2020年3月28日(土)



「本日2020年3月28日(土)にEDINETに提出された全ての法定開示書類」



Today (i.e. March 28th, 2020), 0 legal disclosure document has been submitted to EDINET in total.

本日(すなわち、2020年3月28日)、EDINETに提出された法定開示書類は合計0冊でした。

 

 


2018年12月18日(火)のコメントで、ソフトバンク株式会社の上場に関する記事を計26本紹介し、
「有価証券の上場には4つのパターンがある。」という資料を作成し、以降、集中的に証券制度について考察を行っているのだが、
2018年12月18日(火)から昨日までの各コメントの要約付きのリンクをまとめたページ(昨日現在、合計466日間のコメント)。↓

各コメントの要約付きの過去のリンク(2018年12月18日(火)〜2019年4月30日(火))
http://citizen.nobody.jp/html/201902/PastLinksWithASummaryOfEachComment.html

各コメントの要約付きの過去のリンク その2(2019年5月1日(水)〜2019年8月31日(土))
http://citizen2.nobody.jp/html/201905/PastLinksWithASummaryOfEachComment2.html

各コメントの要約付きの過去のリンク その3(2019年9月1日(日)〜2019年12月31日(火))
http://citizen2.nobody.jp/html/201909/PastLinksWithASummaryOfEachComment3.html

各コメントの要約付きの過去のリンク その4(2020年1月1日(水)〜)
http://citizen2.nobody.jp/html/202001/PastLinksWithASummaryOfEachComment4.html

 


ユニゾホールディングス株式会社の被雇用者が行う「エンプロイー・バイアウト("Employee Buyout")」に関連するコメント
http://citizen2.nobody.jp/html/202001/CommentsWithRelationToAn'EmployeeBuyout'.html

 

 

 



2020年2月19日(水)日本経済新聞
キリンHDに社外取締役要求 英投資運用会社が2人
(記事)





2020年3月28日(土)日本経済新聞
キリンHDが株主総会 運用会社の提案否決
(記事)

 

 


2020年2月14日
キリンホールディングス株式会社
株主提案に対する当社取締役会意見に関するお知らせ
ttps://pdf.irpocket.com/C2503/ly8K/ui8T/IIvZ.pdf

(ウェブサイト上と同じPDFファイル)




2020年2月19日
キリンホールディングス株式会社
Independent Franchise Partnersとの対話に関して
ttps://pdf.irpocket.com/C2503/ly8K/h2ha/CWvc.pdf

(ウェブサイト上と同じPDFファイル)




2020年3月13日
キリンホールディングス株式会社
第181回株主総会における議案に関する議決権行使助言会社のレポートに関する当社見解について
ttps://pdf.irpocket.com/C2503/bbZB/iCQy/mu2L.pdf

(ウェブサイト上と同じPDFファイル)




 

2020年2月21日
キリンホールディングス株式会社
独立役員届出書
ttps://pdf.irpocket.com/C2503/vTQq/n61J/SBkh.pdf

(ウェブサイト上と同じPDFファイル)




独立役員の確保(東京証券取引所)
ttps://www.jpx.co.jp/equities/listing/ind-executive/index.html

 

 


【コメント】
紹介している記事とプレスリリースを題材にして、株主提案権について一言だけ書きたいと思います。
記事には、キリンホールディングス株式会社に対して株主提案を行っている提案株主について、次のように書かれています。

>英投資運用会社のフランチャイズ・パートナーズ(FP)が16日、株主提案を出している

>英運用会社フランチャイズ・パートナーズ(FP)による自社株買い実施の株主提案

一言で言えば、「フランチャイズ・パートナーズが株主提案を行っている」と記事には書かれているわけです。
しかし、2020年2月14日にキリンホールディングス株式会社が発表しているプレスリリース「株主提案に対する
当社取締役会意見に関するお知らせ」によりますと、フランチャイズ・パートナーズは提案株主の代理人であるとのことであり、
提案株主の名称は「NORTHERN TRUST CO.(AVFC) SUBA/C NON TREATY」(株主名簿上の株主)であるとのことです。
この論点については何年も前に書いたことがあるのですが、少なくとも会社法の条文上は(逐条解釈としては)、株主は、
代理人によってその議決権を行使することはできるのですが、代理人によってその株主提案権を行使することはできないのです。
ただ、株主提案権の行使そのもの(会社側との交渉も含む)は会社の株主全般の意思決定をかく乱するおそれはないことから、
株主が代理人によってその株主提案権を行使することも実務上は認められるべきだと私は考えます。
また、その場合の代理人の資格についてですが、代理人の資格を株主に限定する必要も実務上はないと私は考えます。
それから、今日では、「独立役員の確保」ということで東京証券取引所は上場企業に対し「独立役員届出書」を
TDnetを通じて提出することを義務付けているようです。
キリンホールディングス株式会社は、2020年3月27日に開催予定の定時株主総会において社外取締役及び社外監査役の
選任議案が付議されることを理由として、「独立役員届出書」を2020年2月21日に提出しています。
しかし、「独立役員届出書」は要件を満たした独立役員が正式に選任されたことを受けて提出されるべきだと私は考えます。
つまり、「独立役員届出書」は株主総会終結後に提出されるべきだと私は考えます。
キリンホールディングス株式会社が2020年2月21日に提出した「独立役員届出書」には、
株主提案がなされている役員については一切記載がないわけですが、
株主提案がなされている役員が株主総会で選任されないという保証があるわけでもないわけです。
どの役員が選任されるかは株主による議決権行使を集計しないことには分からないわけですから、
やはり「独立役員届出書」は株主総会終結後に提出されるべきだと私は考えます。
それから、東京証券取引所のTDnetには大きく分けて2つのサービスが存在しています↓。

