2019年10月8日(火)



「本日2019年10月8日(火)にEDINETに提出された全ての法定開示書類」


Today (i.e. October 8th, 2019), 185 legal disclosure documents have been submitted to EDINET in total.

本日(すなわち、2019年10月8日)、EDINETに提出された法定開示書類は合計185冊でした。

 

 

 

2018年12月18日(火)のコメントで、ソフトバンク株式会社の上場に関する記事を計26本紹介し、
「有価証券の上場には4つのパターンがある。」という資料を作成し、以降、集中的に証券制度について考察を行っているのだが、
2018年12月18日(火)から昨日までの各コメントの要約付きのリンクをまとめたページ(昨日現在、合計294日間のコメント)。↓

各コメントの要約付きの過去のリンク(2018年12月18日(火)〜2019年4月30日(火))
http://citizen.nobody.jp/html/201902/PastLinksWithASummaryOfEachComment.html

各コメントの要約付きの過去のリンク その2(2019年5月1日(水)〜2019年8月31日(土))
http://citizen2.nobody.jp/html/201905/PastLinksWithASummaryOfEachComment2.html

各コメントの要約付きの過去のリンク その3(2019年9月1日(日)〜)
http://citizen2.nobody.jp/html/201909/PastLinksWithASummaryOfEachComment3.html

 

 

 



2019年10月8日(火)日本経済新聞
廃業時の消費税 4割課税漏れか 個人事業主をサンプル調査 検査院、国税に改善要請
(記事)




【コメント】
昨日のコメントでは「今日の議論については明日少しだけ説明を追記したいのですが、」と書いたのですが、
急きょ他に指摘しておきたい論点を新聞等を読んでいて見かけましたので、昨日の論点に関する追記は明日にしたいと思います。
今日はまず、紹介している記事について一言だけ書きたいと思います。
見出しや記事本文を一読して、複数の点でこの記事は意味不明だと思いました。
廃業した個人事業主に関して消費税の課税漏れがある、とのことですが、中心となる部分を引用したいと思います。

>個人事業主の場合、業務で使う車や不動産の購入、商品の仕入れなどの際に支払った消費税は、事業を続けていれば控除されるが、
>廃業時は、こうした資産が私用に転用されたとみなされ、資産価値などに応じて消費税の申告が必要になる。

話を整理しますと、話の簡単のために廃業後は資産の譲渡は一切行わないと仮定しますが、
廃業時の消費税の取扱いに関しては、理論的には次のようになります。

○廃業時点の仮受消費税 → 確定申告をして仮受消費税を納付しなければならない。
○廃業時点の仮払消費税 → 取得資産は自己消費するという取り扱いなので、仮払消費税は自己負担扱い(会計上は租税公課)。
                          この仮払消費税については確定申告をしてもしなくても税の負担金額は全く同じ。

仮受消費税に関しては、譲渡済みの資産に関する仮払消費税を控除して、それらの差額を納付することになります。
仮受消費税が計上されているということは、取得した資産は譲渡済みだ(消費税を受け取っている)ということを意味します。
そして、譲渡をしないままに終わった資産に関する仮払消費税は、自己負担(控除されたりは決してしない)ということになります。
廃業後、消費税に関して確定申告をすると仮払消費税が還付される、などということは決してありません。
その意味では、記事に書かれていることとは正反対に、一体どこに課税漏れがあるのか私には全く分かりません。
さらに言えば、現行の所得税法の規定では、仮払消費税が(自己負担ではなく)損金(必要経費)になる、とのことです。
仮払消費税のことは所得税法上は「繰延消費税額等」というようなのですが、この「繰延消費税額等」は、
廃業後に所得税の確定申告をする(「繰延消費税額等」の存在を申告すれば)と必要経費(損金)に算入できる、とのことです。
この規定はこの規定でおかしな規定だなと個人的には思うわけですが、しかしそうしますと、またもや記事の内容とは正反対に、
確定申告に不備があると、課税漏れどころか「損金算入漏れ」ということになるのではないでしょうか。
消費税の確定申告と所得税の確定申告の2つがあるわけですが、現行の所得税法の規定では仮払消費税が損金になるようですが、
廃業後に消費税の確定申告をすると支払った消費税が還付されるということは現行の消費税法の規定ではありません。
いずれにせよ、理論上も現行の規定上も、複数の点でこの記事は意味不明です(どの部分が「課税漏れ」なのか全く分からない)。
コメントを書くに際しては、記事には、国税庁はホームページや書類などで廃業する個人事業主に向けて制度を告知した、
と書かれてありますので、国税庁のウェブサイトで「個人事業主 廃業時 消費税」というキーワードで検索してみました。
すると、約 358 件のページがヒットしたのですが、上から2番目に次のページが表示されましたのでこのページを参考にしました↓。

事業を廃業した場合の繰延消費税額等の処理
ttps://www.nta.go.jp/law/shitsugi/shotoku/04/25.htm

 

 



