2020年1月28日(火)



「本日2020年1月28日(火)にEDINETに提出された全ての法定開示書類」



Today (i.e. January 28th, 2020), 147 legal disclosure documents have been submitted to EDINET in total.

本日(すなわち、2020年1月28日)、EDINETに提出された法定開示書類は合計147冊でした。

 

 


2018年12月18日(火)のコメントで、ソフトバンク株式会社の上場に関する記事を計26本紹介し、
「有価証券の上場には4つのパターンがある。」という資料を作成し、以降、集中的に証券制度について考察を行っているのだが、
2018年12月18日(火)から昨日までの各コメントの要約付きのリンクをまとめたページ(昨日現在、合計406日間のコメント)。↓

各コメントの要約付きの過去のリンク(2018年12月18日(火)〜2019年4月30日(火))
http://citizen.nobody.jp/html/201902/PastLinksWithASummaryOfEachComment.html

各コメントの要約付きの過去のリンク その2(2019年5月1日(水)〜2019年8月31日(土))
http://citizen2.nobody.jp/html/201905/PastLinksWithASummaryOfEachComment2.html

各コメントの要約付きの過去のリンク その3(2019年9月1日(日)〜2019年12月31日(火))
http://citizen2.nobody.jp/html/201909/PastLinksWithASummaryOfEachComment3.html

各コメントの要約付きの過去のリンク その4(2020年1月1日(水)〜)
http://citizen2.nobody.jp/html/202001/PastLinksWithASummaryOfEachComment4.html

 


ユニゾホールディングス株式会社が行う「エンプロイー・バイアウト("Employee Buyout")」に関連するコメント
http://citizen2.nobody.jp/html/202001/CommentsWithRelationToAn'EmployeeBuyout'.html

 

 

 



2020年1月21日(火)日本経済新聞
中国家電大手 象印株買い増し 13.5%保有 泥沼の展開も 来月総会で取締役提案
ギャランツ副会長 「象印の経営に疑問」 TOBも否定せず
(記事)





2020年1月14日
象印マホービン株式会社
株主提案に対する当社取締役会意見に関するお知らせ
ttps://www.zojirushi.co.jp/corp/ir/library/pdf/disclose/20200114_01.pdf

(ウェブサイト上と同じPDFファイル)




R2.01.06 13:25
グレート・フォーチュン・インターナショナル・ディベロップメント・リミテッド
変更報告書 発行: 象印マホービン株式会社
(EDINET上と同じPDFファイル)




R1.07.16 09:36
株式会社三菱UFJフィナンシャル・グループ
大量保有報告書(特例対象株券等) 発行: 象印マホービン株式会社
(EDINET上と同じPDFファイル)



2019年11月28日(木)日本経済新聞
アレス・マネジメントCEO マイケル・アロゲッティ氏
中小向け直接融資で伸長 米銀再編が好機に
(記事)



公開買付届出書や意見表明報告書の表紙に記載されている文言↓

”本書中の「株券等」とは、株式に係る権利をいいます。”

 

 



【コメント】
紹介している新聞記事とプレスリリースと法定開示書類を題材にして、昨日のコメントとも関連させながら、
出資や機関投資家や「スチュワードシップ・コード」について一言だけコメントを書きたいと思います。
紹介している2020年1月21日(火)付けの日本経済新聞の記事には、中国レンジ大手のギャランツの創業家が日本の生活家電大手
であるあの象印マホービンの株式の13.5%を保有している、と書かれています。
象印マホービン株式を保有しているのは、事業会社であるギャランツ・ジャパン社と創業家の資産管理会社2社の計3社です。
各会社の代表者が親子関係にあり、これら3社は日本の金融商品取引法上でいう「共同保有者」に該当している、という状態です。
ギャランツ・ジャパン社ら3社は、「経営管理に疑問がある」ということを理由に新たな取締役候補を提案する方針を示しており、
機関投資家であると同時に物言う株主であると言えるでしょう。
昨年だけで17回も会社側と面会しているということですので、特に物言う株主であるという側面が強いと言えるでしょう。
インタビューの中では、委任状争奪戦(プロキシーファイト)や株式公開買付を行う可能性についても示唆はされていますが、
業務提携や協働についてはあまり言及がないため、これら3社は事業会社としての側面はこの状況ではあまりないと感じます。
これら3社は、現在のところ、主に物言う株主として活動をしていると考えるべきでしょう。
記事には、ギャランツ創業家による「象印株」保有の構図について、次のように書かれています。

>創業家が個人資金を投じながら、ギャランツとの協業を提案している点も特殊だ。
>公私混同にも見える。この点には梁恵強氏も「(ギャランツの経営者と、投資家という)2つの立場が物事を複雑にし、
>誤解を呼びやすくしている」と認めている。

仮に、投資ファンド2社へ創業家だけではなく他の出資者も出資をしているとしたら、
昨今日本で話題となっています「機関投資家が果たすべき責任」(受託者責任)が問題になります。
まさに昨日書きました「スチュワードシップ・コード」等が論点となるでしょう。
しかし、そうでないならば、「株主は事業会社として株式を保有しているのかそれとも投資家として株式を保有しているのか?」
という点は少なくとも受託者責任という観点からは問題にならないように思えます。
要するところ、「株式を取得する原資は誰が拠出しているのか?」が問題になるわけです。
象印株式を取得する原資は全て創業家が拠出している(他の出資者が拠出したお金は一切投じていない)ということであるならば、
創業家が個人資金を投じながらギャランツとの協業を提案することは何ら公私混同ではないと私は考えます。
仮に、他の出資者が拠出したお金も象印株式へ投じているとなりますと、
投資ファンド(機関投資家)の代表者(創業家)は受託者責任を出資者から相当程度追及されることになるでしょう。
つまり、投資ファンド(機関投資家)の代表者(創業家)は、受託者責任を果たしていると嘘偽りなく主張できなければなりません。
ギャランツと象印マホービンが協業と行った方が象印マホービン株式の価値も増加し、結果、投資ファンド2社への出資者への
リターン(運用収益)も大きくなる、ということであるならば(受託者として一点の曇りもなくそう判断したのならば)、
創業家は胸を張って象印マホービンとの協業を提案するべきなのです。
以上の論点は、会社法上の取締役の義務である「競業避止義務」や「利益相反取引の規制」に相通じるものがあるわけです。
いずれも「出資者の利益を害するようなことを受託者は行ってはならない。」という考え方であるわけです。
絶対的な透明性を求めるならば(誤解が一切生じないようするならば)、会社と取締役との間の取引を会社法上全て禁止する、
という考え方に行き着くことでしょう(さらに、会社と株主との間の取引も会社法上全て禁止することも考えられるでしょう)。
確かにそれも1つの答えだと私も思います。
しかし、もう1つの答えは「受託者責任」(フィデューシャリー・デューティー)という考え方だと私は考えます。
他の言い方をすれば「信頼関係」だと私は考えます(そして、「委任」とはそもそもそういう関係性を指すのではないでしょうか)。
疑わしい行為を制度上包括的に禁止をすると、信託者の利益の最大化が困難になる場面が受託者には実務上生じるのです。
受託者が果たさなければならないのは、絶対的な透明性の実現ではなく、信託者の利益の最大化のはずなのです。
続きは明日書きたいと思います。