2019年9月19日(木)



「本日2019年9月19日(木)にEDINETに提出された全ての法定開示書類」


Today (i.e. September 19th, 2019), 213 legal disclosure documents have been submitted to EDINET in total.

本日(すなわち、2019年9月19日)、EDINETに提出された法定開示書類は合計213冊でした。

 

 

 

2018年12月18日(火)のコメントで、ソフトバンク株式会社の上場に関する記事を計26本紹介し、
「有価証券の上場には4つのパターンがある。」という資料を作成し、以降、集中的に証券制度について考察を行っているのだが、
2018年12月18日(火)から昨日までの各コメントの要約付きのリンクをまとめたページ(昨日現在、合計275日間のコメント)。↓

各コメントの要約付きの過去のリンク(2018年12月18日(火)〜2019年4月30日(火))
http://citizen.nobody.jp/html/201902/PastLinksWithASummaryOfEachComment.html

各コメントの要約付きの過去のリンク その2(2019年5月1日(水)〜2019年8月31日(土))
http://citizen2.nobody.jp/html/201905/PastLinksWithASummaryOfEachComment2.html

各コメントの要約付きの過去のリンク その3(2019年9月1日(日)〜)
http://citizen2.nobody.jp/html/201909/PastLinksWithASummaryOfEachComment3.html

 

 



「WeWork」上場延期へ 10月以降、米紙報道

【ニューヨーク=大島有美子】米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ、電子版)は16日、
米シェアオフィス大手ウィーワークを運営するウィーカンパニーが米株式市場への上場を延期する見通しだと伝えた。
想定時価総額が1月時点の企業価値の半分以下に目減りする見込みで、企業統治など体制を整え直すために時間を要するとみられる。
WSJは関係者の話として、上場時期は少なくとも10月までずれ込む見通しだと伝えた。ウィーの大株主のソフトバンクグループは
「コメントを控える」と述べた。ウィーは13日、上場先候補をナスダックとする目論見書を米証券取引委員会(SEC)に提出。
市場関係者の間では今週にも投資家向けの説明会(ロードショー)が始まり、月内の新規株式公開(IPO)を目指すとみられていた。
ウィーは8月に財務や事業内容を記した目論見書をSECに提出した。ただ創業者のアダム・ニューマン最高経営責任者(CEO)の
影響が強すぎる議決権構造など、ウィーの企業統治や事業モデルの将来性に対して一部の投資家から懸念する声が上がっていた。
ウィーの企業価値は直近でソフトバンクグループが出資した1月時点では470億ドル(約5兆円)とされていたが、
足元のヒアリングでは150億ドル程度まで減るとみられている。英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)は
ソフトバンクGが上場延期を求めたとも報じていた。
ウィーは13日に提出した目論見書で、企業統治の改善策を列挙した。年内に筆頭の独立取締役を任命したり、
ニューマン氏に割り当てる特殊な種類株の議決権を減じたりするといった施策だ。
(日本経済新聞 2019/9/17 8:06)
ttps://www.nikkei.com/article/DGXMZO49866140X10C19A9000000/

 

 

WeWork上場延期、投資家との溝埋まらず

【ニューヨーク=宮本岳則】シェアオフィス「ウィーワーク」運営の米ウィーカンパニーが新規株式公開(IPO)を延期する。
事業モデルや企業統治への懸念が払拭できず、投資家からの評価が高まらなかった。
IPO成功を条件とした銀行団との融資契約があり、会社側はなお年内上場に意欲を見せるが、実現に向けたハードルは高い。
外部の筆頭株主、ソフトバンクグループの出方が焦点になりそうだ。
(日本経済新聞 2019/9/18 6:11)
ttps://www.nikkei.com/article/DGXMZO49918740Y9A910C1000000/

 

 



