2019年5月6日(月)



2019年3月16日(土)日本経済新聞
デジタルファースト法案閣議決定 民間手続き電子化も視野 具体化には業界の反発も
(記事)




2019年3月18日(月)日本経済新聞
民事裁判手続き ネットで 法廷に出向かずウェブ会議 政府 22年度の運用目標
(記事)





2018年12月18日(火)のコメントで、ソフトバンク株式会社の上場に関する記事を計26本紹介し、
「有価証券の上場には4つのパターンがある。」という資料を作成し、以降、集中的に証券制度について考察を行っているのだが、
2018年12月18日(火)から昨日までの各コメントの要約付きのリンクをまとめたページ(昨日現在、合計139日間のコメント)。↓

各コメントの要約付きの過去のリンク(2018年12月18日(火)〜2019年4月30日(火))
http://citizen.nobody.jp/html/201902/PastLinksWithASummaryOfEachComment.html

各コメントの要約付きの過去のリンク その2(2019年5月1日(水)〜)
http://citizen2.nobody.jp/html/201905/PastLinksWithASummaryOfEachComment2.html

 

 



【コメント】
昨日は、関連する記事を計4本紹介し、「マイナンバー」の活用と「マイナンバーカード」の活用について考察を行いましたが、
昨日紹介し忘れた関連する記事を計2本紹介しています。
行政手続きを原則電子申請に統一するという「デジタルファースト」制度を導入することが目下政府の喫緊の課題となっており、
行政手続きのデジタル化では「マイナンバーカード」を活用することが制度上の前提になっているようです。
行政手続きの「デジタルファースト」制度に関しては、2019年3月13日(水)にもコメントを書いていますので、参考にして下さい。
今日紹介している記事を読みますと、文言としてそのまま書かれてあるわけではないものの、
やはり「人の住所が変動すること」(人が引越しをすることや相続により財産の所有者が変わること)を前提とした
社会基盤を政府は構築しようとしている、と思いました。
自分自身のこれまでの人生を振り返ってみますと、確かに役所に赴いたのは進学その他の際に住所が変わる時がほとんどであった、
ということに思い当たります。
特に住所が変動したわけではないのだが用事があったので役所まで行った、
ということは全くないとまでは言いませんが回数としては非常に少なかったと思います。
人が役所に赴くのは、実生活上は住所が変動した時がほとんどだと思います。
財産の取得や法人の設立という場面であれば当然法務局に赴きますが、
それ以外の場面では住所に変動が生じる場合にしか人は役所に赴かないように思います。
また、昨日は不動産の取得や法人設立の「登記」に関してのみ言及したわけですが、
自動車の取得に際してもナンバーの「登録」を行う必要が生じます。
「マイナンバー」と「自動車のナンバー」は実は概念的には似ていると思いました。
昨日は法務局で「マイナンバー」で検索をすれば氏名と住所を開示できる制度が求められる、と書きましたが、
実は陸運局で「自動車のナンバー」で問い合わせをすれば氏名と住所を開示してもらえます。
「自動車のナンバー」とその所有者の氏名と住所は、社会的に秘密にしなければならない情報では決してありません。
むしろ、自動車の所有者の氏名と住所を公に示すために、社会には「自動車のナンバー」というのはあるわけです。
不動産の所有者の氏名と住所は法務局で公に示されていることと同じです。
人が陸運局に行くのも、引越し(住所の変動)の時だけと言っていいでしょう。
また、たとえ人の住所は変動しないとしても(人が引越しをすることや相続により財産の所有者が変わることとは全く無関係に)、
人が実生活上行う行政手続き全般を全てインターネット上で済ませられるようにする、ということを政府は最終目標としています。
法務省は、インターネット上で民事裁判ができるよう(申立をネットでできる)民事訴訟法の改正を目指しているとのことです。
現在の日本の民事裁判手続きでは、当事者が裁判所まで赴き書面を提出することや対面で協議をすることが原則であるわけですが、
今後はインターネット上でのやり取りのみで裁判が完結するという場合も出てくるようです。
日本語で「オンライン裁判」、英語では"digital court"という言葉を私は考え付きました。
ただ、いくら陸運局での手続きがデジタル化されようとも、車検そのものは原理的にデジタル化できません。
それと同じで、裁判に関連する手続きに関しても、デジタル化したくてもできない部分というのは現実には残ります。
いずれせによ、行政上の手続きにせよ裁判上の手続きにせよ、デジタル化で一番問題となるのは、
人(当事者)の本人確認(技術的には「個人認証」)の部分だと私は思います。
「その人が本人であることをどのように確認するのか?」、という部分(簡単に言えば、手続きの安全性の確保)が
現実には一番問題になると思います。
「『対面』と『書面』が一番問題がない。」、というのもまた真だと私は思います。

