2019年9月12日(木)



「本日2019年9月12日(木)にEDINETに提出された全ての法定開示書類」


Today (i.e. September 12th, 2019), 218 legal disclosure documents have been submitted to EDINET in total.

本日(すなわち、2019年9月12日)、EDINETに提出された法定開示書類は合計218冊でした。

 

 

 


2018年12月18日(火)のコメントで、ソフトバンク株式会社の上場に関する記事を計26本紹介し、
「有価証券の上場には4つのパターンがある。」という資料を作成し、以降、集中的に証券制度について考察を行っているのだが、
2018年12月18日(火)から昨日までの各コメントの要約付きのリンクをまとめたページ(昨日現在、合計268日間のコメント)。↓

各コメントの要約付きの過去のリンク(2018年12月18日(火)〜2019年4月30日(火))
http://citizen.nobody.jp/html/201902/PastLinksWithASummaryOfEachComment.html

各コメントの要約付きの過去のリンク その2(2019年5月1日(水)〜2019年8月31日(土))
http://citizen2.nobody.jp/html/201905/PastLinksWithASummaryOfEachComment2.html

各コメントの要約付きの過去のリンク その3(2019年9月1日(日)〜)
http://citizen2.nobody.jp/html/201909/PastLinksWithASummaryOfEachComment3.html

 

 


「ゼミナール 金融商品取引法」 大崎貞和 宍戸善一 著 (日本経済新聞出版社)

第2章 上場制度と発行開示
3. 発行開示制度
(4) 統合開示制度
「79〜80ページ」

 




2019年9月9日(月)に、株式会社新生銀行の株主による「売出し」についてコメントを書きましたが、
当該「売出し」に際し、株式会社新生銀行は有価証券届出書を提出していないようです。
「提出者/発行者/ファンド」を「新生銀行」、「書類種別」は全てを選択、
「提出期間」を「過去1年」という条件でEDINETを検索した結果です(2019年7月1以降に提出された書類の一覧です)↓。

「EDINETの検索結果」




Concerning a "secondary distribution" on a Shinsei Bank Share made last month,
Shinsei Bank has not submitted a Securities Registration Statement.
That is to say, transfers of a Shinsei Bank Share made in this "secondary distribution" are all invalid.

先月行われた新生銀行株式の「売出し」に関して、新生銀行は有価証券届出書を提出していません。
すなわち、この「売出し」で行われた新生銀行株式の譲渡は全て無効なのです。

 

 



【コメント】
今日は、発行者が上場した後に(上場している最中に)行われる「売出し」における価格について一言だけ書きたいと思います。
一般に「売出し」と聞きますと、発行者が上場する際に行われることだというふうに思うかもしれません。
確かに、1999年10月以前の伝統的な証券制度においてはそうでした。
1999年10月以前の伝統的な証券制度では、むしろ発行者が上場する際以外は「売出し」が行われることはありませんでした。
しかし、現行の証券制度では、「売出し」は証券制度上はいつでも行われ得ることとなりました。
そうしますと、現行の証券制度では、発行者が上場した後に(上場している最中に)行われる「売出し」における価格が
1つの問題になると言えるわけです。
発行者が上場した後に(上場している最中に)行われる「売出し」における価格は、一体どのように決定されるべきでしょうか。
と言っても、この問いの答えは始めから1つしかないように思えます。
すなわち、「株式市場における直近の株価を基準として決定される。」、というのがその答えであろうと思います。
市場の投資家は、現実には、株式市場における株価に基づいて、株式の取引を行っているのです。
主幹事証券会社が株式の本源的価値を再算定するというのもおかしいですし、
主幹事証券会社が「ブック・ビルディング」を行って(「売出し」への応募倍率が1倍になるように)「売出し」の価格を決定する
というのもおかしいわけです(どちらも、株式市場における株価との乖離に関して説明が付けられないように思います)。
「売出し」というのは、不特定多数の投資家を対象に行われるものです。
例えば相対取引であればお互いの合意に基づき全く任意の価格で株式の取引をすればよいのですが、
「売出し」は相対取引では全くありません。
「不特定多数の投資家を対象とする場合」は、やはり、株式市場における株価を基準にせざるを得ないと私は考えます。
逆から言えば、株式市場における株価というのは、「不特定多数の投資家を対象とする取引」における基準となる価格なのです。
ところで、昔は異なっていたようですが、現在では、継続開示を行っている発行者については、「統合開示制度」が利用可能です。
理論上は、「売出し」のための情報開示(「発行開示」)と株式市場における株式の取引のための情報開示(「継続開示」)は
完全に異なるという考え方になりますから、両者が分離しているのは理論上は当然ことだと言わねばなりません。
特に、株式が株式市場に上場していない場合のことを鑑みれば、両者が分離している理由がよく分かると思います。
ただ、「発行開示」にせよ「継続開示」にせよ、それら開示情報を根拠にして投資家が投資判断を行うことに変わりはありません。
投資家による投資判断の根拠は開示情報として最大限共通であるべきですから、統合するべき開示項目はむしろ統合するべきでしょう。


A price of a "secondary distribution" which is made at a new listing is determined
by a managing securities company for an underwriting,
whereas a price of a "secondary distribution" which is made during a listing is determined by an issuer itself.
When a "secondary distribution" is made during a listing, a managing securities compnay for an underwrting
doesn't make a "book-building" nor make a calculation of an instrinsic value of a share.
All things considered, when a "secondary distribution" is made during a listing, all of the interested parties
have no choice but to regard the current share price in the market as the fairest price.

新規上場の際に実施される「売出し」の価格は主幹事証券会社が決定しますが、
上場中に実施される「売出し」の価格は発行者自身が決定します。
上場中に「売出し」が実施される際、主幹事証券会社は、
「ブック・ビルディング」を行ったりはしませんし株式の本源的価値を算定したりもしません。
結局のところ、上場中に「売出し」が実施される際は、利害関係者は全員、
市場における現在の株価を最も公正な価格であるとみなす以外に選択肢がないのです。