【コメント】
昨日のコメントに一言だけ追記をします。
昨日は、2019年9月15日(日)付けの日本経済新聞の記事(「ウィーワーク、IPO強行へ 創業者の議決権抑制 投資家に配慮」)を
紹介して、「上場を急がせざるを得ない立場にある者」が会社に上場を急がせているのであろう、という趣旨のことを書きました。
「上場を急がせざるを得ない立場にある者」とは、通常は、創業者ではありませんし創業者以外の取締役でもありません。
「上場を急がせざるを得ない立場にある者」とは、通常は、投資ファンド(ベンチャー・キャピタルの類)のような大株主です。
その理由は、昨日紹介した金融商品取引法の教科書にも書かれていますように、
ベンチャー・キャピタルは予め定められた期限までに投資家に出資持分を償還しなければならないからです。
ベンチャー・キャピタルは、株式投資からのエグジット(出口)をまさに株式取得の時から模索し続けているわけなのですが、
その最も典型的な手段が「株式上場」であるわけです(そして、現実には「株式上場」が最も成功したエグジットと言えます)。
株式投資からの別のエグジット(出口)の方法について、昨日紹介した金融商品取引法の教科書には、
「償還期限の近づいたファンドを抱えるベンチャー・キャピタルは、投資対象とした会社の株式公開が実現できない場合、
M&Aなどの別の手段による投資のエグジットを探さなければなりません。」、と書かれています。
しかし、投資対象とした会社の株式の買い手を会社の経営陣が探してくれるわけでは決してありません。
投資対象とした会社の株式の買い手は、投資ファンド(ベンチャー・キャピタル)自身が自分で探すしかありません。
潜在的買い手(株式を買ってくれそうな人・交渉相手)がストラテジック・バイヤーであれフィナンシャル・バイヤーであれ、
投資対象とした会社の株式の買い手は、投資ファンド(ベンチャー・キャピタル)自身が自分で探すしかありません。
簡単に言えば、所有株式をまとめて買ってくれる人を自分で探さねばならないわけですが、現実にはそれは非常に難しいのです。
その点、「株式上場」であれば、株式の買い手は始めから株式市場にいますし(買い手を探す必要はない)、
また、購入検討者も株式を小口で(1単元単位で)買うことができますので、買う方も買いやすい、ということになります。
教科書の脚注4には、「大企業がベンチャー企業の技術力に着目して株式公開前の段階での買収を望むといったケースもある」
と書かれていますが、相手方の事業戦略の適合性や保有資金量を全く気にせずに投資ファンド(ベンチャー・キャピタル)が
所有株式を売却することができるのは、現実には株式市場の投資家だけであるわけです(大富豪の篤志家でもいれば別ですが)。
株式投資からのエグジット(出口)の手段は、現実には「株式上場」が唯一にして最良なのだと私は思います。
それで、昨日のコメントでは、米ウィーカンパニーは9月中にも米株式市場に上場する計画だ、という記事を紹介したわけですが、
本日2019年9月19日(木)付けの日本経済新聞の朝刊には、会社は9月中の上場を断念した、という旨の記事が載っていました。
電子版から、関連する記事を2本紹介しています。
投資家がコーポレート・ガバナンス体制に懸念を抱いており、ヒアリングを行うと株式への需要が低迷しているとのことです。
米ウィーカンパニーは、引き続き年内に株式を上場させることを計画しているようですが、見通しは不透明のようです。
また、紹介している記事によりますと、米ウィーカンパニーにはIPO成功を条件とした銀行団との融資契約があるとのことです。
株式を上場させ一定金額の資金調達を達成することができた場合は、銀行団から融資を受けられる契約となっているのでしょう。
会社が妙に株式の上場を急いでいる様子があるのは、銀行団とのこの融資契約が理由の1つなのでしょう。
十分な情報開示を行い、情報の非対称性を最大限解消し、投資家が適正に投資判断をできるようにしなければなりません。
昨日のコメントでは、「株式市場に会社の株式を上場させると意思決定するのは一体誰なのですか?」と書きました。
制度上の手続きとしては株式上場については取締役会決議で意思決定するということになるわけですが、日本に即して言えば、
1999年10月以前の伝統的な証券制度では主幹事証券会社が株式の上場を承認するという証券制度であったわけですが、
現在の証券制度では株式の募集や売出しに「応じる・応じない」という形(意思表示)で株式市場の投資家が株式の上場を承認する
という関係性に発行者と投資家はあるべきだ、と私は考えます(そしてそのために、適正な情報開示を徹底すべきなのです)。
形式的な上場審査(申請書の受付等)は証券取引所が行ないますが、実質的な上場審査は投資家が行うべきだ、と私は考えます。
1999年10月以前の伝統的な証券制度では主幹事証券会社が発行者の内部情報に基づき上場の可否を判断していたのですが、
現行の証券制度では、「ディスクロージャー」に基づく投資家による投資判断が本質的に重要なことだと定義されています。
「"Approval by a subscription"(引き受けによる承認)」(私の造語です)が現行の証券制度に最も合致していると私は考えます。