 

 


2019年3月25日(月)日本経済新聞
伊藤忠から社長 小関氏、デサント受け入れ
(記事)




2019年3月26日(火)日本経済新聞
デサント、対立に終止符 取締役10人中9人退任 成長戦略、伊藤忠と連携カギ
(記事)



2019年3月26日(火)日本経済新聞
新生デサント、中国軸に 店舗年3割増、スピード課題
(記事)



2019年4月23日(火)日本経済新聞
伊藤忠、純利益25%増 前期、最高に 食料・繊維が好調
(記事)

 

2019年4月27日(土)日本経済新聞
新生デサント 「うまく発進」 伊藤忠社長
(記事)

 

 



2019年3月20日(水)日本経済新聞
潮田氏退任 株主が要求 LIXIL 臨時総会提案 「CEO交代、経緯不透明」
(記事)



2019年3月21日(木)日本経済新聞
LIXIL、深まる混迷 株主連合、潮田CEOの退任要求 旧INAX 創業家も賛同
瀬戸CEO退任で対立 統合後も融合進まず
(記事)



2019年3月23日(土)日本経済新聞
臨時総会の開催請求 「株主連合から受理」 LIXILグループ
(記事)



2019年3月26日(火)日本経済新聞
LIXIL、臨時総会5月中に 「瀬戸前CEO復帰を」 INAX出身取締役ら
(記事)



2019年4月5日(金)日本経済新聞
LIXILグのCEO解任支持 大株主の豪ファンド
(記事)

 

 



2019年4月6日(土)日本経済新聞
LIXIL トップ人事 瀬戸前CEOが反撃 潮田氏の退任を求める
(記事)



2019年4月6日(土)日本経済新聞
瀬戸氏、復帰意欲 前CEO「自信大いにある」 LIXL
(記事)



2019年4月10日(水)日本経済新聞
LIXILトップ人事問題 「取締役、創業家に遠慮」 調査報告書 全文を公開
(記事)



2019年4月12日(金)日本経済新聞
LIXIL総会開催申し立て
(記事)



2019年4月18日(木)日本経済新聞
臨時総会開催 申立書を受領 LIXIL
(記事)

 

 



2019年4月19日(金)日本経済新聞
潮田氏、取締役辞任へ LIXIL 瀬戸氏、復職へ株主提案
(記事)




2019年4月19日(金)日本経済新聞
LIXIL530億円赤字 責任巡り新旧トップ対立 前期最終
「瀬戸氏任命 最大の失敗」 潮田氏
(記事)



2019年4月20日(土)日本経済新聞
混迷LIXIL 行方決める関門 臨時総会あるか 指名委どう動く 委任状争奪戦も
(記事)



2019年4月24日(水)日本経済新聞
統治不全 見えぬ出口 LIXIL、潮田CEO辞任へ 影響力温存 透ける狙い
株上昇難しく/過去の総括を 市場の声
(記事)

 

 


2019年3月22日
株式会社LIXILグループ
株主による臨時株主総会の招集請求に関するお知らせ
ttps://ssl4.eir-parts.net/doc/5938/tdnet/1686090/00.pdf

(ウェブサイト上と同じPDFファイル)



2019年3月25日
株式会社LIXILグループ
臨時株主総会招集のための基準日設定に関するお知らせ
ttps://ssl4.eir-parts.net/doc/5938/tdnet/1686338/00.pdf

(ウェブサイト上と同じPDFファイル)



2019年4月17日
株式会社LIXILグループ
株主による臨時株主総会の招集許可申立てに関するお知らせ
ttps://ssl4.eir-parts.net/doc/5938/tdnet/1693133/00.pdf

(ウェブサイト上と同じPDFファイル)



2019年4月19日
株式会社LIXILグループ
株主提案に関する書面の受領のお知らせ
ttps://ssl4.eir-parts.net/doc/5938/tdnet/1693620/00.pdf

(ウェブサイト上と同じPDFファイル)

 

 


2019年4月20日(土)日本経済新聞
「投機級」社債 国内初の公募 アイフル、広がる調達手段 緩和マネーの受け皿に
(記事)




2019年4月26日(金)日本経済新聞 大機小機
機関投資家の節度
(記事)




