2019年11月10日(日)



「本日2019年11月10日(日)にEDINETに提出された全ての法定開示書類」




Today (i.e. November 10th, 2019), 0 legal disclosure document has been submitted to EDINET in total.

本日(すなわち、2019年11月10日)、EDINETに提出された法定開示書類は合計0冊でした。

 

 

 

2018年12月18日(火)のコメントで、ソフトバンク株式会社の上場に関する記事を計26本紹介し、
「有価証券の上場には4つのパターンがある。」という資料を作成し、以降、集中的に証券制度について考察を行っているのだが、
2018年12月18日(火)から昨日までの各コメントの要約付きのリンクをまとめたページ(昨日現在、合計327日間のコメント)。↓

各コメントの要約付きの過去のリンク(2018年12月18日(火)〜2019年4月30日(火))
http://citizen.nobody.jp/html/201902/PastLinksWithASummaryOfEachComment.html

各コメントの要約付きの過去のリンク その2(2019年5月1日(水)〜2019年8月31日(土))
http://citizen2.nobody.jp/html/201905/PastLinksWithASummaryOfEachComment2.html

各コメントの要約付きの過去のリンク その3(2019年9月1日(日)〜)
http://citizen2.nobody.jp/html/201909/PastLinksWithASummaryOfEachComment3.html

 

 

 


2019年11月9日(土)日本経済新聞
日本電産、環境債1000億円 国内最大額発行へ EVモーター開発費に
(記事)



2019年11月9日(土)日本経済新聞
イオンがハイブリッド債 数百億円規模
(記事)



2019年11月7日(木)日本経済新聞
「日本、割安な投資先多く」 米カーライルCEOに聞く
(記事)



2019年11月8日(金)日本経済新聞
「50年債」発行 交錯する思惑 投資家 高い利回り期待 財務省 需要不足を懸念
(記事)



2019年11月9日(土)日本経済新聞
50年国債は「検討課題」 麻生氏
(記事)

 

 

 



社債情報(日本電産株式会社)
ttps://www.nidec.com/jp/ir/stockholder/bond/

 

日本電産株式会社が前回(2019年7月19日に)社債を発行した時に提出された発行登録追補書類↓

R1.07.12 10:06
日本電産株式会社
発行登録追補書類(株券、社債券等)  
(EDIENT上と同じPDFファイル)





2019年11月8日
イオン株式会社
公募ハイブリッド社債(公募劣後特約付社債)の発行に関するお知らせ
ttps://ssl4.eir-parts.net/doc/8267/tdnet/1767064/00.pdf

(ウェブサイト上と同じPDFファイル)




R1.11.08 15:00
イオン株式会社
訂正発行登録書
(EDIENT上と同じPDFファイル)

 




環境債(かんきょうさい)
太陽光発電など再生可能エネルギーの導入による温暖化対策事業、廃棄物や水資源の管理、生物多様性保全など
環境対策事業に調達資金の用途を限定して発行される債券。グリーンボンドとも呼ばれる。
世界銀行が温暖化対策支援プロジェクトの資金調達などを目的として2008年に初めて発行した。
(野村證券 証券用語解説集)
ttps://www.nomura.co.jp/terms/japan/ka/A02899.html

 

 



