2019年12月4日(水)



「本日2019年12月4日(水)にEDINETに提出された全ての法定開示書類」


Today (i.e. December 4th, 2019), 182 legal disclosure documents have been submitted to EDINET in total.

本日(すなわち、2019年12月4日)、EDINETに提出された法定開示書類は合計182冊でした。

 

 

 

2018年12月18日(火)のコメントで、ソフトバンク株式会社の上場に関する記事を計26本紹介し、
「有価証券の上場には4つのパターンがある。」という資料を作成し、以降、集中的に証券制度について考察を行っているのだが、
2018年12月18日(火)から昨日までの各コメントの要約付きのリンクをまとめたページ(昨日現在、合計351日間のコメント)。↓

各コメントの要約付きの過去のリンク(2018年12月18日(火)〜2019年4月30日(火))
http://citizen.nobody.jp/html/201902/PastLinksWithASummaryOfEachComment.html

各コメントの要約付きの過去のリンク その2(2019年5月1日(水)〜2019年8月31日(土))
http://citizen2.nobody.jp/html/201905/PastLinksWithASummaryOfEachComment2.html

各コメントの要約付きの過去のリンク その3(2019年9月1日(日)〜)
http://citizen2.nobody.jp/html/201909/PastLinksWithASummaryOfEachComment3.html

 

 

 


今日は「優先交渉権」について一言だけ書きたいのですが、まず最初に日本経済新聞のウェブサイトで「優先交渉権」
というキーワードで検索をして、見出しや本文中に「優先交渉権」という言葉が出てくる記事をいくつか紹介したいと思います。

 

中電不動産、5商業施設を取得 REIT転売目的で
(日本経済新聞 2019/11/29 19:30)
ttps://www.nikkei.com/article/DGXMZO52787900Z21C19A1L91000/

>転売目的の一時所有で、日本エスコンがスポンサーの不動産投資信託(REIT)と売買の優先交渉権を結んだ。

>REITと結んだ優先交渉権の有効期限は2021年2月末。


昭電工、退路断つ大型買収 日立化成の優先交渉権獲得 事業構造、先端材シフト
(日本経済新聞 2019/11/27付 朝刊)
ttps://www.nikkei.com/article/DGKKZO52649610W9A121C1TJ1000/

>日立製作所のグループ子会社である日立化成の買収を巡り、日立側から優先交渉権を得た。


旧JR九州本社をホテルに 香港系が優先交渉権
(日本経済新聞 2019/11/26 20:08 )
ttps://www.nikkei.com/article/DGXMZO52641720W9A121C1LX0000/

>オデッセイが土地建物を無償で借りて30億円を投じる計画で市から優先交渉権を得た。


「利益3割海外で」に布石 中部電、5千億円共同買収
(日本経済新聞 2019/11/26 19:32)
ttps://www.nikkei.com/article/DGXMZO52627270W9A121C1L91000

>中部電力が三菱商事と共同でオランダの電力会社エネコの買収で優先交渉権を取得した。


アシアナ航空、現代産業開発が買収へ 2000億円超で
(日本経済新聞 2019/11/12 14:17)
ttps://www.nikkei.com/article/DGXMZO52062930S9A111C1FFE000/

>アシアナ株を31%保有する錦湖産業が12日、
>現代産業開発と証券大手の未来アセット大宇が組む陣営に優先交渉権を付与すると発表した。

 

 



次に、インターネットで「優先交渉権」というキーワードで検索をしますと数多くの新聞記事や解説記事やプレスリリース等
がヒットするわけですが、ざっと見る限り、
インターネット上の解説記事の中では、次の解説記事が「優先交渉権」に関する最も詳しく分かりやすいと思いました↓。

 

「M&Aの優先交渉権とは何か」しっかり学ぶM&A基礎講座(9)
(M&Aonline M&A実務 2018-03-14)
ttps://maonline.jp/articles/kitagawa20180314

「解説記事の本文部分のみをコピーしてPDF出力・印刷したファイル」




また、実務上は、次のように「優先交渉権」は放棄されることもあるようです↓。

 

2019年9月26日
インヴィンシブル投資法人
物件取得に係る優先交渉権の放棄に関するお知らせ
ttps://www.invincible-inv.co.jp/news/upd/140120190926401256.pdf

