2019年8月2日(金)



アスクル社長の再任案否決 株主総会、ヤフーが反対 独立社外取締役3人も

筆頭株主のヤフーと社長らの再任を巡って対立しているアスクルが2日、東京都内で株主総会を開いた。
約45%を出資するヤフーが業績低迷を理由に岩田彰一郎社長と独立社外取締役3人の再任に反対し、4人の再任議案は否決された。
アスクルは午後に新社長を決める。ヤフーとの対立が続くなか、新たな体制で業績回復をめざす。
株主総会では岩田社長のほか、独立社外取締役である戸田一雄氏、宮田秀明氏、斉藤惇氏の3人の再任議案が否決された。
ヤフーのほか、約11%を出資する第2位株主のプラス(東京・港)が反対に回った。
アスクルは午後に取締役会を開き、後任社長を選任する。新体制ではヤフーとの対立をどう収束させるかが最大の課題となる。
両社の関係はヤフーが消費者向けネット通販サイト「LOHACO(ロハコ)」の事業譲渡を申し入れたことから急速に悪化した。
アスクルはヤフーに資本・業務提携の解消を求めてきた。総会でヤフー取締役を兼務する小沢隆生社外取締役は
「ロハコのリバイバルプランを最大限バックアップしたい。ロハコをヤフーに持って行くことはない」と話した。
アスクルはヤフーとの資本・業務提携契約には著しい契約違反があった場合には株式の売り渡しを請求できる権利が
明記されているとも主張している。総会後にいったん矛を収めて両社が再び協調路線を歩む可能性がある一方で、
アスクルが株式の売り渡し請求権を行使すれば、対立がさらに長引く可能性もある。
取締役再任を否決された岩田氏は総会後の取材で「決議は重く厳粛に受け止める。地位や立場に恋々とすることはない」と述べた。
一方で「親子上場において少数株主の権利を守り、利益相反を防ぐ独立取締役を否認したことは非常に大きな事件だ」とし、
親会社のヤフーと第2位株主のプラスが独立取締役3人の再任に反対したことを改めて問題視した。
(日本経済新聞 2019/8/2 10:07 (2019/8/2 13:31更新))
ttps://www.nikkei.com/article/DGXMZO48111660S9A800C1EAF000/

 

 


アスクル岩田社長が退任 「立場にしがみつくつもりはない。全て終わり」

 アスクルは8月2日、都内で定時株主総会を開いた。取締役10人の選任議案が付議された結果、
約45%の株式を持つ筆頭株主のヤフーと、約11%の株式を持つ第2位株主のプラスが、
岩田彰一郎社長と独立社外取締役3人の再任に反対の議決権を事前に行使したため、株主総会の終了をもって4人は退任した。
他の社内・社外取締役は再任が決まった。
 岩田社長は株主総会の終了後に記者会見を開き、「再任が否決されたことは不本意であり、遺憾だが、総会の決議であるため
厳粛に受け止めて、本日をもって経営から退く」と明言。「新しい経営陣は、大株主からのプレッシャーと
戦わなければならないが、少数株主や従業員、取引先の顔を思い出して行動してほしい」と語った。
 今後については「立場にしがみつくつもりはない。アスクル経営陣との関わりは全て終わり。今後は少数株主として、
アスクルという会社自体に危ないことが起きないよう、外から注視していきたい」(岩田社長)と説明した。
 アスクルは2日午後1時現在、再任した取締役による取締役会を開き、新社長を含めた新しい経営体制を議論している段階だ。
 ただ同社はこれまで、独立社外取締役の監督のもとで指名報酬委員会を選定し、同委員会での答申を通して経営体制を決める
プロセスを採ってきた。今回は2社の議決権行使によって独立社外取締役が退任したため、
「プロセスそのものから議論している」(広報担当者)という。
 アスクルの広報担当者は、今後について「2日中に新体制を決め、決まり次第適時開示を行う予定だ」と説明した。
(ITmedia 2019年08月02日 13時26分 公開)
ttps://www.itmedia.co.jp/news/articles/1908/02/news083.html

 

 



2019年8月2日
アスクル株式会社
代表取締役の異動ならびに取締役、監査役の選任に関するお知らせ
ttps://pdf.irpocket.com/C2678/GDpy/I9lu/ponO.pdf

(ウェブサイト上と同じPDFファイル)




2019年8月2日
アスクル株式会社
その他の関係会社の決算に関するお知らせ
ttps://pdf.irpocket.com/C2678/GDpy/pHFa/AZsb.pdf

(ウェブサイト上と同じPDFファイル)




2019年8月2日
アスクル株式会社
本日の取締役記者会見について
ttps://pdf.irpocket.com/C2678/GDpy/I9lu/WzEa.pdf

(ウェブサイト上と同じPDFファイル)




 

IR情報(ヤフー株式会社)
ttps://about.yahoo.co.jp/ir/

2019年度第1四半期決算発表(2019年8月2日発表)
プレゼンテーション資料
ttps://s.yimg.jp/i/docs/ir/archives/present/2019q1/jp2019q1_presentation.pdf

(ウェブサイト上と同じPDFファイル)

 

 

 



「ゼミナール 金融商品取引法」 大崎貞和 宍戸善一 著 (日本経済新聞出版社)

第8章 支配株主が存在する上場企業と非公開化
1. 親子上場と少数株主保護
(4) 法制度の検討
法規制の選択肢とその影響
「222ページ」


>支配株主の少数株主に対する忠実義務を、会社法で規定することが考えられます。

 


A name and an address of a director "registered" at a local legal affairs bureau means "The buck stops here."