2019年4月4日(木)日本経済新聞
三菱地所、初の50年債 国内最長、金利低下に対応
(記事)


2019年4月12日
三菱地所株式会社
国内初、50年債発行のお知らせ 第128回無担保社債、発行額150億円・利率1.132%にて本日条件決定
ttp://www.mec.co.jp/j/news/archives/mec190412_50cb.pdf

(ウェブサイト上と同じPDFファイル)

 

 


【コメント】
デサントと伊藤忠商事に関する記事を計5本、LIXILグループに関する記事を計14本紹介しています。
また、昨日書きました銀行の清算について議論をする上で題材となると思いました記事を計3本紹介しています。
デサントについては、伊藤忠商事による公開買付を題材として今年の3月にコメントを何回か書きましたので、
公開買付後の経緯ということで記事を紹介しているところです。
デサントに対する公開買付に関しては、反対の声明が関係者から多数表明されたわけですが、公開買付の成立を受けて、
伊藤忠商事としては「うまくスタートを切れた」と考えているとのことです。
LIXILグループについてですが、今年の3月の下旬に複数の機関投資家が創業家のCEOに退任を要求しているとのことです。
機関投資家としては、早期に臨時株主総会を開催して経営陣の刷新を図りたい考えであるとのことです。
今年の3月の下旬以降、この件に関する記事が頻繁に日本経済新聞に掲載されています。
LIXILグループとしては、そのような株主総会を開催することについては気が進まないようです。
株主総会招集に関する経緯(現在の状況、法律上の手続き)としては、
2019年4月12日(金)付けの日本経済新聞の記事と2019年4月18日(木)付けの日本経済新聞の記事に書かれています。
2019年4月12日(金)付けの日本経済新聞の記事には、次のように書かれています。

>LIXILグループの臨時株主総会の開催を求める機関投資家などの株主連合は11日、東京地方裁判所に総会の招集許可を申し立てた。

>会社側に総会招集を請求し約3週間がたつが、開催日時や場所の決定が滞っている。
>裁判所が認めれば、機関投資家らが総会を招集し運営することができるため、会社側に早期決定を促すことにつながると見込む。

2019年4月18日(木)付けの日本経済新聞の記事には、次のように書かれています。

>LIXILグループは17日、機関投資家ら株主連合が求めている臨時株主総会の招集許可に関して、
>申立書の送達を東京地方裁判所から受けたと発表した。

 

 



LIXILグループの人事その他についてはコメントはないのですが、
LIXILグループの記事とプレスリリースを読んでいて、ふと会社法上の論点(株主の権利)に気が付きました。
それは、どちらも株主の権利ではあるものの、@株主提案権とA株主総会の招集請求権は完全に別の権利である、という点です。
@株主提案権というのは、会社法の第303条に既定がある(「株主提案権」)のですが、
「株主は、取締役に対し、一定の事項を株主総会の目的とすることを請求することができる」という権利のことです。
A株主総会の招集請求権というのは、会社法の第297条に既定がある(「株主による招集の請求」)のですが、
「株主は、取締役に対し、株主総会の目的である事項及び招集の理由を示して、株主総会の招集を請求することができる。」
という権利のことです。
@株主提案権を有する株主は、
「総株主の議決権の百分の一以上の議決権又は三百個以上の議決権を六箇月前から引き続き有する株主」です。
A株主総会の招集請求権を有する株主は、「総株主の議決権の百分の三以上の議決権を六箇月前から引き続き有する株主」です。
@株主提案権は、既に招集・開催されることが確定している株主総会において、株主は自身が作成した議案を
株主総会に提出することができる、という権利です。
A株主総会の招集請求権は、招集・開催されることはまだ予定されていない株主総会に関して、
株主総会を招集することを会社に(取締役に)請求することができる、という権利です。
A株主総会の招集請求権に関しては、招集請求を行った株主は、請求後遅滞なく招集の手続きが行われない場合は、
裁判所の許可を得て自分自身が株主総会を招集することができる、と会社法に定められています。
しかし、@株主提案権に関しては、株主提案権を行使した株主は、
権利行使に伴い会社に提案した内容が株主総会議案として取り扱われない(当該議案が招集通知に付されていない等)場合は、
裁判所の許可を得て自分自身が当該議案を株主総会議案することができる、とは会社法には定められていません。
つまり、株主が@株主提案権を行使しても会社が応じない場合(会社が株主総会招集通知に議案として記載しない場合)
については、会社法には規定がありません。
実務上の対応策としては、株主からの要望に対し会社からの反発が予想されることが明らかな場合は、
株主は@株主提案権を行使するのではなく始めからA株主総会の招集請求権を行使する、という方策が考えられます。
A株主総会の招集請求権を行使する場合は、紆余曲折あっても最後は株主自身が議案の作成をも実行することができるからです。
また、@株主提案権は、通常は定時株主総会の招集に際してのみ行使されることが想定されます。
@株主提案権により株主が任意の時に株主総会議案を提案できるわけではありません。
株主がわざわざ株主総会議案を提案したいという場面というのは、通常は急を要する場面であろうと思います。
確かに、@株主提案権(1%以上)よりもA株主総会の招集請求権(3%以上)の方が行使のための法的要件は高いわけですが、
会社の反対を押し切ってまで株主総会を招集しようという場合は、
実務上はたった3%の保有議決権割合ではその後の会社運営(株主総会での議案の採決をも含む)は上手く行かないと思います。
会社運営に積極的に関与するという場合は、目安のようなものはないものの、
どんなに少なくても5%以上は議決権を保有しておかなければ、会社や他の株主に対する影響力があまりにないと思います。
非常に大まかに言えば、概念的に言えば、会社法制度において、
A株主総会の招集請求権(第297条)は@株主提案権(第303条)を包含するもの、という見方ができると思います。

