2019年8月26日(月)



「本日2019年8月26日(月)にEDINETに提出された全ての法定開示書類」


Today (i.e. August 26th, 2019), 142 legal disclosure documents have been submitted to EDINET in total.

本日(すなわち、2019年8月26日)、EDINETに提出された法定開示書類は合計142冊でした。

 

 

2018年12月18日(火)のコメントで、ソフトバンク株式会社の上場に関する記事を計26本紹介し、
「有価証券の上場には4つのパターンがある。」という資料を作成し、以降、集中的に証券制度について考察を行っているのだが、
2018年12月18日(火)から昨日までの各コメントの要約付きのリンクをまとめたページ(昨日現在、合計251日間のコメント)。↓

各コメントの要約付きの過去のリンク(2018年12月18日(火)〜2019年4月30日(火))
http://citizen.nobody.jp/html/201902/PastLinksWithASummaryOfEachComment.html

各コメントの要約付きの過去のリンク その2(2019年5月1日(水)〜)
http://citizen2.nobody.jp/html/201905/PastLinksWithASummaryOfEachComment2.html

 

 


【コメント】
昨日は、公開買付制度とは関係ありませんが、大量保有報告制度についてコメントを書きましたが、
今日も大量保有報告制度について一言だけ書きたいと思います。
昨日のコメントでは、投資家が大量保有報告書や変更報告書を提出することの問題点とその解決策として、次のように書きました。

>大量保有株主が大量保有報告書または変更報告書を提出期限までに提出しないという事態が現実に想定されるとなりますと、
>上場企業の株主名簿をリアルタイムで開示した方が明らかに早い(適時だ)と改めて思いました。

「投資家が大量保有報告書または変更報告書を提出する。」という大量保有株主開示制度を採用することにしますと、
もう1つ別の問題が生じ得るなと今日気が付きました。
それは、極めて実際上の問題なのですが、大量保有報告書または変更報告書に間違いが生じ得るという問題です。
現に、大量保有報告書または変更報告書の訂正報告書が毎日のように提出されています。
今日紹介しているEDINETのキャプチャー画像にも、「訂正報告書(大量保有報告書・変更報告書)」が表示されています。
投資家はプロなのですから、発行者同様、間違いがない法定開示書類(大量保有報告書と変更報告書)を提出するべきなのですが、
提出される大量保有報告書や変更報告書に間違いが生じることを始めから避ける現実的かつ有効な手段があるわけですから、
やはり大量保有株主開示制度を見直すべきだ(すなわち、株主名簿そのものを開示するという手段に依るべきだ)と思いました。
さらに、適時性から言っても、株主名簿を開示するべきなのです。
次のような驚くべき変更報告書がありました↓。

R1.08.26 16:54
株式会社ホシ・クリエート
変更報告書 発行: 株式会社第一興商
(EDINET上と同じPDFファイル)


提出日は本日2019年8月26日であるわけですが、報告義務発生日は何と2ヶ月も前の2019年6月27日です。
投資家は2ヶ月もの間、間違った情報を基に投資判断を行っていた、ということになります。
確かに、株主名簿の開示だけでは共同保有の状況(とその総括)や保有目的や重要提案行為等の意図等は明らかになりませんので、
別途大量保有株主には(現行のそれとは少し異なる)大量保有報告書の類を提出する義務を証券制度上課するべきではありますが、
保有株式数の正確性と開示の適時性を鑑みれば、やはり投資家保護の観点から証券制度上株主名簿の開示を行うべきなのです。

 


それから、大量保有株主開示制度の基本となる法定開示書類ですので、大量保有報告書を1つ紹介します。
変更報告書と訂正報告書(大量保有報告書・変更報告書)を除いて今日現在提出日時が最も遅い大量保有報告書です↓。

R1.08.23 15:49
株式会社光通信
大量保有報告書 発行: 荏原実業株式会社
(EDINET上と同じPDFファイル)


昨日スキャンして紹介した金融商品取引法の教科書の大量保有報告書の説明には、次のように書かれています。

>大量保有者となった日から5営業日以内に、
>保有割合、取得資金、保有の目的等を記載した大量保有報告書を提出するよう義務づけています

「投資家が大量保有者となった日」とは具体的には一体いつのことを指すのだろうかと思いました。
大量保有報告書の文言を参考にしますと、「投資家が大量保有者となった日」とは「投資家が株式を取得した日」のことである、
と解釈をすることができると思います。
では、「投資家が株式を取得した日」とはさらに具体的には一体いつのことを指すのだろうかと思いました。
@株主名簿が書き換えられた日(決済日)でしょうか、それとも、A株主になることが確定した日(売買約定日)でしょうか。
この論点について考えるために、次のような図を描いてみました↓。

「大量保有報告書の提出期限」


結論を言えば、「投資家保護」の観点から言えば「取得確定日基準」を採用するべきであると私は考えます。
理論上の考え方のみを言えば、「株式の売買が約定すると同時に決済を行い即時に株主名簿を書き換える。
そして投資家は当日中に大量保有報告書を提出する。」というだけなのですが、実務上の取引制度を考慮して考えてみました。
「決済日は約定日から3営業日後」という取引制度は、明らかに1999年10月以前の伝統的な証券制度でしか有意ではないのです。


Even if a shareholder register itself has not been renewed yet, a report of a possession of a large volume
should be submitted as early as possible.
A report of a possession of a large volume should be submitted before a shareholder register is renewed.
To put it simply, not from a standpoint of the company system but from a standpoint of investors in the market,
a large shareholder has become a large shareholder when his trade (his buy-order) is agreed.
In conclusion, at least from a viewpoint of an "investor protection,"
a large shareholder should be considered to have acquired a share in question as at an agreement of his trade.

たとえ株主名簿そのものはまだ書き換えられていなくても、大量保有報告書はできるだけ早期に提出するべきなのです。
株主名簿が書き換えられる前に、大量保有報告書を提出するべきなのです。
簡単に言えば、会社制度の立場からではなく市場の投資家の立場からすると、
大量保有株主はその取引が(その買い注文が)約定した時に大量保有株主になったのです。
結論としては、少なくとも「投資家保護」の観点から言えば、
大量保有株主は取引の約定の時点で株式を取得したと見なすべきなのです。