2020年2月2日(日)



「本日2020年2月2日(日)にEDINETに提出された全ての法定開示書類」



Today (i.e. February 2nd, 2020), 0 legal disclosure document has been submitted to EDINET in total.

本日(すなわち、2020年2月2日)、EDINETに提出された法定開示書類は合計0冊でした。

 

 


2018年12月18日(火)のコメントで、ソフトバンク株式会社の上場に関する記事を計26本紹介し、
「有価証券の上場には4つのパターンがある。」という資料を作成し、以降、集中的に証券制度について考察を行っているのだが、
2018年12月18日(火)から昨日までの各コメントの要約付きのリンクをまとめたページ(昨日現在、合計411日間のコメント)。↓

各コメントの要約付きの過去のリンク(2018年12月18日(火)〜2019年4月30日(火))
http://citizen.nobody.jp/html/201902/PastLinksWithASummaryOfEachComment.html

各コメントの要約付きの過去のリンク その2(2019年5月1日(水)〜2019年8月31日(土))
http://citizen2.nobody.jp/html/201905/PastLinksWithASummaryOfEachComment2.html

各コメントの要約付きの過去のリンク その3(2019年9月1日(日)〜2019年12月31日(火))
http://citizen2.nobody.jp/html/201909/PastLinksWithASummaryOfEachComment3.html

各コメントの要約付きの過去のリンク その4(2020年1月1日(水)〜)
http://citizen2.nobody.jp/html/202001/PastLinksWithASummaryOfEachComment4.html

 


ユニゾホールディングス株式会社が行う「エンプロイー・バイアウト("Employee Buyout")」に関連するコメント
http://citizen2.nobody.jp/html/202001/CommentsWithRelationToAn'EmployeeBuyout'.html

 

 



2019年3月8日(金)日本経済新聞
最高裁、因果関係認めず 賠償請求を退ける 「仮差し押さえ→信用力低下→百貨店が取引中止、賠償を」
(記事)





2019年6月12日(水)日本経済新聞
手形の「電子交換所」設立へ 全国の銀行・信金、22年度にも コスト抑制、紙は当面維持
(記事)

 

 



【コメント】
新聞記事を計2本紹介していますが、記事を題材にして一言だけコメントを書きたいと思います。
紹介している2019年3月8日(金)付けの日本経済新聞の記事は約11ヶ月前の記事になるのですが、
一言だけコメントを書いてみようと思っているのですが、記事の冒頭を引用したいと思います。

>売掛金が仮差し押さえられたことにより信用力が低下し、取引が止められた―。
>こうしたケースで仮差し押さえを申し立てた側に、取引中止で生じた損害分を請求できるのかが
>争われた訴訟の上告審判決が7日あった。
>最高裁第1小法廷(山口厚裁判長)は「仮差し押さえで逸失利益が生じたとはいえない」として、請求できないとの判断を示した。

事件の全体像は記事中の「仮差し押さえを巡る訴訟の構図」に描かれている通りですし、
記事本文中にもトラブルの経緯について書かれてあるわけですが、私個人の考えを書きますと、
卸売業者が百貨店に対して持っていた売掛金が仮差し押さえられたとしても百貨店から卸売業者への信用が低下することはない、
と私は思います。
なぜならば、論点となっている売掛金に関して言いますと、百貨店と卸売業者は、
「百貨店は卸売業者に商品代金を支払う。」という関係にあるに過ぎないからです。
卸売業者が百貨店に卸した商品に問題があったわけでもなければ卸売業者が百貨店に商品代金を支払わないでいるわけでもない
わけです(あくまで「百貨店は卸売業者に商品代金を支払う。」という関係に百貨店と卸売業者はあるわけです)。
たとえ卸売業者が百貨店に対して持っていた売掛金が仮差し押さえられたとしても、
百貨店が支払期日に卸売業者に商品代金を支払うということに何ら変わりはありません。
売掛金の仮差し押さえは百貨店の卸売業者に対する信用とは全く無関係であるわけです。
どちらかと言いますと、売掛金を仮差し押さえるということ自体が意味がよく分からないと私は思います。
卸売業者は売掛金の譲渡を計画していたのでしょうか。
仮に卸売業者は売掛金の譲渡を計画していたのであれば売掛金を仮差し押さえることに実務上は意味があると思いますが、
卸売業者は売掛金の譲渡を計画していたわけではないのであれば、仮差し押さえ自体に意味が全くないということになります。
仮差し押さえとは、「譲渡を法律上不可能にすること」という意味合いに実務上はなるかと思いますが、
売掛金を譲渡不可能にしたところで実務上は意味はないでしょう(卸売業者は支払期日に百貨店から商品代金を受け取るだけです)。
第三者が売掛金を仮差し押さえれば、債務者は債権者に弁済をしなくてよくなり(当初の期日通りの弁済が中止され)、
債務者は売掛金の仮差し押さえを行った人物に弁済をすることになる(つまり債権者が異動する)、というわけではないはずです。
仮に印刷会社が卸売業者の何かを仮差し押さえるとするならば、卸売業者の財産全てを仮差し押さえることになるでしょう。
その場合は、その後卸売業者は百貨店に発注を受けた通りに商品を卸すことができなくなりますので、
結果卸売業者は百貨店からの信用を失う、ということにはなります。
ただ、この記事の事例は、そういう状況とは全く異なる状況であるわけです。

