2019年9月16日(月)



「本日2019年9月16日(月)にEDINETに提出された全ての法定開示書類」


Today (i.e. September 16th, 2019), 0 legal disclosure document has been submitted to EDINET in total.

本日(すなわち、2019年9月16日)、EDINETに提出された法定開示書類は合計0冊でした。

 

 

 

2018年12月18日(火)のコメントで、ソフトバンク株式会社の上場に関する記事を計26本紹介し、
「有価証券の上場には4つのパターンがある。」という資料を作成し、以降、集中的に証券制度について考察を行っているのだが、
2018年12月18日(火)から昨日までの各コメントの要約付きのリンクをまとめたページ(昨日現在、合計272日間のコメント)。↓

各コメントの要約付きの過去のリンク(2018年12月18日(火)〜2019年4月30日(火))
http://citizen.nobody.jp/html/201902/PastLinksWithASummaryOfEachComment.html

各コメントの要約付きの過去のリンク その2(2019年5月1日(水)〜2019年8月31日(土))
http://citizen2.nobody.jp/html/201905/PastLinksWithASummaryOfEachComment2.html

各コメントの要約付きの過去のリンク その3(2019年9月1日(日)〜)
http://citizen2.nobody.jp/html/201909/PastLinksWithASummaryOfEachComment3.html

 

 

 



【コメント】
すてきナイスグループ株式会社の事例を題材にして、一昨日と昨日のコメントに一言だけ追記をしたいと思います。
昨日のコメントでは、刑事当局による会社に対する捜査が会社に与える影響について書きましたが、簡単にまとめるならば、
「刑事当局が会社を捜査するとなると、結局のところ、業務執行(日々の営業)に関連する全ての資料が押収されてしまう上、
会社の全資産も差し押さえられてしまう(凍結される)ので、その会社は実際には事業を継続することが全くできなくなる。
実務上は、会社に対する刑事当局による捜査が開始されることは、その会社は数日中に債務不履行を起こすことを意味する。」
となります(法制度上は捜査と債務不履行は全く関係がないのだが、いざ捜査がなされると会社は実務上は債務不履行を起こす、と)。
すてきナイスグループ株式会社に対し金融商品取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)の疑いで横浜地方検察庁から捜査が
開始されたのは「2019年5月16日」のことであったわけですが、事業を営むための資料も資産も全て押収されてしまうため、
「2019年5月16日」をもってすてきナイスグループ株式会社は事業を営めなくなる(数日中に債務不履行に必然的に至る)わけです。
すてきナイスグループ株式会社は、「2019年5月16日」以降も、自社ウェブサイト上にプレスリリースをアップロードしたり、
TDnetに適時開示情報を開示したり、EDINETに法定開示書類を提出したりしています↓。

「すてきナイスグループ株式会社の自社ウェブサイトのプレスリリース(2019年5月16日」以降の分)」

「すてきナイスグループ株式会社のTDnet上の適時開示情報(最近1か月間の分)」

「すてきナイスグループ株式会社のEDINET上の法定開示書類(2019年5月16日」以降の分」

しかし、捜査に伴い、すてきナイスグループ株式会社からは文書作成のためのパソコン(会社資産)すら押収されているはずです。
また、自社ウェブサーバーやTDnetやEDINETへアクセス(ログイン)するためのIDとパスワードが記載された文書(メモ類)も
押収されているはずです(どのような資料が虚偽記載と関係があるかはすぐには判明しないため一旦は全て押収されるはずです)。
「2019年5月16日」以降、すてきナイスグループ株式会社は、ワードを用いて文書を作成することすらできなくなるはずです。
さらに言えば、捜査を受けている状態で被疑者が情報を発信することは認められるのか、という問題も別にあると思います。
捜査の都合上、被疑者に対し他者との接見・接触(伝言等の授受)を制限しなければならない場面もあろうかと思いますが、
被疑者がディスクロージャーを装い関係者と連絡を取るという可能性も十分に考えられます。
捜査の結果事実関係がはっきりするまでは、自社ウェブサイト上にプレスリリースをアップロードすること(サイトの更新等)や
TDnetに適時開示情報を開示することやEDINETに法定開示書類を提出することは刑事上の理由によりできない、と定めるべきでしょう。
それから、捜査を受けている間は、被疑者はどれくらい法律行為や意思決定を行ってよいのだろうかとも思いました。
刑法や会社法や金融商品取引法に捜査を受けている間は被疑者は法律行為や意思決定を行えないとは定められていないでしょうが、
役職員の個人的な犯罪であればともかく、会社の業務に関連する犯罪となりますと、必然的に相当数の会社関係者が同時に
拘束される状態になりますので、開放された役職員だけで業務を続けることは難しい場面もあるのではないかと思います。
有価証券報告書の虚偽記載の疑いで捜査を受けるとなりますと、その後会社が業務を再開することは現実には難しい気がします。
それから、昨日書きました「二重懲罰」に関してですが、昨日紹介した教科書の364ページの脚注5には、金融商品取引法には
課徴金と罰金や没収・追徴との調整規定が設けられている、と書かれています。
金融商品取引法の第185条の第7項(課徴金の納付命令の決定等)と第8項(決定の効力の停止)を読みますと(極めて長文ですが)、
極めて簡略化して言えば、違反者が実際に納付する課徴金の金額は、「審判官が算定した課徴金額−罰金や没収・追徴の金額」です。
つまり、違反者に対する処罰としては、刑事罰(司法)の方が課徴金(行政)よりも優先する、というような見方ができるでしょう。
ただ、このような調整規定ですと、課徴金の対象とした違反事実は必ず刑事罰の対象にもしなければならない、という考え方になる
ようにも思います(そうでなければ、違反者が実際に納付をするべき金額が算定できないということになるのではないでしょうか)。
さらに、第8項を読みますと、判断や決定に関しても、刑事罰(司法)の方が課徴金(行政)よりも優先する、と読めます。
同時に行われる場合は、証券取引等監視委員会による調査よりも刑事当局による捜査の方が優先する、という考え方なのでしょう。