TDnetの概要
ttps://www.jpx.co.jp/equities/listing/tdnet/index.html

@日々事業運営に関する情報を適時に開示する適時開示情報閲覧サービスと
A会社の基本情報、ファイリング情報、コーポレート・ガバナンスなどの情報を常時開示する東証上場会社情報サービスです。
提出された「独立役員届出書」は@適時開示情報閲覧サービスではなくA東証上場会社情報サービスにおいて開示されています。
ちなみに、これも今までに何回か書いたことがある論点になるのですが、たとえ株主提案権行使の結果株主総会に付議された
「自社株買いの実施」についての議案が可決されても、会社としては自社株買いを実施する義務は法理上はありません。
自社株買いの実施というのは、基本的には株主が取締役に委任をしている業務執行の1つ(株主が決めることではない)ですし、
さらに言えば、株主総会決議事項というのは会社法に定められた事項だけ(それら以外の事柄について株主総会で決議を取っても
何らの意味も持たない(株主総会決議を取っていないことと同じ))だからです。

 

 


In this case, Independent Franchise Partners, LLP is actually an agent of a proposer shareholder in question.
A principal proposer shareholder is NORTHERN TRUST CO.(AVFC) SUBA/C NON TREATY.
To put it simply, a name of NORTHERN TRUST CO.(AVFC) SUBA/C NON TREATY is entered in a shareholder register,
whereas a name of Independent Franchise Partners, LLP is not entered in a shareholder register.
In other words, NORTHERN TRUST CO.(AVFC) SUBA/C NON TREATY does hold a share,
whereas Independent Franchise Partners, LLP does not hold a share.
On the Companies Act, a shareholder may exercise his vote by proxy (i.e. he can legally make an proxy voting),
whereas he may not exercise a shareholder's right to propose by proxy at least on the provision of the Companies Act.
In other words, on the Companies Act, an agent of a shareholder may attend a meeting of shareholders,
whereas an agent of a shareholder may not attend a meeting with directors of a company for a negotiation
on a proposal to be submitted to the forthcoming meeting of shareholders at least on the provision of the Companies Act.
To put it abstractly, a meeting of shareholders is "official," whereas a meeting with an outsider for a proposal
on a negotiation basis is "unofficial."

この事例では、インデペンデント・フランチャイズ・パートナーズ社は実際には件の提案株主の代理人なのです。
提案株主本人はノーザン・トラスト社なのです。
簡単に言えば、ノーザン・トラスト社の名称は株主名簿に記載されているのですが、
インデペンデント・フランチャイズ・パートナーズ社の名称は株主名簿に記載されていないのです。
他の言い方をすれば、ノーザン・トラスト社は実際に株式を保有しているのですが、
インデペンデント・フランチャイズ・パートナーズ社は株式を保有してはいないのです。
会社法上は、株主は代理人によってその議決権を行使することができる(すなわち、株主は法律上議決権の代理行使を行う
ことができる)のですが、少なくとも会社法の条文上は代理人によって株主提案権を行使することはできないのです。
他の言い方をすれば、会社法上は、株主の代理人は株主総会に出席をすることができるのですが、
少なくとも会社法の条文上は来るべき株主総会に提出される議案に関する交渉のための会社の取締役との会合に
出席をすることはできないのです。
抽象的に言えば、株主総会は「正式」なのですが、交渉ベースでの議案のための部外者との会合は「正式ではない」のです。

 

 


"What do a proxy-advisory firm and a bond-rating firm have in common?"
"Both provide investors a service on a matter on which investors themselves should make an investment judgement."

「議決権行使助言会社とかけて債券格付会社と解く。その心は?(議決権行使助言会社と債券格付会社の共通点は何でしょうか?)」
「どちらも投資家自身が投資判断をしなければならない事柄についてのサービスを投資家に提供しています。」

 

It is not an exercise of a voting right by proxy nor an exercise of a shareholder's right to propose by proxy
but both a public expression of some advice on a voting by a proxy-advisory firm
and a public expression of a rating on a credit risk by a bond-rating firm
that throw investors in the market into confusion.

市場の投資家をかく乱するのは、代理人による議決権の行使でもなければ代理人による株主提案権の行使でもなく、
議決権行使助言会社が議決権行使について助言を公然と表明することと
債券格付会社が信用リスクについて格付けを公然と表明することの両方なのです。

 

On the securities system, if a proxy-advisory firm should be registered prescriptively with the financial authorities,
then a bond-rating firm should also be registered prescriptively with the financial authorities.

証券制度上、仮に議決権行使助言会社は金融当局に所定の登録をするべきなのであるならば、
債券格付会社もまた金融当局に所定の登録をするようにするべきなのです。

 

Investors should always have an investing activity on a basis of an investment judgement of their own making.

投資家は常に、自分自身が行った投資判断に基づいて投資行動を取らなければなりません。

 

A listed company should submit an Independent Director Notification to the TDnet
as soon as an independent director has been legally elected at a meeting of shareholders.

上場企業は、株主総会で独立取締役が法律上選任されるとすぐに、TDnetに独立取締役届出書を提出するべきなのです。