(ウェブサイト上と同じPDFファイル)

 

 



「優先交渉権」というのは、読んで字のごとく、「ある買い手が他の買い手に優先して売り手と交渉をすることができる権利」
という意味です。
売り手が1人の買い手に「優先交渉権」を与えるわけですが、通常はM&Aの場面で用いられる概念・権利関係であるわけですが、
公共事業等の受発注や譲渡等に関連して公共団体が事業者に「優先交渉権」を与えるという場合もあるようです。
特に後者の文脈で「優先交渉権」が用いられる場合には、「優先交渉権者選定基準」が事前に定められていることも多いようです。
簡単に言えば、賄賂や癒着が疑われないように(公共団体が透明性のある事業者選定を行うため)なのだと思います。
今日はM&Aの場面で用いられる「優先交渉権」について一言だけ書きたいと思います。
売り手が買い手に対し「優先交渉権」を与える場面では、
通常は、「買い手が売り手側に提示する買収条件」を売り手側は根拠(算定基準)とするわけです。
通常は、よりよい買収条件(購入希望価格)を提示した買い手に「優先交渉権」が与えられるわけです。
ただ、うがった見方をすれば、「優先交渉権」を獲得したいがために買い手の経営陣が売り手の経営陣に接待をする、
というようなことも実務上はあり得るのかもしれないなとも思いました。
買収条件(購入希望価格)それ自体を引き上げるよりも売り手の経営陣に接待をした方がトータルでは買収総額が安く済む、
というような場面も現実にはあり得るのかもしれないなと思いました。
その場合に支出される「接待費」は、英語に直訳すると"Entertainment Costs"ではありますが、
税務上の「交際費」(損金にならない費用)に該当するのだろうかとふと思いました。
この論点に関しては、2019年10月29日(火)のコメントで類似した内容を書きました。

2019年10月29日(火)
http://citizen2.nobody.jp/html/201910/20191029.html

買い手が売り手の経営陣に接待をする際に飲食店等に支払った費用は取得原価(すなわち、損金となる費用)となり得る、
という考え方もできるのかもしれないなと思いました(実際の税法の解釈は分かりませんが)。
その費用を支出したからこそ「優先交渉権」を得ることができその後M&Aが成功し収益の獲得をすることができた、
というふうに考えますと、この文脈における「接待費」は損金となり得るなと思いました。
ただ、一旦獲得した「優先交渉権」を放棄しますと、当然のことながらその後収益の獲得がなされないことなりますから、
その場合の「接待費」は損金とはならない、という考え方になると思います。
企業会計上も税務会計上も、「費用・収益対応の原則」から会計処理や税務処理の妥当性を判断するようにするべきでしょう。
さらに言えば、売り手が買い手に「優先交渉権」を付与するに際し、売り手の経営陣が買い手の経営陣に接待をする、
という場面も現実には考えられると思いました(買い手の経営陣の受託者責任はここでは度外視しますが)。
「提示する買収条件(購入希望価格)を引き上げていただければ、御社に『優先交渉権』を付与したいと弊社は考えております。」
と売り手の経営陣が買い手の経営陣に話を持ちかける、ということもまた現実にはあり得る話だと私は思いました。
会社の所有財産の売却に関連する交渉であれば、その際の「接待費」は損金となり得ると思いました。
「取得の際の付随費用ではなく譲渡の際の付随費用である。」、というような考え方もでるように思いました。
付随費用というのは、現行の会計上は「取得」に関連する概念であるわけですが、
会社が行う商取引を大きな視点から捉えますと、「譲渡」に関連させることも概念的にできるように思いました。
また、株主の株式売却益の最大化を図るために(株主の利益のために)、会社の経営陣が買収提案者の経営陣に接待・交渉をする、
という場合の「接待費」は、確かに会社の収益(の獲得)そのものとは関係はない(確かに会計上の関係はない)ものの、
会社が収益を獲得するのはそもそも株主の利益のためである(経営上は会社の利益=株主の利益である)ということを鑑みれば、
その「接待費」もまた税務上は損金となり得る、という考え方も大きな視点から見ると観念できるように思いました。


The First Refusal Right can sometimes be waived. (優先交渉権は放棄されることもある。)