2020年1月22日(水)



「本日2020年1月22日(水)にEDINETに提出された全ての法定開示書類」




Today (i.e. January 22nd, 2020), 243 legal disclosure documents have been submitted to EDINET in total.

本日(すなわち、2020年1月22日)、EDINETに提出された法定開示書類は合計243冊でした。

 

 


2018年12月18日(火)のコメントで、ソフトバンク株式会社の上場に関する記事を計26本紹介し、
「有価証券の上場には4つのパターンがある。」という資料を作成し、以降、集中的に証券制度について考察を行っているのだが、
2018年12月18日(火)から昨日までの各コメントの要約付きのリンクをまとめたページ(昨日現在、合計400日間のコメント)。↓

各コメントの要約付きの過去のリンク(2018年12月18日(火)〜2019年4月30日(火))
http://citizen.nobody.jp/html/201902/PastLinksWithASummaryOfEachComment.html

各コメントの要約付きの過去のリンク その2(2019年5月1日(水)〜2019年8月31日(土))
http://citizen2.nobody.jp/html/201905/PastLinksWithASummaryOfEachComment2.html

各コメントの要約付きの過去のリンク その3(2019年9月1日(日)〜2019年12月31日(火))
http://citizen2.nobody.jp/html/201909/PastLinksWithASummaryOfEachComment3.html

各コメントの要約付きの過去のリンク その4(2020年1月1日(水)〜)
http://citizen2.nobody.jp/html/202001/PastLinksWithASummaryOfEachComment4.html

 


ユニゾホールディングス株式会社が行う「エンプロイー・バイアウト("Employee Buyout")」に関連するコメント
http://citizen2.nobody.jp/html/202001/CommentsWithRelationToAn'EmployeeBuyout'.html

 

 

 



2019年12月5日
五洋インテックス株式会社
2020年3月期第2四半期報告書の訂正報告書の提出について
ttp://www.goyointex.co.jp/wordpress/wp-content/uploads/2019/12/
2020.%EF%BC%93.gatuki%EF%BC%92sihankihoukoku-teiseihoukokusyo20191205-1.pdf

(ウェブサイト上と同じPDFファイル)





2020年1月15日 18:00
五洋インテックス株式会社
調査委員会設置のお知らせ
(TDnet上と同じファイル)



 

該当する四半期報告書(上が訂正前、下が訂正後です)↓。


R1.11.14 10:40
五洋インテックス株式会社
四半期報告書−第43期第2四半期(令和1年7月1日−令和1年9月30日)  
(EDINET上と同じファイル)



 
R1.12.05 17:15
五洋インテックス株式会社
訂正四半期報告書−第43期第2四半期(令和1年7月1日−令和1年9月30日)
(EDINET上と同じファイル)

 

 

 