法務局に「登記」されている取締役の氏名と住所は、「ここで責任はとまる。(責任の転嫁はしない。)」という意味なのです。

 

Once a name and an address of a director is "registered" at a local legal affairs bureau,
the director can't shift his responsibility for damages to interests of minority shareholders
onto a controlling shareholder, actually.
That's a "registration."

いざ法務局で自分の氏名と住所が「登記」されると、
実は、取締役は少数株主の利益の損害に対する自分の責任を支配株主に転嫁することはできないのです。
それが「登記」なのです。

 

 

2018年12月18日(火)のコメントで、ソフトバンク株式会社の上場に関する記事を計26本紹介し、
「有価証券の上場には4つのパターンがある。」という資料を作成し、以降、集中的に証券制度について考察を行っているのだが、
2018年12月18日(火)から昨日までの各コメントの要約付きのリンクをまとめたページ(昨日現在、合計227日間のコメント)。↓

各コメントの要約付きの過去のリンク(2018年12月18日(火)〜2019年4月30日(火))
http://citizen.nobody.jp/html/201902/PastLinksWithASummaryOfEachComment.html

各コメントの要約付きの過去のリンク その2(2019年5月1日(水)〜)
http://citizen2.nobody.jp/html/201905/PastLinksWithASummaryOfEachComment2.html

 

 



【コメント】
昨日は、「支配株主と少数株主との間には利益相反関係があるのではないか?」という複雑な問題に対する結論を書きました。
この複雑な問題に対する結論は昨日のコメントで書き尽くしているように思いますので、昨日のコメントを読んで下さい。
昨日書きましたコメント中のある英文で単語が1つ抜け落ちていましたので追記と訂正をしたいと思います。
次の英文の最後に"protection"という単語を追記して下さい(下の英文は追記後の正しい英文です)↓。


If you take a prejudiced view, the "mandate system" in the "company system" functions
not as a scheme for a mandatary (i.e. a director) protection
but as a scheme for a mandator (i.e. all shareholders including a controlling sharehiolder
and minority shareholders) protection.

うがった見方をしますと、「会社制度」における「委任の制度」というのは、受任者(すなわち、取締役)を守るものではなく、
委任者(すなわち、支配株主と少数株主を含む全ての株主)を守るものなのです。


それから、今日は、金融商品取引法の教科書から、この複雑な問題に関するある1つの説明をスキャンして引用しています。
証券制度において重要な論点とされていますので、教科書でも1章を設け説明がなされています。
「支配株主が存在する上場企業において、少数株主の利益をどのように保護するか(もしくは保護する必要は本当にあるのか)?」、
という論点については、洋の東西を問わず活発に議論がなされているようです。
その多くの議論の中で、「支配株主の少数株主に対する忠実義務」という考え方があるということ今日初めて知りました。
「支配株主の少数株主に対する忠実義務」という考え方は、アメリカの判例法で認められているとのことです。
しかし、昨日も書きましたように、少数株主の利益が害されたことに対して責任を負うべきのは、専ら取締役なのです。
乱暴に聞こえるかもしれませんが、たとえ業務上の指図を取締役にしたのだとしても支配株主には何らの責任もないのです。


With a name and an address of a director "registered" at a local legal affairs bureau,
the director has publicly declared, "I am executing operations of this company of my own free will."
Even if a director merely followed a controlling shareholder's business order willy-nilly,
he is regarded as having executed the operation on his own responsibility (not on an order but on his own judgment).
I don't refer to such and such a president at such and such a country,
even if a director of a company has been elected exclusively by a controlling shareholder
or even if a director of a company has been dispatched from a parent company to a subsidiary company (the company),
a director of a company must say to interested parites including minority shareholders, "The buck stops here."

法務局に自分の氏名と住所が「登記」されることで、
取締役は「私は自由意思でこの会社の業務を執行しています。」と公に宣言しているのです。
たとえ取締役はいや応なしに支配株主の業務上の指図に従っただけなのだとしても
その取締役は自己の責任において(命令されたのでなく独断で)業務を執行したものと見なされるのです。
某国の某大統領ではありませんが、たとえ会社の取締役は専ら支配株主から選任されているのだとしても、
もしくは、たとえ会社の取締役は親会社から子会社へ(すなわちその会社へ)派遣されているのだとしても、
会社の取締役は少数株主を含む関係者に、「ここで責任はとまる。(責任の転嫁はしない。)」と言うしかないのです。