2020年1月29日(水)



「本日2020年1月29日(水)にEDINETに提出された全ての法定開示書類」


Today (i.e. January 29th, 2020), 156 legal disclosure documents have been submitted to EDINET in total.

本日(すなわち、2020年1月29日)、EDINETに提出された法定開示書類は合計156冊でした。

 

 


2018年12月18日(火)のコメントで、ソフトバンク株式会社の上場に関する記事を計26本紹介し、
「有価証券の上場には4つのパターンがある。」という資料を作成し、以降、集中的に証券制度について考察を行っているのだが、
2018年12月18日(火)から昨日までの各コメントの要約付きのリンクをまとめたページ(昨日現在、合計407日間のコメント)。↓

各コメントの要約付きの過去のリンク(2018年12月18日(火)〜2019年4月30日(火))
http://citizen.nobody.jp/html/201902/PastLinksWithASummaryOfEachComment.html

各コメントの要約付きの過去のリンク その2(2019年5月1日(水)〜2019年8月31日(土))
http://citizen2.nobody.jp/html/201905/PastLinksWithASummaryOfEachComment2.html

各コメントの要約付きの過去のリンク その3(2019年9月1日(日)〜2019年12月31日(火))
http://citizen2.nobody.jp/html/201909/PastLinksWithASummaryOfEachComment3.html

各コメントの要約付きの過去のリンク その4(2020年1月1日(水)〜)
http://citizen2.nobody.jp/html/202001/PastLinksWithASummaryOfEachComment4.html

 


ユニゾホールディングス株式会社が行う「エンプロイー・バイアウト("Employee Buyout")」に関連するコメント
http://citizen2.nobody.jp/html/202001/CommentsWithRelationToAn'EmployeeBuyout'.html

 

 

 



2020年1月29日(月)日本経済新聞
帝繊維に増配など要求 英ファンドが株主提案
(記事)


 



Before acquiring a control over a subject company, a business-operating company can sometimes act as an activist.

対象会社の支配を獲得する前は、事業会社は物言う株主としての役を務めることがあります。

 

As is rarely the case with what you call an institutional investor,
it acts not as a shareholder but as a lender of money (i.e. a debt investment fund).

稀なケースではあるのですが、機関投資家は、
株主としてではなく資金の貸し手(すなわち、負債投資ファンド)として活動をすることがあります。

 

A company's paying a dividend to shareholders requires not only a resolution of a meeting of shareholders
but also the previous related  resolution of a board of directors.

会社が株主に配当を支払うためには、株主総会決議が必要であるだけではなく、
それに先立って関連する取締役会決議が必要となるのです。

 

 



【コメント】
紹介している記事も1つの題材としつつ、昨日のコメントの続きを一言だけ書きたいと思います。
まず、中国レンジ大手のギャランツの創業家が日本の生活家電大手である象印マホービンの株式の13.5%を保有している
という事例についてですが、昨日の指摘したことになりますが、ギャランツの創業家は株主提案権を行使して
自身が推薦する取締役(候補者)の選任議案を象印マホービンに提出しています。
将来ギャランツ社が象印マホービンを子会社化することも考えられないことではないと思いますが、少なくとも現時点では、
事業会社であるギャランツ社は事業会社としてではなく物言う株主として活動しているという見方をするべきだと思います。
次に、昨日紹介した2019年11月28日(木)付けの日本経済新聞の記事についてですが、実は一昨日のコメントと関連がある
記事ですので昨日紹介したわけなのですが、一昨日のコメントで私は次のように書きました。

>「スチュワードシップ・コード」が想定している「機関投資家」とは、主に出資と人事と資金等の関係を通じて、
>企業の財務及び営業又は事業の方針の決定に対して重要な影響を与えることができる株主のことではないでしょうか。

記事中の米投資ファンドであるアレス・マネジメントは、中小企業向けの直接融資(資金の貸し付け)を手掛けているということで、
物言う株主でもなければいわゆる機関投資家でもない(ただ、例外的な機関投資家とは表現できると思いますが)わけなのですが、
大きな視点から見ますと、資本ではなく負債へ投資を行うファンドである、という見方ができるのだろうと思います。
機関投資家と言いますと、一般的にはやはり資本(株式)への投資を行うファンドを意味するのではないかと思うのですが、
例えば米国には債券への投資を本業とする投資ファンドもないわけではありませんので、
融資(資金の貸し付け)を行う投資ファンドも広く言えば機関投資家に分類されると言っていいのだろうと思います。
かつては「メインバンク制」という言葉もあったくらいです、資金の出し手が融資のみで企業の財務及び営業又は事業の方針の
決定に対して重要な影響を与えることも一昔前まではあったわけなのですが、現在では資金の出し手は出資(議決権)と人事
を通じてより直接的に企業に影響を与えるようになった、という見方ができるのではないかと思います。
融資のみによる会社に対する影響力というのは人間関係や取引関係に必然的に依存するのですが、
出資(議決権)による会社に対する影響力というのは人間関係や取引関係に一切依存しない、という相違点があります。
それから、今日紹介している記事についてなのですが、英投資ファンドのアセット・バリュー・インベスターズ(AVI)が
帝国繊維に対して増配や自社株買いを求める株主提案をしていたことが明らかになった、とのことです。
物言う株主が会社に対し増配を求める株主提案を行う、ということは何かよく聞く話であるように思うわけです。
会社は「1株100円の配当を支払う」という内容の株主総会議案を株主総会に提出する予定であるのだが、
物言う株主が株主提案権を行使して「1株200円の配当を支払う」という内容の株主総会議案を株主総会に提出する、
といった具合です。
ところで、株主提案権の行使によって提案できる内容というのは、「株主総会決議事項」だけであるわけです。
一方、「議案『配当金を支払う件』」というのは「株主総会決議事項」であるわけです。
その意味では、株主が「配当金を支払う件」という議案を株主総会に提出することは問題はないように思えますし、
また、株主提案権の行使により株主から提出された「配当金を支払う件」という議案が株主総会で可決された場合は、
会社は当該議案内容に沿った配当を株主に支払わなければならないように思えます。
しかし、記事を読んで私がふと私が思いましたのは、「実は、株主総会決議だけでは不十分なのではないか?」ということです。
配当に関する株主総会決議というのはあくまで株主による承認の決議であって、それ即ち支払いの決定ではないと思ったのです。
なぜならば、会社が株主に配当を支払うことは取締役が行う業務執行の1つだからです。
したがって、会社が株主に配当を支払う際には、必ず取締役会決議(業務執行の意思決定)が必要となるのではないでしょうか。
たとえ株主提案権の行使により株主から提出された「配当金を支払う件」という議案が株主総会で可決されても、
会社は可決されたその議案通り配当を支払う必要はない、という考え方になるのではないかと思いました。
一言で言えば、会社が株主に配当を支払うためには、@取締役会決議とA株主総会決議の両方が必要だ、と私は思ったわけです。
私のこの理解が正しいならば、会社に増配を求める場合は、物言う株主は実は「取締役の選任」から始めなければならないのです。