2019年10月21日(月)



「本日2019年10月21日(月)にEDINETに提出された全ての法定開示書類」


Today (i.e. October 21st, 2019), 363 legal disclosure document has been submitted to EDINET in total.

本日(すなわち、2019年10月21日)、EDINETに提出された法定開示書類は合計363冊でした。

 

 

 

2018年12月18日(火)のコメントで、ソフトバンク株式会社の上場に関する記事を計26本紹介し、
「有価証券の上場には4つのパターンがある。」という資料を作成し、以降、集中的に証券制度について考察を行っているのだが、
2018年12月18日(火)から昨日までの各コメントの要約付きのリンクをまとめたページ(昨日現在、合計307日間のコメント)。↓

各コメントの要約付きの過去のリンク(2018年12月18日(火)〜2019年4月30日(火))
http://citizen.nobody.jp/html/201902/PastLinksWithASummaryOfEachComment.html

各コメントの要約付きの過去のリンク その2(2019年5月1日(水)〜2019年8月31日(土))
http://citizen2.nobody.jp/html/201905/PastLinksWithASummaryOfEachComment2.html

各コメントの要約付きの過去のリンク その3(2019年9月1日(日)〜)
http://citizen2.nobody.jp/html/201909/PastLinksWithASummaryOfEachComment3.html

 

 

 


2019年10月21日(月)日本経済新聞
アスクル暫定・指名委員長 国広 正弁護士に聞く
社外取締役 なお会社寄り 解任は乱暴 市場の信頼失う
(記事)


 

「ゼミナール 金融商品取引法」 大崎貞和 宍戸善一 著 (日本経済新聞出版社)

第1章 コーポレート・ガバナンス
2. 直接的モニタリング
(1) 議決権行使の仕組
取締役の選任・解任方法
「34〜35ページ」





会社法の条文

第三百三十九条(解任)
役員及び会計監査人は、いつでも、株主総会の決議によって解任することができる。
2 前項の規定により解任された者は、その解任について正当な理由がある場合を除き、
株式会社に対し、解任によって生じた損害の賠償を請求することができる。

 

 

 



【コメント】
オフィス用品通販大手のアスクルとアスクル株式の約45%を保有するヤフーの関係が悪化し、
今年8月のアスクルの株主総会で前社長(取締役)の再任に反対する形で取締役を解任し、さらに、
当時前社長の再任を支持していた3人の独立社外取締役も同時に解任した(再任に反対票を投じた)、という出来事があったのですが、
アスクルが暫定で設置した指名・報酬委員会の委員長に対して行ったインタビューの記事を紹介しています。
昨日書きました「損害賠償の請求」と一部関連がある記事であると思いましたので、紹介しているのですが、
今日はまず最初に昨日書きましたコメントに一言追記を行いたいと思います。
昨日描きました概念図中に書きました説明の最後の一文として、昨日は次のように書きました↓。

>債権者(取引の相手方)に対し損害賠償を行う最初の人物は、会社(法人)である。

「会社が債権者に対し損害賠償金を支払う。」という関係にあるわけですが、このことを債権者(取引の相手方)の立場から見ますと、
「債権者(取引の相手方)が損害賠償を請求する最初の人物は、取締役ではなく会社(法人)である。」、
という考え方になるわけです(会社清算後に取締役が債権者に対し損害賠償金の不足額を支払う、という流れになるわけです)。
次に紹介している記事についてですが、これは取締役が解任されたことに関する議論になるわけですが、
紹介している金融商品取引法の教科書にも説明がありますように、会社法上は、その解任について正当な理由がある場合を除き、
解任された取締役は会社に対し解任によって生じた損害の賠償を請求することができます(会社法第三百三十九条第二項)。
つまり、今年8月の株主総会で解任されたアスクルの取締役計4名は、会社法のこの規定に基づき損害賠償を請求することができる、
という言い方ができるわけです(解任について正当な理由はない、とこれら4名の取締役は言いたいことでしょう)。
これら4名の取締役は株主総会において解任議案の可決により解任されたわけではない(選任議案が否決されただけ)のですが、
業務執行の一貫性や事業運営の継続性を鑑みれば、選任議案の否決も「株主総会の決議による解任」に実務上は含まれる、
という解釈をするべきだと私は考えます(第三百三十九条の「株主総会の決議」には実務上は「選任議案の否決」も含まれる、と)。
ただ、解任された取締役は誰に対して解任によって生じた損害の賠償を請求するのかを言えば、会社に対してであるわけです。
解任された取締役は、会社をより良い会社にしていこうと考えていたにも関わらず、株主によって解任されたわけですが、
取締役の解任により一番大きな損害を被ったのは他ならぬ会社であるわけですから、この点について考えてみますと、
「解任された取締役は株主に対して自分の解任によって会社に生じた損害の賠償を請求する。」(つまり、株主は、
取締役に対してではなく会社に対して損害賠償金を支払う)という考え方も概念的にはあり得るように思いました。
株式会社における有限責任制度には反するようにも思いますが、概念的には考えられるように思いました。
それから、会社法三百三十九条の趣旨は、取締役の利益保護にある(取締役会の権限の不可侵性を強く認める考え方に基づく)
ということではないかと私は考えますが、この規定にコーポレート・ガバナンスの強化の趣旨(証券制度上の論点)は全くない、
と私は考えます(一旦選任した取締役を正当な理由がないのに解任するのは株主総会の権限を逸脱するものと考えるべきでしょう)。
つまり、「正当な理由があれば取締役の解任がコーポレート・ガバナンスの強化につながり得る。」(つまり、問題があるのならば、
むしろ積極的に取締役を解任するべきだ。)、という見方は証券制度上も会社制度上も(会社法上も)あるのだと私は考えます。


A board of directors should be not a "staggered board of directors" but a "boast of a monolithic solidarity."

取締役会というのは、「期差任期制取締役会」ではなく、「一枚岩であることを誇りとしている取締役会」であるべきなのです。

On the current Companies Act, a director dismissed shall be entitled to demand
damages arising from the dismissal from a company.

現行の会社法では、解任された取締役は会社に対し解任によって生じた損害の賠償を請求することができます。