【コメント】
紹介している記事とプレスリリースと法定開示書類を題材にして、社債について一言だけコメントを書きたいと思います。
1つ目の記事についてですが、日本電産株式会社がいわゆる環境債(グリーン・ボンド)を発行する方針であるとのことです。
環境債(グリーン・ボンド)とは、資金使途を環境分野に限定した債券のことなのですが、
現在環境問題が話題になっており(環境への取り組みが企業にとっての"reputation"(評判)にもなっている)、
環境保全などに関心を持つ幅広い投資家が環境債(グリーン・ボンド)を購入していると言われているようです。
「環境対策事業に調達資金の使途が限定されている」という点が環境債(グリーン・ボンド)の最大の特徴であるわけです。
日本電産株式会社は環境債を発行するに際して主幹事証券会社を選定すると書かれていますので、この環境債は個人向けの社債
ということになります(「募集」が行われる)し、また、数日中に発行登録追補書類を提出する段取りとなっているのでしょう。
そして、2つ目の記事についてですが、イオン株式会社はいわゆるハイブリッド社債を発行する計画となっているのですが、
イオン株式会社は公募形式(一般募集)(法の条文でいうところの「募集」)でハイブリッド社債を発行する計画となっています。
発行条件その他は異なりますが、日本電産株式会社もイオン株式会社も社債を「募集」により発行する計画であるわけです。
なぜこの点が気になっているのかと言えば、両社から発行される社債は上場はするのだろうかと思ったからです。
なぜ社債が上場するか否かが気になっているのかと言えば、普通社債以外の社債はたとえ上場しても市場に買い手があまりいない
のではないだろうか、と思ったからです(逆から言えば、普通社債であれば上場すれば市場に買い手が一定数いると考えられる)。
話を一般化して言えば、社債の条件が特殊であれば特殊であるほど、たとえその社債が上場しても市場に買い手はいない、となります。
このことも逆から言えば、社債の条件が特殊であれば特殊であるほど、社債発行後その社債の引き受け手は途中で売却できない、
ということになります。(普通社債であれば、引き受け手は償還前に市場で売却できる可能性が高いと言えます)。
以上書きましたことは3つ目の記事と関連のあることになるのですが、日本では目下プレイベートエクイティ(PE、未公開株)投資
が浸透し企業への資本提供だけでなく負債の提供も投資ファンドにとって有望な選択肢になっている、と記事には書かれています。
記事を読んで、「企業への負債の提供」とは例えば「社債の引き受け」を意味するのだろうと私は思いました。
そうしますと、投資ファンドというのは必ず将来の"divest"(投資の引き上げ)のことを考えながら投資をするわけですから、
「社債引受後、社債を上場させるよう発行者側に働きかける。」ということもファンド業の運営の中で行われ得ると思いました。
発行者としては社債発行時は社債を上場させる計画は全くなかった(例えば、発行時に「募集」をするだけの計画だった)のだが、
負債提供者(社債の引受者)から"drive"され(急き立てられ)社債を市場に上場させる、ということが実務上あり得ると思いました。
現在議論されています「50年国債」も論点は似ていると思うのですが、社債というのは償還期日まで保有し続けることを前提に
引き受けるものだと言っていいのですが、発行者と負債提供者が社債の発行・引受に関する協議・交渉を行う中で、
「社債の上場」が実務上の償還期日の長短の調整弁になり得る(社債の上場により引受手は社債を引き受けやすくなる)、
と私は思いました。
例えば、発行者は最短でも償還期日までの期間が20年間の社債を発行したいと考えているが
負債提供者は最長でも償還期日までの期間が10年間の社債しか引き受けることができないと考えているという場合、
発行する社債を上場させることによって、両者の協議・交渉は妥結するわけです。
すなわち、発行する社債を上場させることによって、発行者は償還期日までの期間が20年間の社債を発行することができ、
負債提供者も(発行時から10年間までの間に市場で売却することを前提に)償還期日までの期間が20年間のその社債を
ファンド業の運営上引き受けることができる、ということになるわけです。
また、発行者はいわゆる環境債(グリーン・ボンド)やいわゆるハイブリッド社債を発行しようと考えているのだが、
償還期日前の売却を考えれば売却可能性ができる限り高い社債を発行して欲しいと負債提供者は望んでいるという場合は、
負債提供者の希望を受け入れ妥協案として発行者は普通社債を発行する、ということも実務上は考えられると思います。
国債であれ社債であれ、また、標準的な債券であれ特殊な条件の付いた債券であれ、はたまた、長期の債券であれ短期の債券であれ、
引き受け手の需要があってこそ発行者は債券を発行できるわけですから、
発行者は引き受け手の需要を勘案した上で債券の諸条件を決定する必要があると私は考えます。
好意的に解釈すれば、「環境対策事業に調達資金を運用するのなら社債を引き受けましょう(利率は低くてもいいので)。」、
という負債提供者が世の中にいても理屈ではおかしくないのかもしれないなと思いました。

 

 



Whether a company issues a straight corporate bond or what you call a "green bond,"
an solvency of the company is all the same.

会社が普通社債を発行しようがいわゆる「グリーンボンド」を発行しようが、その会社の支払能力は全く同じなのです。

 

The fact that a company submits a "Shelf Registration Statement" (or a "Securities Registration Statement") means
that it is planning to issue securities not on a negotiation basis but by way of a "public offering" in the future.
To put it from the opposite side, if a company is planning to issue securities through a third-party allocation,
it doesn't have to submit a "Shelf Registration  Statement" nor a "Securities Registration Statement" at all.

会社が「発行登録書」(もしくは「有価証券届出書」)を提出したというのは、
その後その会社は相対取引によってではなく「募集」を通じて有価証券を発行する計画である、という意味なのです。
逆から言えば、会社が第三者割当によって有価証券を発行することを計画している場合は、
会社は「発行登録書」も「有価証券届出書」も提出する必要は全くないのです。




"Then, how about a listing of a corporate bond in question?"

それなら、その社債を上場させるというのはどうでしょうか?



Even if a company issues a long-term corporate bond,
a listing of the bond can shorten a duration of the bond from a standpoint of a provider of a debt.
To generalize about the discussion,
a listing of a bond facilitates the fact that a provider of a debt subscribes the bond.

たとえ会社が長期社債を発行する場合であっても、
その社債を上場させることによって負債提供者の立場から見た社債のデュレーションを短くすることができるのです。
話を一般化して言えば、債券を上場させると負債提供者は債券を引き受けやすくなるのです。




To put it abstractly, a listing of a bond can be a buffer for a provider of a debt.

抽象的に言えば、債券の上場が負債提供者にとっての緩衝材になり得るのです。