それから、今日様々な上場企業のプレスリリースを読んでいて、ある上場企業のプレスリリースが目に止まったのですが、
「ビート・ホールディングス・リミテッド」(ttps://beatholdings.com/)という上場企業があることを今日初めて知りました。
「ビート・ホールディングス・リミテッド」は、ケイマン諸島法に基づき設立・登記されている会社であり、
例えば定時株主総会もケイマン諸島法に従い招集・開催や株主の出席や議決権行使がなされることとなっています。
そして、「ビート・ホールディングス・リミテッド」は、「外国株」として、
東京証券取引所の市場第二部に上場(証券コード:9399)しているのですが、気になった点について一言だけ書きたいと思います。
まず最初に、参考になる資料をいくつか紹介します↓。

 

当グループについて(ビート・ホールディングス・リミテッド)
ttps://beatholdings.com/our-company/

「印刷したPDFファイル」


2019年10月7日
ビート・ホールディングス・リミテッド
当社の定時株主総会に関するお知らせ
ttps://beatholdings.com/press-releases/pdf/2019/20191007_04.pdf

(ウェブサイト上と同じPDFファイル)



「外国株」の銘柄一覧(東京証券取引所)
ttps://www.jpx.co.jp/equities/products/foreign/issues/index.html

(キャプチャー画像)


外国株の概要(東京証券取引所)
ttps://www.jpx.co.jp/equities/products/foreign/outline/index.html


売買単位の統一(東京証券取引所)
ttps://www.jpx.co.jp/equities/improvements/unit/index.html

(キャプチャー画像)





まず最初に思いましたのは、「外国株」という区分は、東京証券取引所に独立した区分として存在しているのではないかと
私は思っていたのですが、実際には、市場第一部、市場第二部、マザーズ市場、JASDAQスタンダード市場それぞれに
「外国株」という区分があるとのことです(「外国株」という外国株式専門の株式市場が単独で存在すると私は思っていました)。
会社運営上の根拠法令が日本法ではないことから投資家への一定の注意喚起のため、さらに、上場銘柄数も少数であるため、
外国株式はある1つの市場で(すなわち、日本株式は取引しない市場で)取引をするものと思っていました。
東京証券取引所に市場第一部、市場第二部、マザーズ市場、JASDAQスタンダード市場という独立した株式市場があるように、
東京証券取引所に「『外国株』株式市場」という独立した株式市場があるものと思っていました。
外国株式ですと、上場の要件や基準がどうしても日本株式とは必然的に異なる部分が生じるため、
独自の要件や基準を定めた独立した株式市場が「外国株」には設けられているのだろうと思っていました。
証券取引所に株式を上場させているのは外国法人であるため、
事業運営上の根拠法という意味でも有事の際のエンフォースメント(法執行)という意味でも、
日本株式が上場している株式市場とは全く異なる株式市場を別途設置しなければならないはずだ、と思っていました。
今日ビート・ホールディングス・リミテッドのことを知って、
「えっ、東京証券取引所の市場第二部に『外国株』という区分があるのか!?」
と非常に驚きました。
「外国株」という区分があるのは、株式市場にではなく、証券取引所にである、と私は思っていました。
端的に言えば、日本株式と外国株式を同一の株式市場で取引するのは間違いです。
日本株式を取引する株式市場と外国株式を取引する株式市場については、株式市場そのものを分けるべきなのです。
現行の東京証券取引所における「外国株」の区分の位置付けがどのようになっているのかについてはよく分かりませんが、
外国株式に関しては独自の要件と基準を設けた独立した株式市場で取引をするようにしなければならないと私は考えます。
それから、関連する論点になるのですが、一般に「2018年10月1日に上場株式の売買単位が100株に統一された。」と言われますが、
売買単位が100株に統一されたのは実は「内国株式」に関してだけです。
「外国株」に関しては、売買単位は100株に統一されてはいません。
現に、紹介している計5銘柄のうち、3銘柄は売買単位が100株以外となっています。
根拠法によっては、そもそも「単元株式数」("Share Unit")を定款で定めないという法律もあると思います。
「株式というのは1株単位で売買するものだ。」という観点から言えば、
売買単位や単元株式数という考え方をする方が間違っているわけです。
出資を最小単位まで細分化したものが株式なのですから、理論的には株式の最小単位は当然に「1株」以外観念できないわけです。
株式の最小単位を「1株」以外と定義することは、「株式は出資を細分化したもの」という定義に反するとすら言っていいでしょう。
混乱や錯誤を避けるためにも、売買単位数の点から言っても、外国株式に関しては取引する株式市場そのものを別にするべきなのです。


An annual meeting of shareholders of Beat Holdings Limited is operated on a basis of the law of the Cayman Islands.

ビート・ホールディングス・リミテッドの定時株主総会は、ケイマン諸島法に基づいて運営されます。


At least 3 brands still linger on whose trading unit is other than 100 shares
in the Foreign Stock Division in the First and the Second Section Market of Tokyo Stock Exchange.

東京証券取引所の市場第一部と市場第二部の中の外国株の区分に、
売買単位が100株以外の銘柄が少なくとも3銘柄今なお残っています。