2020年1月18日(土)



「本日2020年1月18日(土)にEDINETに提出された全ての法定開示書類」




Today (i.e. January 18th, 2020), 0 legal disclosure document has been submitted to EDINET in total.

本日(すなわち、2020年1月18日)、EDINETに提出された法定開示書類は合計0冊でした。

 

 


2018年12月18日(火)のコメントで、ソフトバンク株式会社の上場に関する記事を計26本紹介し、
「有価証券の上場には4つのパターンがある。」という資料を作成し、以降、集中的に証券制度について考察を行っているのだが、
2018年12月18日(火)から昨日までの各コメントの要約付きのリンクをまとめたページ(昨日現在、合計396日間のコメント)。↓

各コメントの要約付きの過去のリンク(2018年12月18日(火)〜2019年4月30日(火))
http://citizen.nobody.jp/html/201902/PastLinksWithASummaryOfEachComment.html

各コメントの要約付きの過去のリンク その2(2019年5月1日(水)〜2019年8月31日(土))
http://citizen2.nobody.jp/html/201905/PastLinksWithASummaryOfEachComment2.html

各コメントの要約付きの過去のリンク その3(2019年9月1日(日)〜2019年12月31日(火))
http://citizen2.nobody.jp/html/201909/PastLinksWithASummaryOfEachComment3.html

各コメントの要約付きの過去のリンク その4(2020年1月1日(水)〜)
http://citizen2.nobody.jp/html/202001/PastLinksWithASummaryOfEachComment4.html

 


ユニゾホールディングス株式会社が行う「エンプロイー・バイアウト("Employee Buyout")」に関連するコメント
http://citizen2.nobody.jp/html/202001/CommentsWithRelationToAn'EmployeeBuyout'.html

 

 

 



2020年1月16日(木)日本経済新聞
■改正会社法、変わる報酬の決め方 社長報酬、見える化で増額? 「お手盛り」防ぎ、成果上乗せ
(記事)




 

2019年5月15日
株式会社東京証券取引所
「東証上場会社 コーポレート・ガバナンス白書2019」の公表
ttps://www.jpx.co.jp/news/1020/190515-01.html

「東証上場会社 コーポレート・ガバナンス白書2019」
ttps://www.jpx.co.jp/news/1020/nlsgeu000003zc0h-att/nlsgeu000003zc32.pdf

(ウェブサイト上と同じPDFファイル)


U.各論編
4.取締役会等の責務
4 ‐ 19.代表取締役社長等を退任した者の状況 131
〔コラムG〕事例から見る相談役・顧問等の呼称・選任・報酬
(141〜143/177ページをPDF出力・印刷したファイル)

 


会社法の条文

第三百六十一条(取締役の報酬等)
取締役の報酬、賞与その他の職務執行の対価として株式会社から受ける財産上の利益(以下この章において「報酬等」という。)
についての次に掲げる事項は、定款に当該事項を定めていないときは、株主総会の決議によって定める。
一 報酬等のうち額が確定しているものについては、その額
二 報酬等のうち額が確定していないものについては、その具体的な算定方法
三 報酬等のうち金銭でないものについては、その具体的な内容

 

 


【コメント】
紹介している2020年1月16日(木)付けの日本経済新聞の記事は、見出しだけを見ますと昨年12月に成立した改正会社法に関する
記事のように思ってしまうかもしれませんが、記事はどちらかと言うと証券制度(コーポレート・ガバナンス)上における
役員報酬の決定方法に関する内容になっています。
実務上の論点として、社長は他の役員の指名権と報酬の決定権を握りたいと思うのが本音であるわけですが、
そのままではチェック機能が働かず社長の「お手盛り」になってしまう、という指摘がなされています。
取締役や社長の選任とその報酬額の決定を透明化することが、コーポレート・ガバナンスを構築する上で重要だ、と書かれています。
以前も書きましたが、この記事で議論されています内容は、金融商品取引法で定めるべきことだと私は考えます。
上場企業に新たな義務を課する場合は、会社法ではなく金融商品取引法に規定を盛り込むようにするべきなのです。
それで、役員報酬の決定方法についてなのですが、現行の会社法の規定に基づきますと、一言で言えば、
「役員報酬の決定には、定款の規定があればそれに従い、定款の規定がなければ株主総会の決議によって定める。」
と定められています。
役員報酬は、株主総会決議によって決定している会社もあれば定款の定めによって決定している会社もある、
というのが現状であるわけです。
この点に関して言いますと、昨年12月に成立した改正会社法では、
「取締役の個人別の報酬等の決定方針についての決定を取締役会で行うこと」とされました。
役員報酬についての規定を定款に定めていない会社であれば、従来から毎年役員報酬について株主総会決議を取っている
わけですから、会社法が改正されても実務上は大きな問題はないわけですが、
役員報酬を定款の定めによって決定している会社は、改正後は、
役員報酬について毎年株主総会決議を取ることになるのではないか、というふうに私は思いました。
役員報酬に関する定款の定めというのは、実務上は(特に焦点となっている上場企業では)、
取締役の個人別の報酬を定めているものではなく役員報酬の総枠を定めているものだと私は思います。
既に定款に定められている役員報酬の総枠は、「取締役の個人別の報酬等の決定方針についての決定を取締役会で行うこと」
を想定していないので、株主の意向を反映させるため、別途株主総会の決議が必要なのではないだろうかと私は思ったわけです。
例えば、以下のPwC Legal Japan Newsにも、会社法の改正後の実務上の対応について、
「取締役の個人別の報酬等の内容が定款又は株主総会の決議で定められている場合には、
上記の取締役会における決議は不要です。」と説明されています。