【コメント】
五洋インテックス株式会社は東京証券取引所JASDAQ(スタンダード)市場に上場している上場企業なのですが、
2019年11月14日に提出した四半期報告書に問題があったため2019年12月5日に訂正四半期報告書を提出し、
さらに、2020年1月15日に真相解明のために会社が調査委員会を設置した、とのことです。
会社が自社ウェブサイト上で発表しているプレスリリースとTDnetに開示をしている適時開示情報と
EDINETに提出している四半期報告書と訂正四半期報告書を紹介しています。
この件に関する記事はインターネットを検索する限りヒットしませんでした。
五洋インテックス株式会社はなぜ訂正四半期報告書を提出するに至ったのかと言いますと、
驚いたことに、監査法人のレビューが未了にも関わらず四半期報告書を提出したからである、と2019年12月5日に
五洋インテックス株式会社が提出したプレスリリース「2020年3月期第2四半期報告書の訂正報告書の提出について」
には説明されていますが、プレスリリースから該当箇所を引用しますと、
”押印がされていないレビュー報告書にもかわらず正式なレビュー報告書を受領したと誤認識をしたためです。”、とのことです。
私は最初、監査報告書(正確には、「独立監査人の四半期レビュー報告書」)を付さないまま四半期報告書を提出した、
ということなのだろうかと思ったのですが、当初の四半期報告書を見ますと四半期報告書には監査報告書はちゃんと付されています。
そうしますと、独立監査人は、押印はしなかったものの2019年11月14日に監査報告書を会社側に手渡した、ということに
ならないだろうかと思いました(会社側は2019年11月14日に何らかのレビュー報告書を独立監査人から受領したのは確かなのです)。
EDINETに提出されている四半期報告書(PDFファイル)は、原本に記載された事項を電子化したものですので、
PDFファイルを見ても押印の有無は分かりません(押印の部分には黒い文字で「印」の文字が書かれてあるだけです)。
監査報告書(原本)上の押印の法的効力(その意味や有効性)については私は詳しくは分からないのですが、
「押印もしていませんしまだ監査も完了していないのですが、レビュー報告書を提出いたします。」と言って、
独立監査人が会社側に監査報告書を手渡したのだとすると、そのこと自体が意味不明である(大きな問題である)気がします。
監査報告書自体は偽造でも何でもないわけですから、監査報告書を手渡した方に非があるように私には思えます。
押印の有無はともかく、独立監査人から監査報告書を手渡されたら誰だって正式な監査報告書だと思うのではないでしょうか。
それとも、2019年11月14日に会社側に監査報告書を手渡した独立監査人が偽者だったのでしょうか。
もしそうなら、結果、2019年11月14日に会社側が受領した監査報告書も当然のことながら偽物だったということになりますが。
「だから押印がなかった。」、と考えると辻褄が合うような気もしますが。
有印私文書偽造よりましか、と思ったりもしました(作成権限のない者が監査報告書を作成したことに変わりはありませんが)。
現行の刑法上は、作成権限のない者が他人の署名を使用することも有印私文書偽造罪に該当するようですが、
罪名の字のごとく、理論的には、作成権限のない者が他人の印章を使用する場合のみに有印私文書偽造罪は成立すると思います。
担当の独立監査人以外の人物が五洋インテックス株式会社の監査報告書(ただし、署名のみで押印はなし)を作成しても、
理論的には少なくとも有印私文書偽造罪には該当しないわけです。
私としましては調査委員会の調査結果を待ちたいと思っているところですが、印鑑については次のような記事がありました↓。

2019年4月29日(月)日本経済新聞
法務点景
弁護士の職印 大型案件 訴状にずらり
(記事)

公認会計士にも監査報告書に押印するための「職印」があるのではないだろうかと思います。
公認会計士協会に「印鑑登録」をする仕組みもなければならないでしょう。
場面や職域に関わらず(一市民としての押印かそれともある有資格者としての押印かに関わらず)、
法理的には印鑑というのは「本人確認の手段」であるわけです(「印鑑登録」と照合を行うために書面に押印をするのです)。
会社側としては、受領時に監査報告書に独立監査人の「職印」が押印されているかどうかの確認をするべきだったのだと思います。

 

 


それから、少しだけ話が脱線しますが、四半期報告書と言えば、
シンガポールでは四半期開示制度が2020年2月7日から廃止されるとのことです。
四半期開示制度の廃止に関する日本経済新聞の記事と、シンガポール取引所に関する記事を紹介します↓。
参考までに、四半期開示制度に関する私個人の考えを書きますと、日本でも現行の四半期開示制度は廃止すべきだと考えます。
と言っても、四半期毎の開示をしなくなるという意味では決してなく、通期の開示を廃止するべきだ、という意味です。
すなわち、通期の開示書類である有価証券報告書の提出を廃止して、
「第4四半期四半期報告書」の提出を導入するべきだと私は考えます。
現行の年3回の四半期レビュー(と年1回の正規の監査)は廃止し、
年4回の正規の監査(すなわち、四半期毎の正規の監査)に移行するべきなのです。
会社法上の年1回の事業報告の作成は今のままでよいわけですが、
金融商品取引法上の情報開示は、すなわち、証券制度上の法定開示書類の提出は年4回の四半期報告書の提出とするべきなのです。
日本の現行の四半期開示制度は、実は、"a strange mix of a disclosure"(妙な情報開示の集まり・混合物)なのです。
真の四半期開示制度には、通期(すなわち1年間)の情報開示は存在しないのです。

 


