ)など認可待ちの取引所もあり、さらに増える見通しだ。
ロングターム証券取引所やメンバーズエクスチェンジとはどのような取引所なのか。
アメリカの証券取引所に詳しいLINE株式会社法務室長の山本雅道氏に最新の米国事情をお聞きした。

−米国の証券市場から撤退する企業が多いようですが、どのような状況なのでしょうか。

日本企業は主にニューヨーク証券取引所とナスダックに上場していますが、上場を取りやめる企業もあります。
それぞれの企業の事情があるとは思いますが、一つの理由としてはベネフィットとコストが合致しないことが考えられます。

−ベネフィットとコストとは具体的にはどのような内容ですか。

ベネフィットとは例えば、アメリカで実際に事業をやるのであれば、上場によって知名度やブランドイメージ、
信頼性などが上がります。事業を行わなくても、グローバルに展開している企業イメージやアメリカでビジネスをする際の
下地を作るといったことも考えられます。
 主なコストには、開示に関する費用をはじめとした、証券取引法など様々な米国法のコンプライアンスコストが挙げられます。
例えば、アメリカでは日本の有価証券報告書に当たる20-F(トゥエンティエフ)だとか、日本の臨時報告書に当たる
6-K(シックスケイ)などをSEC(米国証券取引委員会)に提出する必要があります。
 これらはただ日本語の報告書を英訳すればよいというものではなく、アメリカの法律に照らし合わせてチェックする
必要があります。こうしたベネフィットとコストが合わなくなっていることが、上場を取りやめる理由になり得ます。

−米国には多くの証券取引所がありますね。

SECのホームページを見ますと、2015年に18だった取引所が2018年には23になっています。
23の中にはグループ会社として何カ所か持っている企業があったり、証券取引所として登録していますが、
実際は先物取引だけを行っているようなところもあったりします。
報道によるとロングターム証券取引所は14番目の認可というような表記もあります。
いずれにしても数多くあるのは間違いなく、登録ということでは23ということになります。

−今後も増える見通しですが、なぜこんなに取引所が多いのでしょうか。

基本的な考え方として取引所がたくさんできれば、そこで競争が生まれ、投資家にとっていい環境ができ、
市場が健全になるからということのようです。

 


−米国の証券市場は日本と大きく異なるのですか。

証券取引所でアメリカと日本との一番の違いは、日本は上場している取引所でないと取引ができません。
例えばLINEは東証一部に上場していますので、取引できる取引所は東証に限定されます。
アメリカではどこに上場するのかと、どこで取引されるのかは、必ずしも一致しません。
ニューヨーク証券取引所に上場している株であっても、ほかの証券取引所で取引ができることが通常です。
さらに証券会社としては、お客さんから注文を受けたら一番いい価格(買い手であれば一番安い価格、
売り手であれば一番高い価格)を提示している証券取引所に注文を回さなくてはいけません。
証券取引所がたくさんあるとはいっても、一つのアメリカの市場として機能しているのです。

−登録認可を得ているロングターム証券取引所とはどのような取引所なのですか。

特徴は名前の通り、長期株式取引所です。通常の上場では、投資家から短期的に利益を上げるプレッシャーがあると
考えられます。例えば特許を持っている場合、保有していれば特許を使えるのに、短期的に利益を上げるために
特許を売らなければならないというようなケースもありえます。
これについては長期的な成長を目指せなくなっているという批判があり、こうした中でシリコンバレーの実務家が
短期的な思考を持った株主ではなくて、長期的に企業を見る人のための証券取引所を作ろうとしているのが
ロングターム証券取引所です。
この目的を達成するために、ロングターム証券取引所では上場規則として、長期的な経営方針を持つことや、
報酬についても四半期ごとの成績でなく何年間もの成績によって成果報酬を出すような仕組みを作ることを求め、
投資家にも開示しないと上場できないようにするようです。また決議権も1株1決議権でなく、
長期に株を保有すると議決権が増え、株主にとっても長く持つことによってメリットが出てくるようにするようです。

−日本企業に向いているようですが、上場はできるのですか。

日本企業が上場できるのかはまだ分かりませんが、長期的思考を持っている日本企業には向いているように思います。

−MEMXとはどのような取引所ですか。

メンバーズエクスチェンジは、ロングターム証券取引所とは全く違った性質をもった取引所です。この取引所はウォール街の
大規模な金融機関が作ろうとしているもので、モルガンスタンレーやフィデリティー、シタデル、
バーチュ・ファイナンシャルなど9社がスポンサーになっています。
報道によると、証券の注文はすごく複雑になっているため、これをやめてシンプルな注文にして、その分手数料を引き下げ、
取引データなどの価格も安くしようというのが狙いです。メンバーズエクスチェンジという名前からも分かるように、
メンバーのための取引所となります。
ロングターム証券取引所が成功するかどうかは未知数ですが、
メンバーズエクスチェンジはこれまでの証券取引の参加者が作る取引所のため、成功はしやすいだろうといわれています。