 


最後に、昨日のコメントの追記になるのですが、銀行業について一言だけコメントを書きます。
ロイヤル・バンク・オブ・スコットランドのウェブサイトには、大きく次の2つがあるように私は思います。

The Royal Bank of Scotland Group plc
ttps://www.rbs.com/

Royal Bank of Scotland
ttps://personal.rbs.co.uk/personal.html

1つの目のサイトは、ロイヤル・バンク・オブ・スコットランドのコーポレート・ウェブサイトという位置付けであり、
プレスリリースや投資家向けの情報を開示しているウェブサイトになります。
2つの目のサイトは、ロイヤル・バンク・オブ・スコットランド(銀行)の顧客向けのポータルサイトという位置付けであり、
銀行が提供している顧客向けのサービスなどの紹介しているウェブサイトになります。
大まかに言えば、投資家は通常1つ目のウェブサイトを閲覧し、預金者は通常2つ目のウェブサイトを閲覧するのだと思います。
URLも大きく異なっていますので、"The Royal Bank of Scotland Group plc"は持株会社であり、
その傘下に"Royal Bank of Scotland"が銀行子会社として位置しているのだろうかと私は最初思ったのですが、
まだ確認はしていませんが、それは違うのかもしれません。
ただ、今日は、消費者金融大手のアイフルが日本で初めて「投機的等級」に分類される社債の公募を行う、という事例に触れて、
私見になりますが、次のような証券制度上のあること(公募に際して求められる情報開示について)が頭に思い浮かびました。
「ある会社甲が社債を発行するに際し、別の会社乙がその社債の履行を保証するという場合は、
発行者自身である甲は有価証券報告書を提出する必要はないが保証人である乙は有価証券報告書を提出する必要がある。」
なぜこのような考え方になるのかと言えば、債権者(社債保有者)の立場からすると、
社債の償還可能性は煎じ詰めれば保証人である乙の弁済能力にかかっているからです。
もちろん、社債の償還可能性は発行者自身である甲にもかかっている(むしろ、甲は主たる債務者である)わけですが、
特に債務者以外の人物がわざわざ債務の履行の保証を行うという場面では、債務者自身の支払能力は相対的には重要ではなく、
債務の履行可能性はもっぱら保証人の支払能力に依存する、という考え方になると私は思ったわけです。
乱暴に言えば、債権者(社債保有者)の立場からすると、社債が満額償還されさえすればいい、という言い方になるわけです。
株式の場合は、発行者自身の有価証券報告書を通じて、投資家は株式の本源的価値を正確に算定できなければなりませんが、
社債の場合は、投資家は「社債の償還可能性」のみを算定・判断できればよいわけです。
社債の本源的価値の最大値はあくまでその額面金額なのです(投資家は「社債の償還可能性」のみ判断できば必要十分なのです)。

 

Conceptually speaking, a "Demand for a Calling of a Meeting by Shareholders" (Article 297)
includes "Shareholders' Right to Propose" (Article 303).

概念的に言えば、「株主による招集の請求」(第237条)は「株主提案権」(第303条)を包含するものなのです。


An extreme example sometimes tells you an important fact.

極端な例を見ると重要な事実に気付くことがある。