2019年7月29日(月)



2019年7月29日(月)日本経済新聞
アスクル独立委員会 ヤフー批判の声明 「ガバナンス蹂躙」
(記事)





2019年7月28日
アスクル株式会社
アスクル株式会社 独立役員会による「ヤフーによるアスクルの企業統治を蹂躙した議決権行使を深く憂慮する声明」提出について
ttps://pdf.irpocket.com/C2678/GDpy/BOJ5/BhTX.pdf

(ウェブサイト上と同じPDFファイル)




2019年7月29日
アスクル株式会社
ヤフー株式会社の7月29日付リリース「アスクルの第56回定時株主総会における取締役選任議案(第2号議案)の
議決権行使について」について、および本件に関する当社から経済産業省、東京証券取引所へのご報告について
ttps://pdf.irpocket.com/C2678/GDpy/BW8i/nW0Y.pdf

(ウェブサイト上と同じPDFファイル)

 

 


2019年7月29日
ヤフー株式会社
アスクルの第56回定時株主総会における取締役選任議案(第2号議案)の議決権行使について
ttps://file.swcms.net/file/sw4689/ja/ir/news/auto_20190729477185/pdfFile.pdf

(ウェブサイト上と同じPDFファイル)



4:アスクル株を保有する少数株主・プラス株式会社およびレオス・キャピタルワークス株式会社も岩田社長らの再任に反対
(3/4ページ)

>アスクルの少数株主で、ひふみ投信等で著名な資産運用会社であるレオス・キャピタルワークス株式会社(以下、レオス)からも、
>本日、弊社の議決権行使への賛同のコメントをレオスから弊社へ直接頂きましたのでお知らせいたします。

>レオスコメント「アスクルの業績向上および株価向上のため、8月2日開催の株主総会に係る議決権行使についての
>ヤフーの判断を支持します。本株主総会以降、速やかにアスクル(および大株主であるヤフー)が適切なガバナンス体制を
>構築されることを期待するとともに、少数株主の利益の確保が果たされているかを注視していきます。」

 


レオス・キャピタルワークス株式会社
ttps://www.rheos.jp/

↑レオス・キャピタルワークス株式会社からはアスクルの件に関しては、プレスリリース等の発表はありません。

 


2018年12月18日(火)のコメントで、ソフトバンク株式会社の上場に関する記事を計26本紹介し、
「有価証券の上場には4つのパターンがある。」という資料を作成し、以降、集中的に証券制度について考察を行っているのだが、
2018年12月18日(火)から昨日までの各コメントの要約付きのリンクをまとめたページ(昨日現在、合計223日間のコメント)。↓

各コメントの要約付きの過去のリンク(2018年12月18日(火)〜2019年4月30日(火))
http://citizen.nobody.jp/html/201902/PastLinksWithASummaryOfEachComment.html

各コメントの要約付きの過去のリンク その2(2019年5月1日(水)〜)
http://citizen2.nobody.jp/html/201905/PastLinksWithASummaryOfEachComment2.html

 

 



【コメント】
日曜日である7月28日、アスクルの独立委員会はヤフーの議決権行使を批判する声明を発表しました。
そして、その翌日である本日7月29日(月)、アスクルとヤフーそれぞれから関連するプレスリリースが発表されています。
昨日も書きましたように、会社の支配株主というのは経営上の理由から会社の支配株主(すなわちその株主自身)からの独立性を
明確に否定するものなのですから、理論的にはヤフーの議決権行使が正しい、という考え方になると私は思います。
それから、一連プレスリリースを読んでいて、今回の場面においても「うっかり共同保有」が生じていることに気付きました。
「うっかり共同保有」については2019年7月17日(水)のコメントでも書きましたので、この時のコメントを読んで下さい。
今回の「うっかり共同保有」の事例では、自分の所信の「本人による公表」ではなく、自分の所信の「他者による公表」に伴い、
「うっかり共同保有」の状態が結果的に生じる("blurt-out joint holding"、「漏出共同保有」という語を考えました)のです。



A situation that directors of a company object against its controlling shareholder
is exactly a symbol of a contradiction.

会社の取締役が会社の支配株主に対し物申すというのは、まさに矛盾の象徴なのです。


The fact that a controlling shareholder exercises its voting rights of its own free will
is not a "logic of a capital" but a "presupposition of management."

支配株主が自由意思で議決権を行使するのは、「資本の論理」ではなく、「経営の前提」なのです。


As soon as this press release was published, Rheos Capital Works has become a joint holder of Yahoo and Plus in theory.
It means that Rheos Capital Works must submit a statement of large-volume holdings
with this revealment of Rheos Capital Works's approval to Yahoo's exercise of voting rights as a trigger.
To put it simply, Rheos Capital Works has committed an "inadvertent joint holding."
Even if Rheos Capital Works had merely said to Yahoo with neutral remarks,
"I feel that your exercise of voting rights appears fine,"
it would have committed itself in an exercise of voting rights thanks to Yahoo's revelation.
The critical criterion in this discussion is "How do investors in the market regard this relationship between them?"
In a word, you can be a joint holder through someone else's publication.

このプレスリリースが公表されると同時に、理論上はレオス・キャピタルワークスはヤフーとプラスの共同保有者になったのです。
つまり、レオス・キャピタルワークスは、自社がヤフーの議決権行使に賛同していることが今回明らかになったことを契機として、
大量保有報告書を提出しなければならなくなった、ということです。
簡単に言えば、レオス・キャピタルワークスは「うっかり共同保有」を犯してしまったのです。
たとえレオス・キャピタルワークスはヤフーにどっち付かずの言葉で
「御社の議決権行使いいですね。」と言っただけだったのだとしても、
ヤフーが明らかにしたおかげで議決権行使においてのっぴきならぬ立場になってしまっていたでしょう。
この議論における決定的な基準は、「市場の投資家は両社のこの関係をどのように見るか?」なのです。
一言で言えば、他の誰かの公表によって共同保有者になり得るということです。