シンガポール取引所、四半期開示規則を緩和 2月から 上場企業つなぎ留め狙い

【シンガポール=谷繭子】シンガポール取引所(SGX)は四半期ごとの情報開示の原則を2月7日から廃止する。
四半期開示は負担が多いと、上場企業から見直しを求める声が強まっていた。
上場廃止の波を食い止め、株式市場の地盤沈下を防ぐ狙いがある。
SGXは2003年に四半期開示の原則を導入し、時価総額7500万シンガポールドル(約60億円)を超える上場企業に義務付けている。
新規則では、SGXや監査法人が情報開示に問題があると判断した企業を除き、決算発表は原則年2回で済む。
現在は上場企業の約70%にあたる500社超が四半期開示を義務付けられており、新規則では約100社に減る見通し。
四半期開示は投資家に定期的に情報を提供する一方、事務処理やコスト面での負担が大きいため、
中小企業などから不満が出ていた。経営が短期主義に陥り、長期的な戦略目標に向けた投資などを阻むとの懸念もあった。
香港やオーストラリア、英国、欧州の主要市場などが既に四半期開示の原則を取りやめている。
SGXは近年、上場を廃止が相次いでいる。上場企業数は過去2年で4%減少した。
(日本経済新聞 2020/1/10 15:48)
ttps://www.nikkei.com/article/DGXMZO54258460Q0A110C2FFE000/

 

2019年11月12日(火)日本経済新聞
商品部門責任者に聞く SGX、金融派生商品がけん引 「ヘッジ需要 不透明感で拡大」 取扱品目の多さ強み
(記事)

 

 


では、五洋インテックス株式会社の事例に戻ります。
五洋インテックス株式会社がこのたびの不祥事についてどのように情報発信を行っているか見てみましょう。
まず、五洋インテックス株式会社のウェブサイト上の「IRニュース」のページです↓。

「IRニュース」(五洋インテックス株式会社)

次に、東京証券取引所の適時開示情報閲覧サービスで、「検索期間」を「2019/12/23(月)〜2020/01/22(水)」にして、
「キーワード検索」を「五洋インテックス」にして、検索をした結果です↓。

「適時開示情報閲覧サービスの検索結果」

見比べてみると分かりますが、五洋インテックス株式会社のウェブサイト上の情報発信と
東京証券取引所の適時開示情報閲覧サービス上での情報発信は完全に別々である、ということが分かると思います。
一言で言えば、情報発信に全く統一感がない(情報発信方針や両者の区分が全く明確ではない)、という印象を受けます。
これならばいっそのこと、適時情報開示に関しては東京証券取引所の適時開示情報閲覧サービス上での情報発信のみ
とするべきではないだろうかと個人的には思いました。
自社ウェブサイト上での情報発信は、証券制度上は任意開示中の任意開示という位置付けになるわけです。
「適時情報開示はこのサイトで行います。」と証券制度がウェブサイトを定めるべきだと思います。
そしてその場合、適時情報開示ウェブサイトでの「検索可能期間」は最低でも5年間とするべきだと思います。
市場の投資家は、最低でも過去5年間の法定開示書類を閲覧するからです(その期間に合わせるべきだと思いました)。
東京証券取引所の適時開示情報閲覧サービス上では、たったの過去1ヶ月間の開示情報しか閲覧できません。
市場の投資家への情報提供という意味では、あまりにも閲覧可能期間が短いと言わざるを得ません。
それから、2020年1月17日(金)のコメントでは、株式会社クリエイト・レストランツ・ホールディングスの事例を題材にして、
臨時報告書の提出に関して一言書きました。
企業内容等の開示に関する内閣府令の第19条第2項第12号(臨時報告書の記載内容等)の解釈について一言だけ書いたわけです。
この点について再度考えるために、3月期決算の企業を題材にして、今日は次のような図を描いてみました↓。

「減損処理を行う場合は、決算期末日も含めて決算期末日以前に行わなければならない。」

このたびの五洋インテックス株式会社の事例が分かりやすい題材になるのではないかと思うのですが、
証券制度上の法定開示書類に記載される財務諸表の確定日は、独立監査人による監査報告書の会社側への提出日だと私は考えます。
たとえ会社側で損失の計上その他について取締役会決議を取った(会社としては会計処理の実施について正式に意思決定をした)
としても、その会計処理が独立監査人から認められるかどうかは監査が完了するまで分からない(未確定である)わけです。
他の言い方をすれば、たとえ会社の経理部で正式に会計帳簿に仕訳を記入したとしても、記入されたその仕訳が正しいかどうかを
判断するはあくまで独立監査人なのです(会社法上はともかく、少なくとも証券制度上はそのような考え方になります)。
その意味では、監査が完了するまで会社が行う会計処理が確定するということが少なくとも証券制度上は決してあり得ませんので、
将来の業績(仕訳や会計数値)に関連する事象を臨時報告書に記載して提出するというのは理論的には間違いだと私は考えます。


Both an allowance for bad debts and an impairment loss
must be recognized on or before a closing date of the concerned period.

貸倒引当金も減損損失も、当期の決算日を含め当期の決算日の前に認識をしなければなりません。