2019年8月27日(火)



「本日2019年8月27日(火)にEDINETに提出された全ての法定開示書類」


Today (i.e. August 27th, 2019), 164 legal disclosure documents have been submitted to EDINET in total.

本日(すなわち、2019年8月27日)、EDINETに提出された法定開示書類は合計164冊でした。

 

 

2019年8月25日(日)日本経済新聞
議決権助言会社 規制の波 米 賛否推奨は「勧誘」 日 情報開示など要求
(記事)





「ゼミナール 金融商品取引法」 大崎貞和 宍戸善一 著 (日本経済新聞出版社)

第5章 機関投資家と議決権行使
3. 機関投資家による議決権行使
(3) 求められる適正な議決権行使
「162〜164ページ」


 

2018年12月18日(火)のコメントで、ソフトバンク株式会社の上場に関する記事を計26本紹介し、
「有価証券の上場には4つのパターンがある。」という資料を作成し、以降、集中的に証券制度について考察を行っているのだが、
2018年12月18日(火)から昨日までの各コメントの要約付きのリンクをまとめたページ(昨日現在、合計252日間のコメント)。↓

各コメントの要約付きの過去のリンク(2018年12月18日(火)〜2019年4月30日(火))
http://citizen.nobody.jp/html/201902/PastLinksWithASummaryOfEachComment.html

各コメントの要約付きの過去のリンク その2(2019年5月1日(水)〜)
http://citizen2.nobody.jp/html/201905/PastLinksWithASummaryOfEachComment2.html

 

 



【コメント】
今日は、紹介している記事と金融商品取引法の教科書を題材にして、議決権行使助言機関について一言だけ書きたいと思います。
紹介している記事の内容を踏まえて端的に書きたいのですが、結論だけを書きますと、「議決権行使助言機関が総会議案への
賛否推奨を市場に対し『公表』をした場合は、その推奨意見は証券規制上は投資家に対する『勧誘』に該当する。」となります。
逆から言えば、議決権行使助言機関が顧客である年金基金や資産運用会社に対し個別的に・内々に推奨意見を述べただけであれば、
その推奨意見は証券規制上の『勧誘』には該当しない、という考え方に理論上はなります。
「議決権行使助言機関である米インスティテューショナル・シェアホルダー・サービシーズ(ISS)が株式会社○○の
株主総会議案に反対を推奨している。」といった記事が時々新聞に載っていますので、漠然と推奨意見は一般に公表されているものと
思ってしまいますが、議決権に関する推奨意見が一般に公表されている方がむしろ少数派なのです。
議決権行使に限らず、株式の購入や売却そのものに関しても、友人・知人・投資に関する意見を求める人に対しあくまで個人的に
"That is a blue-chip brand."(あれは優良銘柄だよ。)と言っても証券規制上の「勧誘」には該当しないわけです。
一言で言えば、議決権行使助言機関が推奨意見を『公表』したら証券規制上の「勧誘」に該当する、となるわけです。
米ISS社の推奨意見の中には、一般には公表しない推奨意見(顧客にのみ伝達する推奨意見)もあるのではないかと思います。
米ISS社が「公表」している推奨意見も、全上場企業のうち一部の企業に関するものだけです。
米ISS社が一部の上場企業に関する推奨意見を敢えて「公表」しているのは、一種のマーケティングなのだと私は思います。
議決権行使助言機関が行っている業務は、広く言えば、「投資顧問業」の一種と捉えることができると思います。
「市場の投資家(不特定多数の投資家)に対する影響」という観点から、投資に関する助言行為を整理するべきだと私は考えます。
それから、紹介している教科書には、証券投資のプロ中のプロである機関投資家でさえ、自らの情報収集・審査では限界があるとして、
議決権行使助言機関のアドバイスに従って議決権行使を行うといった例があると書かれていますが、私はこの記述を読んで、
1999年10月以前の証券制度のような「極めて特殊な証券制度」が当時(1971年に)構築された理由は、「個人投資家には土台
適正な投資判断を行う十分なだけの時間と費用と能力はない。」と当時の制度設計者が判断したからではないかと推測しました。


I guess that securities system designers of 1971 judged
that investors in the market were fundamentally not able to peruse disclosure documents thoroughly
nor to analyze management conditions of an issuer profoundly nor to expect the future financial results reasonably
nor to calculate an intrinsic value of a share precisely nor to make an investment judgement properly.
To put it simply, securities system designers of 1971 judged
that investors in the market were "not able to make a securities investment at their own risk" from the beginning.

1971年当時の証券制度の設計者達は、市場の投資家というのは本質的に、開示書類を十分に精査することができず、
発行者の経営状況を深く分析することができず、合理的に将来の業績を予想することができず、
株式の本源的価値を正確に算定することができず、適正に投資判断をすることができない、と判断したのだと私は推測します。
簡単に言えば、1971年当時の証券制度の設計者達は、
市場の投資家はそもそも「自己の責任において証券投資を行うことができない」、と判断したのです。


In theory, to "publish" a recommendation on
how shareholders should exercise a voting right at a meeting of shareholders corresponds to the "solicitation."

理論的には、株主総会において株主はどのように議決権を行使するべきかについての推奨を「公表」することは、
「勧誘」に該当します。