2019年7月17日(水)


アスクル大株主のプラス、ヤフーに賛同 アスクル社長再任に反対

アスクル(2678)の大株主で事務用品を手掛けるプラス(東京・港)は17日、アスクルが8月2日開催予定の定時株主総会で
同社の岩田彰一郎社長の再任議案に反対すると発表した。プラスは「ヤフーの考えに賛同」する立場だとし、
今後株主としてアスクルの企業価値の向上の取り組みに協力するとしている。
アスクルが2018年12月に関東財務局に提出した四半期報告書によると、同年11月20日時点で、
プラスはアスクルの発行済み株式数(自己株式を除く)の11.63%にあたる593万5000株を保有する第2位の株主。
アスクルの筆頭株主であるヤフーとプラスの保有株を合計すると議決権ベースで過半となる。〔日経QUICKニュース(NQN)〕
(日本経済新聞 2019/7/17 13:33)
ttps://www.nikkei.com/article/DGXLASFL17HA1_X10C19A7000000/

 

 

2019年7月17日
アスクル株式会社
ヤフー株式会社からの社長退陣要求と、アスクルからの提携解消協議申入れのお知らせ
ttps://pdf.irpocket.com/C2678/Uxy1/bg4s/mzxD.pdf

(ウェブサイト上と同じPDFファイル)



2019年7月17日
ヤフー株式会社
アスクル株式会社からの「業務・資本提携に係る協議の申入れ」に関するお知らせ
ttps://file.swcms.net/file/sw4689/ja/ir/news/auto_20190717472835/pdfFile.pdf

(ウェブサイト上と同じPDFファイル)



2019年7月17日
ヤフー株式会社
アスクル株式会社の第56回定時株主総会における取締役選任議案(第2号議案) に対する当社議決権行使に関するお知らせ
ttps://about.yahoo.co.jp/pr/release/2019/07/17a/

(本文のキャプチャー画像)

 

 



2019年7月17日
プラス株式会社
アスクル株式会社の第56回定時株主総会における取締役選任議案(第2号議案) に対する当社議決権行使に関するお知らせ
ttps://www.plus.co.jp/news/201907/0003747.html

(本文のキャプチャー画像)

>当社は本日、ヤフー株式会社が発表した「アスクル株式会社の第56回定時株主総会における取締役選任議案(第2号議案)
>に対する当社議決権行使に関するお知らせ」を受け、アスクル株式会社が2019年8月2日に予定している第56回定時株主総会の
>第2号議案「取締役選任議案」において、岩田彰一郎代表取締役社長の再任に反対の議決権行使を行う予定である
>ことをお知らせいたします。
>当社としてもヤフー株式会社の考えに賛同しており、
>今後株主としてアスクル株式会社の企業価値向上の取り組みに協力していく所存です。

 

 

「ゼミナール 金融商品取引法」 大崎貞和 宍戸善一 著 (日本経済新聞出版社)

第7章 株式公開買付け(TOB)をめぐる規制
2. 大量保有報告制度
(2) 大量保有報告書と変更報告書
「205〜206ページ」



 

2018年12月18日(火)のコメントで、ソフトバンク株式会社の上場に関する記事を計26本紹介し、
「有価証券の上場には4つのパターンがある。」という資料を作成し、以降、集中的に証券制度について考察を行っているのだが、
2018年12月18日(火)から昨日までの各コメントの要約付きのリンクをまとめたページ(昨日現在、合計211日間のコメント)。↓

各コメントの要約付きの過去のリンク(2018年12月18日(火)〜2019年4月30日(火))
http://citizen.nobody.jp/html/201902/PastLinksWithASummaryOfEachComment.html

各コメントの要約付きの過去のリンク その2(2019年5月1日(水)〜)
http://citizen2.nobody.jp/html/201905/PastLinksWithASummaryOfEachComment2.html

 

 


【コメント】
アスクル株式会社は5月期決算であり8月2日に定時株主総会を開催する予定となっているのですが、
社長の再任議案にヤフー株式会社が反対の意見を表明し、その後、プラス株式会社が「ヤフーの考えに賛同」する立場である旨
意見を表明しヤフー株式会社と同様に社長の再任議案に反対の意見を表明する、という事態になっています。
ヤフー株式会社はアスクル株式会社の親会社(議決権の約45%を保有)であり、
プラス株式会社はアスクル株式会社の第2位の大株主(議決権の11.63%を保有)という状況です。
関連するいくつかの記事を読んで、「プラス株式会社とヤフー株式会社は金融商品取引法上の共同保有者に該当することになるので、
ヤフー株式会社はアスクル株式会社に関する変更報告書を提出しなければならないのではないか?」と私は思いました。
確かに、プラス株式会社とヤフー株式会社は直接に面会して協議を行い議決権行使方針について合意をした、
というわけではないと思います(極端なことを言えば、両社は一度も会ったことも会話をしたこともないかもしれません)。
また、プラス株式会社とヤフー株式会社は、お互いに、保有者の配偶者や保有者である法人の親子会社や兄弟会社の
間柄にあるというわけでもありません(つまり、両社は当然に同一の議決権行使を行う関係にあるというわけではありません)。
しかし、一言で言えば、「ヤフーとプラスは実質的に同一の議決権行使をする。」のです(少なくとも市場の投資家から見れば)。
ヤフーとプラスは、少なくとも市場の投資家から見ると同一の議決権行使をする「共同保有者」に該当しますので、
金融庁に大量保有報告書に係る変更報告書を提出すると同時に、その写しをアスクル株式会社にも送付せねばならないのです。
一言で言えば、双方の「公表」という行為が、「暗黙の合意」という状況を証券制度上結果的に生じさせるのだと私は考えます。
ヤフー株式会社のこのたびの「公表」は、議決権行使に関する一種の「勧誘」(もしくは「申し込み」)に相当するはずです。


Generally, a shareholder doesn't publish his own mind on exercising a voting right.
From a standpoint of general investors in the market,
Yahoo and Plus seem to be planning to exercise their respective voting rights in cooperation with each other.
To put it simply, in my personal opinion, Yahoo, as well as Puls, must probably submit
a statement of changes to a statement of large-volume holdings because they have newly started a joint holding.
Genarally speaking, on the securities system, a "publication" is essentially critical.
The "publication" by Yahoo is virtually a tacit inducement (or another form of an "offer").
And, Plus has given its approval to Yahoo's proposal through its "publication."
This is a coined word of my own making, but the situation above amounts to an "inadvertent joint holding."
A shopper doesn't all the way ask a cashier at a checkout counter in a supermarket
a question "Do you consent to sell this article on sale at a price of its price tag?"

通常は、株主は議決権行使に関する自分の意向を公表したりはしないのです。
市場の一般投資家の立場から見ると、ヤフー社とプラス社はお互いに協力をしておのおのの議決権を行使する計画である、
というふうに見えるのです。
簡単に言えば、私個人の考えでは、プラス社もヤフー社も、
新たに共同保有を始めたのだから大量保有報告書に係る変更報告書をおそらく提出しなければならないのです。
全般的なことを言えば、証券制度上は、「公表」というのは本質的に局面を左右するのです。
ヤフーによる「公表」は事実上の暗黙の勧誘(もしくは、形を変えた「申し込み」)なのです。
そして、プラスは、「公表」を通じてヤフーの提案に賛同をしたのです。
これは私の造語なのですが、上記の状況は結局「うっかり共同保有」ということになるのです。
買い物客はスーパーマーケットのレジの店員さんに「値札に付いてる価格でこの販売商品を売ることに合意をしますか?」
とわざわざ尋ねたりはしないのです。