−ロングターム証券取引所やメンバーズエクスチェンジなどの新しい取引所は日本企業にどのような影響を与えるでしょうか。

MEMXの目的は参加者がメリットを得ることですので、日本の企業にはあまり影響はなさそうです。LTSEに日本企業が
上場できるのであれば、アメリカで長期的に事業をやっていくにあたって、投資家の注目を集められるのではないでしょうか。

 

 



【コメント】
紹介している2020年9月3日(木)付けの日本経済新聞の記事の冒頭部分を引用したいと思います。

>ウォール街に発足した米新興取引所「メンバーズ取引所(MEMX)」で4日、株式の売買が始まる。
>ニューヨーク証券取引所(NYSE)など大手による市場データ寡占に対抗する。
>規制当局の後押しを受け、米モルガン・スタンレーなど主要金融会社が創設を支援。
>取引コスト削減につながれば、投資家に恩恵をもたらしそうだ。

メンバーズ証券取引所については、2019年1月7日に第一報が報道されました。
ウォール街の大手金融機関が出資をして証券取引所を創設する、という計画が2019年1月に発表されたわけです。
その後、2020年5月に米証券取引委員会から認可を受けました。
そして、2020年9月4日にメンバーズ証券取引所において売買が開始された、という経緯があるわけです。
米国には証券取引所が15あるとも23あるとも言われています(出典によって異なっています)が、
記事にはメンバーズ証券取引所の設立目的について、次のように書かれています。

>創業の狙いとして、市場データ提供料金の引き下げなどを掲げる。

いよいよ売買が開始されるということで、今回改めてメンバーズ証券取引所についてインターネットで検索をしてみたのですが、
調べていくうちに、「私が2019年1月に考えていた証券取引所とは大きく異なっているようだ。」、と思うようになりました。
紹介しているM&A Onlineの記事には、米国には多くの証券取引所があることについて、驚いたことに次のように書かれています。

>証券取引所でアメリカと日本との一番の違いは、日本は上場している取引所でないと取引ができません。
>例えばLINEは東証一部に上場していますので、取引できる取引所は東証に限定されます。
>アメリカではどこに上場するのかと、どこで取引されるのかは、必ずしも一致しません。
>ニューヨーク証券取引所に上場している株であっても、ほかの証券取引所で取引ができることが通常です。

端的に結論を言えば、「メンバーズ証券取引所に上場している株式というのは実は存在しない。」ということであるようです。
「メンバーズ証券取引所では、例えばニューヨーク証券取引所に上場している株式を取引する。」ということであるようです。
これではメンバーズ証券取引所は、証券取引所というよりも、
「私設電子取引システム」(Proprietary Trading System: PTS)であると表現する方がより適切でしょう。
メンバーズ証券取引所という独立した証券取引所が創設されたこととは大きく異なるわけです。
メンバーズ証券取引所は、ニューヨーク証券取引所やナスダック証券取引所に上場している株式を利用するだけです。
メンバーズ証券取引所というのは、証券取引所というよりは証券会社に近いと思います。
メンバーズ証券取引所が提供していると言っているサービスを利用するために、
投資家はメンバーズ証券取引所という名の証券会社に口座開設から始めなければならないのではないか、と私は思うくらいです。
実際、メンバーズ証券取引所のウェブサイト(ttps://memx.com/)を見ても、
どのようなことを行えばメンバーズ証券取引所で株式の取引ができるようになるのか私には全く分かりませんでした。
繰り返しますが、私が見る限り、メンバーズ証券取引所というのは「私設電子取引システム」なのです。
それから、記事にはいわゆる「市場データ」に関していろいろと書かれている(投資家にとって利用料金が高い等々)のですが、
株式市場で株式の取引を行う投資家にとってそれらのデータというのは本質的には不必要なものだと私は考えます。
なぜならば、投資判断の根拠は既に十分にしかも無料で提供されているからです(それが発行者による情報開示のはずです)。
いわゆる「市場データ」というのは、株式の本源的価値の算定と何ら関係がないのです。
"A disclosure is the ultimate ground of an investment judgement."(情報開示が投資判断の究極の根拠。)なのです。