会社法制の見直し〜取締役の報酬等に関する規律の整備・見直し(PwC Legal Japan News、September 2019)
ttps://www.pwc.com/jp/ja/legal/news/assets/legal-20190927-jp.pdf

(ウェブサイト上と同じPDFファイル)

やはり株主の意思を問うことを改正会社法は重視しているように私は思います。
そもそもの話をすると、株主の意向に沿うこと自体がコーポレート・ガバナンスの強化につながるはずなのです。
会社側が株主の意向に沿った結果株主の利益を害するということなど、論理的に考えて絶対にあり得ないことだからです。
コーポレート・ガバナンスを強化するための新たな制度構築ももちろん重要ですが、株主が自分達の意向を直接会社側に届ける
ことができるのならば、そちらの方がより直截的な("straightforward")コーポレート・ガバナンスの強化だと私は考えます。
コーポレート・ガバナンスについて考えると、株主が「これはこうだ。」と会社の事柄を決めることができるのならば、
実はそれに越したことはないのです。
逆から言えば、コーポレート・ガバナンスの議論というのは、株主が決定をしない事柄や
株主が取締役を信頼することができない状況を前提としているのです。
「取締役の個人別の報酬等の内容は都度株主総会の決議で定める。」、究極的にはこれが結論と言えば結論だと私は考えます。

 

 


それから、今日は、東証が作成・発表している「東証上場会社 コーポレート・ガバナンス白書2019」を紹介しています。
顧問や相談役の制度を廃止する上場企業が増えている、という記事も最近見かけました(白書はその記事で紹介されていました)。

Because "Carlos Ghosn" has gone away, both a "corporate condidant" and a "corporate aide" should be done away with.
("Carlos Ghosn"がいなくなってしまったため、「相談役」と「顧問」はどちらも廃止するべきなのです。)

社長報酬の決定だけではなく、「代表取締役社長等を退任した者」に対する報酬に関しても白書では議論されているのですが、
顧問や相談役は少なくとも会社法上の役員ではありません。
会社が顧問や相談役に対し報酬を支払う場合は、その現金の支払いは寄附金の側面が出てくるように思えます。
顧問や相談役に対する報酬の原資は役員報酬の原資とは異なっており、
顧問や相談役に対する報酬の支払いは利益の処分(剰余金の分配)ではない、という考え方になるように思いました。
役員に対する報酬の支払いは本質的に利益の処分(剰余金の分配)であるわけですが、
顧問や相談役に対する報酬の支払いは損益計算書に計上するべき事柄だと私は考えます。
利益の処分(剰余金の分配)であろうが損益計算書上の費用であろうが、その現金支出が税務上は損金とならない
ことに変わりはないわけですが、会社が獲得した利益を報酬の原資とするか否かは本質的に異なるものがあります。
顧問や相談役は業務を執行しているわけではない以上、その報酬の支払いを利益の処分(剰余金の分配)と位置付けるのは
理論的には間違っているように思います(その報酬の支払いは、営業活動上の何らかの費用と整理をするしかないと思います)。
参考までに紹介しますと、インターネットを検索していましたら、次のような英文がヒットしました(原典は不明です)。

The company treated the remunerations paid to three advisers as miscellaneous wages and salaries in the book.
(その会社は相談役の報酬を帳簿上雑給として処理した。)

また、上記の議論を逆から言いますと、取締役に対する報酬は本質的に利益の処分(剰余金の分配)であることを鑑みますと、
「取締役に対する報酬は会社の利益の獲得を目的にしたものではない。」という言い方ができると思います。
会社の利益の獲得を目的に業務を執行するのは取締役にとっては始めから「前提」とでも言うべきことであって、
取締役が報酬を目当てに業務を執行するというのは少なくとも法理上の考え方からすれば間違っていると言わねばならないのです。
取締役に対する報酬は、明確な基準(法理上の答え)はないものの、「業務執行の対価」であると整理をすることしかできません。
さらに言えば、「エンプロイー・バイアウト("Employee Buyout")」に関連して言いますと、EBO完了後は、
新しい株主である会社の従業員が(自身の就任も含めて)取締役や社長の選任とその報酬額の決定を行うようになります。
従業員に対し独裁政治をしいていた社長(a president who has imposed a "one-man" rule on empolyees)は、
これまでは従業員に対し「お手」と言っていたかもしれませんが、EBO完了後は、従業員から「お手」と言われるのです。
というのは冗談ですが(EBOの結果、株主と会社の距離が縮まるだけではなく従業員と会社の距離も縮まる、と言えるでしょう)。


There is no clear criterion for a remuneration for an execution of operations to a president.
And, shareholders also want to say, "How is a remuneration to a retiree from a president, etc. determined?"
All things considered, in order for shareholders to reinforce a corporate governance "straightforwardly,"
the amount of a remuneration to each and ever director should always be passed at a meeting of shareholders.

社長に対する業務執行の報酬に明確な基準はありません。
そして、株主はまた「社長等を退任した者に対する報酬はどのようにして決定されるのか?」とも尋ねたいと思っているわけです。
全てを考え合わせますと、株主がコーポレート・ガバナンスを「直截的に」強化できるようにするために、
全ての取締役1人1人に対する報酬金額を必ず株主総会で可決するようにするべきなのです。