2019年6月25日(火)



2019年6月25日(火)日本経済新聞
清水建 初の自社株買い 200億円上限に
(記事)





2019年6月24日
清水建設株式会社
自己株式取得に係る事項の決定に関するお知らせ
ttps://pdf.irpocket.com/C1803/eHSm/cNmc/tYdI.pdf

(ウェブサイト上と同じPDFファイル)




配当方針・配当状況(清水建設株式会社)
ttps://www.shimz.co.jp/company/ir/stock/dividends/

「キャプチャー画像」



株式の状況(清水建設株式会社)
ttps://www.shimz.co.jp/company/ir/stock/info/

 


2018年12月18日(火)のコメントで、ソフトバンク株式会社の上場に関する記事を計26本紹介し、
「有価証券の上場には4つのパターンがある。」という資料を作成し、以降、集中的に証券制度について考察を行っているのだが、
2018年12月18日(火)から昨日までの各コメントの要約付きのリンクをまとめたページ(昨日現在、合計189日間のコメント)。↓

各コメントの要約付きの過去のリンク(2018年12月18日(火)〜2019年4月30日(火))
http://citizen.nobody.jp/html/201902/PastLinksWithASummaryOfEachComment.html

各コメントの要約付きの過去のリンク その2(2019年5月1日(水)〜)
http://citizen2.nobody.jp/html/201905/PastLinksWithASummaryOfEachComment2.html

 

 



【コメント】
清水建設株式会社が同社として初めて自社株買いを実施すると発表した、とのことです。
2019年5月23日(木)のコメント紹介しましたように、2019年5月14日には三菱地所株式会社が同社として初めて自社株買いを
実施すると発表しました(三菱地所株式会社は実は同時に増配も発表していたのですが、その時のプレスリリースです↓)。


2019年5月14日
三菱地所株式会社
自己株式取得に係る事項の決定に関するお知らせ(会社法第165条第2項による定款の定めに基づく自己株式の取得)
ttp://www.mec.co.jp/j/news/archives/mec190514_repurchase.pdf

(ウェブサイトと同じPDFファイル)


2019年5月14日
三菱地所株式会社
剰余金の配当(増配)に関するお知らせ
ttp://www.mec.co.jp/j/news/archives/mec190514_dividend.pdf

(ウェブサイトと同じPDFファイル)


どちらのプレスリリースにも「1.自己株式の取得を行う理由」が記載されていますが、
清水建設株式会社の理由は「資本効率の向上により更なる企業価値向上を図るため。」であり、
三菱地所株式会社の理由は「資本効率の向上及び株主還元のため。」となっています。
清水建設株式会社も三菱地所株式会社も、自社株買いが解禁された2001年から株式市場に上場していたかと思いますが、
他の多くの上場企業は頻繁に自社株買いを行ってきた中、両社は18年間も自社株買いを行わなかった、ということであるわけです。
「両社はなぜ今になって自社株買いを行おうと決めたのだろうか?」、と私は考えました。
清水建設株式会社を題材にして、会社が配当ではなく自社株買いを行う理由について考えてみました。
ウェブサイト上の「配当方針・配当状況」を見ますと、2019年度(2020年3月期)は会社による予想値ではあるものの、
最近6年間の「1株当たり当期純利益」も「1株当たり配当金」も「配当性向」も順調に推移しています。
棒グラフを見ても表を見ても、会社には十分な配当を支払う余力がないということとは異なるように思います。
すなわち、清水建設株式会社は今後も増配を行う財務状況にはあるように思うわけです。
しかし、それでも清水建設株式会社は19年目にして初めて意図的に自社株買いを行うことを決めたわけです。
増配というだけでも株主は満足するでしょうし、配当を行おうが自社株買いを行おうが、資本と現金の減少額は同じです。
すなわち、配当を行おうが自社株買いを行おうが、会社にとって財務上の影響(資金需要への対応)は同じであるわけです。
そこで、私は、1999年以前の伝統的な証券制度(全株主が1単位のみを保有している状況)を考察・議論の叩き台にして、
「投資家にとって証券投資とは何か?」という観点から、自社株買いの株主に与える影響について考察をしてみました。
私の頭には、「代替投資」や「証券ポートフォリオ」(の入れ替え)という言葉や概念が浮かびました。
株主にとって、自社株買いに応じることは、証券投資という観点から言えば、結果、保有銘柄の入れ替えを意味するのです。
株主は、自社株買いに応じた後、証券投資をやめるわけではありません。
株主は、自社株買いに応じた後、新たな別の銘柄に投資をするのです。

 

 


Merely a company's good dividend is good enough to satisfy its shareholders in terms of cash.


現金という観点から言えば、会社が十分な額の配当を支払うだけで株主を満足させるのには十分なのです。

 

Whether by means of a dividend or by means of a share buyback, a reduction in both an equity and cash is all the same.

配当を用いようが自社株買いを用いようが、資本・現金両方の減少額はどちらにせよ同じなのです。

 

From a point of a bird's-eye view, the fact that a company makes a share buyback means
that it implicitly prompts some of its shareholders to a new investment in another company.
In other words, a company's share buyback is hints on a securities investment for its shareholders.
A company's payout policy can indicate its view on the stock market.
For example, from a standpoint of Shimizu Corporation, its share buyback means
not that its dividend can't be satisfactory to its shareholders any longer
(i.e. it can't satisfy its shareholders by means of its dividend any longer)
but that it suggests another alternative to its shareholders
and indirectly prompts its shareholders to invest in another brand as a new securities investment.
The fact that a shareholder accepts a company's share buyback means
that he withdraws one of his securities investments (i.e. what you call a "securities portfolio") at least temporarily.
After he viewed this press release of Shimizu Corporation, its considering shareholder
should have started to review other brands once again as a potential alternative securities investment.

大きな視点から見ると、ある会社が自社株買いを行うということは、
その会社は自社株主に対し別の会社に新たに投資をすることを暗に思いつかせている、という意味なのです。
他の言い方をすれば、会社が自社株買いを行うことは、自社株主に対する証券投資に関する有益な助言なのです。
会社のペイアウト・ポリシーというのは、その会社の株式市場に対する見方をそれとなく示すことがあります。
例えば、清水建設株式会社の立場から見ると、自社株買いを行うことは、
会社の配当はもはや自社株主にとって申し分ないほど良好なものではなくなった
(すなわち、会社は配当ではもはや株主を満足させることができなくなった)ということを意味しているのではなく、
会社は自社株主に別の選択肢があることをそれとなく気付かせ、新しい証券投資として別の銘柄へ投資を行うことを
自社株主に暗に気付きを与えているということを意味しているのです。
会社が行う自社株買いに株主が応じるということは、その株主は少なくとも一時的には
自身の証券投資群(すなわち、いわゆる「証券ポートフォリオ」)の1つから手を引くということを意味するわけです。
清水建設株式会社のこのプレスリリースを見た後、
検討を行っている清水建設株主は代わりとなり得る証券投資として他の銘柄を再吟味し始めたはずです。