2019年6月23日(金)
2019年6月21日(金)日本経済新聞
■国内初50年債、買い手はソニー生命 「人生100年」超長期債で備え 働き盛り世代の顧客多く
(記事)
日本版スチュワードシップ・コードに対する基本的な考え方および当社の議決権行使について(ソニー生命保険株式会社)
ttps://www.sonylife.co.jp/company/management/jsc/
「ゼミナール 金融商品取引法」 大崎貞和 宍戸善一 著 (日本経済新聞出版社)
第4章 流通市場における情報開示
1. 法定継続開示制度
(2) 継続開示制度の意義
「112〜113ページ」
2018年12月18日(火)のコメントで、ソフトバンク株式会社の上場に関する記事を計26本紹介し、
「有価証券の上場には4つのパターンがある。」という資料を作成し、以降、集中的に証券制度について考察を行っているのだが、
2018年12月18日(火)から昨日までの各コメントの要約付きのリンクをまとめたページ(昨日現在、合計187日間のコメント)。↓
各コメントの要約付きの過去のリンク(2018年12月18日(火)〜2019年4月30日(火))
http://citizen.nobody.jp/html/201902/PastLinksWithASummaryOfEachComment.html
各コメントの要約付きの過去のリンク その2(2019年5月1日(水)〜)
http://citizen2.nobody.jp/html/201905/PastLinksWithASummaryOfEachComment2.html
【コメント】
まず最初に、昨日のコメントに一言だけ追記をします。
昨日のコメントでは、議会への立候補者でさえ、公示日から投票日が終わるまでは公職選挙法により
メッセージを発信することが全面的に禁止されている、と書いたわけですが、公職選挙法のこの規定の趣旨は、
有権者1人1人は皆同一の条件で投票を行わねばならないからではなく(有権者側の理由というわけではなく)、
公正な選挙運動が行われることを担保するため(立候補者側の理由)であると私は思います。
以前は選挙の投票日は決まっていた(ある日曜日1日だけだった)、すなわち、政治家の選挙に事前投票という概念はなかった
にも関わらず、公職選挙法にこの規定はあったわけです。
公職選挙法のこの規定の趣旨は、有権者の投票を公正にするためというわけではないのだと私は思います。
それから、株主総会における事前投票について、昨日は次のように書きました。
>たとえ事前投票だけでその結果が確定しているとしても、会社は株主総会の前に投票の結果を開示するべきではないのです。
正式な結果発表の日前に結果を発表するということは間違っていると言いたいわけですが、関連する議論になりますが、
公開買付に関しても公開買付の終了日まではその結果やその途中経過(応募状況)を発表するべきではないと私は思います。
「公開買付に目下どれくらいの応募が集まっているか。」について公開買付期間中に報道がなされたりすることがありますが、
公開買付に関する途中経過(応募状況)の発表そのものが応募するか否かについて検討をしている株主の投資判断に
影響を与えてしまいます(すなわち、途中経過(応募状況)の発表前に応募をした株主との間に情報格差が生じることになる)。
対象会社の株主は同一の情報に基づいて応募するか否かについての投資判断をしなければなりませんので、
たとえ終了日前にその結果が概ね判明しているとしても、誰も終了日の前に公開買付の結果を発表するべきではないのです。
次に、東日本旅客鉄道株式会社が償還までの期間が50年間の社債を発行するという事例についてです。
私はこの事例を見て、現在の証券制度で重要とされている「銘柄間の比較可能性」についてふと気付くことがありました。
東日本旅客鉄道株式会社は、償還までの期間が異なる社債を合計4種類発行する計画であるわけですが、
50年物と30年物と20年物と10年物をそれぞれ比較することはできないのではないだろうかとふと思ったわけです。
債務者(発行者)それ自体はもちろん同一であるものの、償還までの期間が異なると、それぞれの償還期日が異なっている以上、
その時々の債務の弁済能力(債務の支払能力)も当然に異なるということになりますので、償還可能性がそれぞれ全て異なっている
のではないかと私は思うわけです(50年物はその日に償還できるが10年物はその日に償還できないということがあり得る、と)。
極端に言えば、4種類の社債はそれぞれあたかも異なる発行者が発行しているかのような状態が生じるわけです。
同一の発行者が発行した社債でさえ、単純比較はできない(償還可能性が互いに異なる)、という言い方ができると思いました。
債務者(発行者)は同じであるものの50年物と30年物と20年物と10年物はそれぞれ独立した有価証券であるように私は感じました。
これらの社債を参考にして株式に関して言いますと、現在の証券制度においては、実は、各々の会社の
事業継続期間は無期限である(会社に清算期日の定めはない)からこそ、ある銘柄と別の銘柄とを比較することができるのです。
「銘柄間の比較可能性」と関連のあるプレスリリースが東日本旅客鉄道株式会社のウェブサイトにありましたので紹介します↓。
2019年6月12日
東日本旅客鉄道株式会社
投資単位の引下げに関する考え方及び方針等について[PDF/115KB]
ttps://www.jreast.co.jp/press/2019/20190607.pdf
(ウェブサイト上と同じPDFファイル)
私個人の考えでは、ある銘柄と別の銘柄とを比較することが可能であるのは、
両社各々の満了期日が同じ日である場合すなわち両社各々の清算期日が同じ日である場合なのです。
私のこの理解が正しいならば、皮肉なことに、ある銘柄と別の銘柄とを比較することが可能であるのは、
両社において満了期日が定められていない場合のみすなわち両社はそれぞれの事業を無期限に営み続ける場合のみ、
ということになります。
1893年当時のような初期の証券制度においては、ある銘柄はどの銘柄とも比較をすることが不可能でした。
なぜならば、ある会社の満了期日は別の会社の満了期日とは異なっていたからです。
すなわち、1893年当時のような初期の証券制度においては、現在の証券制度とは異なり、
いわゆる銘柄間の「比較可能性」というのは一切考慮に入れられていなかったのです。
初期の証券制度においては、1893年頃の昔の投資家達はある銘柄と別の銘柄とを比較するということは一切していませんでした。
当時の投資家達は各株式の本源的価値を個別的に算定することによって投資判断を行っていただけなのです。
簡単に言えば、初期の証券制度においては、ある銘柄は別の銘柄とは完全に独立していたのです。
現在の証券制度においては、実は、各々の会社の事業継続期間は無期限であるからこそ、
ある銘柄と別の銘柄とを比較することができるのです。
In order for a "comparability" between brands to be secured,
an investment
unit (the amount of an investment) should be narrowed down to a specific limited
range.
銘柄間の「比較可能性」を担保するためには、投資単位(投資金額)をある一定の狭い範囲に限定しなければならないのです。