2019年8月20日(火)


「本日2019年8月20日(火)にEDINETに提出された全ての法定開示書類」




Today (i.e. August 20th, 2019), 234 legal disclosure documents have been submitted to EDINET in total.

本日(すなわち、2019年8月20日)、EDINETに提出された法定開示書類は合計234冊でした。

 

 

「ゼミナール 金融商品取引法」 大崎貞和 宍戸善一 著 (日本経済新聞出版社)

第12章 金融商品取引法の業規制
2. 金融商品取引業者等の行為規制
(2) 特定投資家制度
制度の狙い
特定投資家とは
特定投資家との取引に適用されない行為規制
「325ページ」

「326〜327ページ」

「328〜329ページ」 

 


 

2018年12月18日(火)のコメントで、ソフトバンク株式会社の上場に関する記事を計26本紹介し、
「有価証券の上場には4つのパターンがある。」という資料を作成し、以降、集中的に証券制度について考察を行っているのだが、
2018年12月18日(火)から昨日までの各コメントの要約付きのリンクをまとめたページ(昨日現在、合計245日間のコメント)。↓

各コメントの要約付きの過去のリンク(2018年12月18日(火)〜2019年4月30日(火))
http://citizen.nobody.jp/html/201902/PastLinksWithASummaryOfEachComment.html

各コメントの要約付きの過去のリンク その2(2019年5月1日(水)〜)
http://citizen2.nobody.jp/html/201905/PastLinksWithASummaryOfEachComment2.html


 

 


【コメント】
昨日のコメントでは、「1999年10月以前の伝統的な証券制度は、実は純粋に素人向けであった。」という点について考察を行い、
1999年10月以前の伝統的な証券制度には、「『ディスクロージャー』によって投資家の利益を保護する。』という概念は
始めからなかった。」、という点についてコメントを書きました。
「現行の証券制度では投資家が読まなければならない法定開示書類や適時情報開示が極めて多いな。」と考えていましたら、
「1999年10月以前の伝統的な証券制度と現行の証券制度とでは、そもそも『証券投資の前提が異なっている。』のだ。」、
という結論(このことは知っている人は始めから知っていることなのでしょうが)に辿り着きました。
各発行者(各上場企業)自体は同じなままなのですが(1999年10月を境に株式会社が変質するわけでは決してないわけですが)、
投資家の方は1999年10月を境に従来とは全く異なることを前提とした証券投資を新たに始めなければならなかった、
と言っていいわけです。
各発行者(各上場企業)が営む事業自体は同じなままなのですが(1999年10月を境に株式会社の本業やビジネスモデルや
組織体制や事業運営方法等が(また、法律面から言えば、株式会社の根拠法が)変更になるわけでは決してないわけですが)、
投資家の方は1999年10月を境に従来とは全く異なることを要求する証券制度の上で証券投資を新たに始めなければならなかった、
と言っていいわけです。
一言で言えば、日本の証券制度は1999年10月に本当に大転換を遂げたと言っていいのです。
特に、この大転換の投資家にとってのインパクトは極めて大きいものがあったと言っていいわけです。
各発行者(各上場企業)にとっては、資本提携を模索するようになるであったり買収の可能性が生じるようになるといった
新たな機会と新たな脅威の両方がこの大転換によってもたらされた(それはそれで大きなインパクトがあった)わけなのですが、
各発行者(各上場企業)は事業を営むことがその本分であることに変わりはなかったため
(株式会社にとっての事業環境が変動したり株式会社が従来の事業を営めなくなってしまったということとは全く異なるわけです)、
この大転換のインパクトは投資家にとっての方がより大きかったと言えるでしょう。
端的に言えば、1999年10月を境に、投資家は従来の証券投資を行えなくなってしまったのです。
"ex-securities system"(かつての証券制度)を懐かしみ、株式市場から"exit"(立ち去る)した投資家もいたことでしょう。
この大転換のインパクトは複数の論点に整理されるでしょうが、最近のコメントに即して言いますと、
1999年10月を境に「『ディスクロージャー』によって投資家の利益を保護する。』という証券制度に変わったことが大きいのです。
投資家は日々大量の法定開示書類や適時情報開示を読まねばならなくなったわけです。
1999年10月以前の伝統的な証券制度では、毎日朝職場に出勤をして勤務をし夜に帰宅するという一般のいわゆるサラリーマンを
前提としていましたので、投資家は、日々大量の法定開示書類や適時情報開示を読むことをしなくても、さらには、
極端に言えば会計や法律の知識や経営の理論や実務を知らなくても、証券投資が行えるように制度設計がなされていたのです。
それが1999年10月以前の伝統的な証券制度の定義だった、とすら言っていいでしょう。
1999年10月以前の伝統的な証券制度における毎年5〜6月の有価証券報告書の提出と月曜日の分厚い日本経済新聞の発行・販売は、
証券制度の前提から言えば"ritual"(同じ形式で繰り返される儀式、儀式的行為)に過ぎないものだったと言えるでしょう。
株式の本源的価値や市場の株価は変動しない以上、それらが投資判断や意思決定に役立つということは決してなかったからです。
いい悪いを論じるつもりは全くありませんが、1999年10月を境に、
日本の株式市場は、全市場が「素人向け市場」から「プロ向け市場」に完全に変容を遂げたのです。

 


現行の証券制度(金融商品取引法)では、証券投資のプロフェッショナル(専門家)と考えられる投資家類型を
「特定投資家」としてわざわざ定義付けしているのですが、1999年10月以前の伝統的な証券制度の観点から見ますと、
実は市場の全投資家が証券投資のプロフェッショナル(専門家)であるということを現行の証券制度は前提としているのです。
ここまで法定開示書類や適時情報開示が多いとなりますと、
現行の証券制度では証券投資を専業で("full-time")行わないと現実には時間が全く足りないわけです。
率直言えば、サラリーマンをしながら証券投資を行うことは現行の証券制度では不可能なことなのです。
1999年10月以前の伝統的な証券制度における意味とは異なる意味になりますが、
現行の証券制度においても「市場の投資家に差異はない。」ということが前提となっているのです。
現行の証券制度では、市場の全投資家が証券投資のプロフェッショナル(専門家)であることが必然的に求められるのです。

 


The traditional securities system before October, 1999 used to presuppose amateur investors,
whereas the current securities system presupposes professional investors.
In other words, the traditional securities system before October, 1999 used to presuppose salaried workers in general,
whereas the current securities system presupposes "full-time" investors.
On the current securities system, in reality, each and every investor
has not choice but to devotes himself "full-time" to a securities investment.

1999年10月以前の伝統的な証券制度は素人の投資家を前提としていたのですが、
現行の証券制度はプロの投資家を前提としているのです。
他の言い方をすれば、1999年10月以前の伝統的な証券制度はサラリーマン全般を前提としていたのですが、
現行の証券制度は「専業の」投資家を前提としているのです。
現行の証券制度では、現実には、各投資家はいずれも皆証券投資を「専業」とせざるを得ないのです。

 

Some investors since before October, 1999 exited either from the stock market or from their place of an employment.

1999年10月以前からの投資家の中には、株式市場から立ち去るか勤務先から立ち去るかのどちらかをした人もいたことでしょう。