 


また、卸売業者が百貨店に対して持っていた売掛金を印刷会社が仮差し押さえたということは、推測するに、
「売掛金を仮差し押さえれば卸売業者の財産が社外に流出することを避けられるはずだ。」と印刷会社は考えた、
ということではないかと私は思います。
しかし、その考えは完全に誤りです。
百貨店に対して持つ売掛金を仮差し押さえても仮差し押さえしなくても、卸売業者の財産が社外に流出することは決してありません。
なぜならば、百貨店との関係において、卸売業者は商品代金を支払う側ではなく商品代金を受け取る側だからです。
「卸売業者は百貨店に商品代金を支払うことになっている(だから売掛金を仮差し押さえることで支払いを未然に食い止めよう)。」
と印刷会社は考えたのかもしれませんが、話が全くあべこべです。
卸売業者は百貨店から商品代金を受け取る側なのですから。
売掛金の仮差し押さえを受けて百貨店は卸売業者との取引を中止したとのことですが、
記事に書かれてある通りだとするならば、代金の支払いを拒否した卸売業者に非があるのではなく、
発注通りの商品を納入していない印刷会社に非があるわけです。
百貨店は卸売業者との取引を中止したというのも少しおかしな気がします(きちんと事実関係を確認するべきでしょう)。
百貨店は、たとえ卸売業者が百貨店に対して持っていた売掛金を印刷会社が仮差し押さえたとしても、
支払期日に卸売業者に商品代金を支払わねばなりません。
売掛金が仮差し押さえられたことは売掛金が無効になったこととは全く異なるわけです。
また、売掛金が仮差し押さえられたことは売掛金の支払相手(債権者)が仮差し押さえを行った人物に異動になった
ということとも全く異なるわけです。
百貨店は、卸売業者との取引を中止することはできますが、卸売業者への商品代金の支払いを中止することはできないのです。
話を簡単にまとめますと以下のようになります。

@卸売業者が百貨店に対して持っていた売掛金が仮差し押さえられることは百貨店の利益(百貨店の取引)には全く無関係である。
Aそもそも売掛金だけを仮差し押さえるということは実務上はしないはずだ(全財産を保全することに意味があるはずだ)。
B発注通りに商品を納入していないのならば印刷会社はそもそも卸売業者の債権者ではない。
 むしろ、当初の契約通りに卸売業者に商品を納入するべき債務者のはずだ。

以上3点から考えて、
「少なくとも百貨店から卸売業者への信用が低下することはない(卸売業者に非は一切ない)のだが、
そもそも印刷会社が主張している内容や行っている仮差し押さえは完全に間違っている(印刷会社は債権者ではない)。」、
と私は考えます。

 

 



次に、紹介している2019年6月12日(水)付けの日本経済新聞の記事についてなのです。
記事の冒頭を引用します。

>銀行や信用金庫など金融機関は2022年度にも紙の手形・小切手の交換作業をデータ化する「電子交換所」を
>設立する方針を固めた。

「手形交換所」については以前コメントを書いたことがありますが、
「手形交換所」の電子版(オンライン版)を全国銀行協会が設立する方針であるとのことです。
さて、先ほど書きましたコメントで私は次のように書きました。

>仮差し押さえとは、「譲渡を法律上不可能にすること」という意味合いに実務上はなるかと思いますが、

百貨店と卸売業者との間の売掛金がより具体的にはどのような債権であるのかについては記事には言及はなかったのですが、
債権の形態としては紙の約束手形でも電子手形でもない(金額と支払期日のみが記載された契約書のみがある状態)、
ということなのではないかと思います。
先ほどの事例を題材にして考えてみると、
「紙の約束手形や電子手形を仮差し押さえるということはできるのだろうか?」、とふと思いました。
おそらく「手形交換所」でも設立が計画されている「電子交換所」でも
「手形の受取人が所有している手形を差し押さえる」という考え方・手続きはないのではないかと思います。
手形のシステムで差し押さえることができるのは、債務者の銀行口座のみのはずです。
債権者の手形を譲渡不可能にする(手形の交換に応じない)であったり債権者の銀行口座を差し押さえる
という考え方・手続きは手形のシステムにはないはずです。
債権者の財産を差し押さえるには、手形のシステムとは全く別の「裁判所による命令」が必要になるのだと思います。
そのようなことを考えますと、先ほどの事例でありましたような「売掛金のみを仮差し押さえる」ということは
法律上も実務上も実はできないことなのではないだろうかと思いました。
考えてみますと、個別に任意の財産を差し押さえる命令を裁判所が出すということ自体は法律上はできるのかもしれませんが、
手形の不渡り時のような即時性のある銀行口座の凍結と比較すると、実務上の実効性は低いように思います。
実務上は、「裁判所による命令」は申し立てから実際に下されるまでに何時間かかるか何日かかるか全く分からないのです。

 

A receivable's legally being attached by a third party doesn't mean that
the receivable becomes invalid nor the third party becomes a creditor (a recipient).

債権が第三者によって法律的に差し押さえられたことは、その債権が無効になったことを意味するわけでもありませんし
その第三者が債権者(受取人)になったことを意味するわけでもありません。


Concerning any troubles, no one knows when a court will issue an order.

どのようなトラブルにも関してもなのですが、裁判書がいつ命令を下すのか誰にも分からないのです。