2019年6月22日(土)



2019年6月22日(土)日本経済新聞
シャープ 優先株970億円分消却
(記事)



2019年6月21日
シャープ株式会社
自己株式(A種種類株式)の取得(会社法第459条第1項の規定による定款の定めに基づく自己株式の取得)
に係る事項の決定及び自己株式(A種種類株式)の消却について
ttps://corporate.jp.sharp/corporate/ir/pdf/2019/190621-1.pdf

(ウェブサイト上と同じPDFファイル)




2019年6月22日(土)日本経済新聞
ワールド、議案修正 26日総会 取締役賞与支給で
(記事)


2019年6月21日
株式会社ワールド
賞与支給議案の変更に関するお知らせ
ttps://ssl4.eir-parts.net/doc/3612/tdnet/1723489/00.pdf

(ウェブサイト上と同じPDFファイル)




2018年12月18日(火)のコメントで、ソフトバンク株式会社の上場に関する記事を計26本紹介し、
「有価証券の上場には4つのパターンがある。」という資料を作成し、以降、集中的に証券制度について考察を行っているのだが、
2018年12月18日(火)から昨日までの各コメントの要約付きのリンクをまとめたページ(昨日現在、合計186日間のコメント)。↓

各コメントの要約付きの過去のリンク(2018年12月18日(火)〜2019年4月30日(火))
http://citizen.nobody.jp/html/201902/PastLinksWithASummaryOfEachComment.html

各コメントの要約付きの過去のリンク その2(2019年5月1日(水)〜)
http://citizen2.nobody.jp/html/201905/PastLinksWithASummaryOfEachComment2.html

 

 


【コメント】
シャープ株式会社は、2019年6月21日に自己株式(A種種類株式)の取得を実施した、とのことです。
以前も書きましたが、株主総会招集通知の発送後は、株主総会が終結するまで、
会社は情報の発信を最大限行わないようにしなければなりません。
シャープ株式会社の定時株主総会の開催日は2019年6月25日(火曜日)です。
シャープ株式会社が情報を発信するのは、定時株主総会が終結した後の2019年6月26日(水曜日)以降にするべきなのです。
また、株主総会招集通知には記載はしていないもの、株主総会後の各会社機関の人員(例えば、○○委員会の委員等)を
株主総会招集通知の発送後に発表している会社もあります。
確かに、誰が会社の代表者になるのかや誰が各委員会の委員になるのかは株主としては気になるところではありますし、
理論的には会社の代表者や業務の執行者や各委員会の委員は株主自身が株主総会の場で決めるべきことであるように思います。
ただ、一旦発送した株主総会招集通知にはそれらの人選については記載していないということであるならば、
やはり会社は株主総会が終結するまで各種の人事案等についても発表を行わないようにしなければならないと思います。
株主総会当日に議決権行使の修正は実務上できるのだとは思いますが、株主総会に出席はしないからこそ事前投票を行った
という株主もいるわけです(会社からの情報発信を受けて議決権行使を変更しようと思っても現実には難しい部分がある)。
事前投票を行う株主は実務上は極めて多い(全株主の90パーセント超)ということを鑑みれば、
一旦発送した株主総会招集通知の内容は一切変更できない、と考えなければならないのです。
それから、株式会社ワールドの事例は、記事を読んでもプレスリースを読んでも話が滅茶苦茶だなと思いました。
記事には次のように書かれています。

>株主には修正前の議案で招集通知を発送したため、総会当日に修正動議を出したうえで賛否を諮る。

>修正前の議案にすでに郵送で賛否を投票した株主もいる。

また、プレスリリース「賞与支給議案の変更に関するお知らせ」には次のような記述があります↓。

3. 本定時株主総会での対応について
(2/2ページ)

記事を読んでもプレスリリースに記載されている説明を読んでも、意味がよく分からないように思います。
現実には、当日に株主総会に出席をして決議に参加をする株主というのは全株主の1割にも満たないわけです。
仮にプレスリリースに記載されている説明の通りの取り扱いがなされるとすると、
第6号議案「取締役賞与の支給の件」に対しては現実には「賛成」票はほとんど0パーセントになってしまうと思います。
株式会社ワールドでは、事前投票を行う株主が非常に少なく当日に株主総会に出席をして投票を行う株主が非常に多い、
ということであれば「賛成」票が過半数に達することは論理的にはあり得ますが、現実には事前投票が9割といったところでしょう。
わざわざ修正動議だなどと言っていますが、この修正動議は実際には現時点で既に否決が確定してると言わねばならないでしょう。
結論を一言で言えば、誰も株主総会に動議を提出することはできない(明らかに法手続きに瑕疵があることになる)のです。
株式会社ワールドは衣服の製造・販売を手掛けています。
衣服のことは英語で"apparel"(「アパレル」)といいます。
衣服の製造と関連のある英単語になりますが、"sew"という言葉があり、
"sew"とは「〈衣服・靴などを〉縫って作る」という意味です。
仮に株式会社ワールドが2019年6月26日(水曜日)に開催される定時株主総会において修正動議を提出すると、
株主総会に出席している株主達は「総異議("sewing")」(全てに反対だ。)と言って暴れる("apparel")ことでしょう。

 

 


Each voter must make a vote under the same conditions.
Even a candidate for an assembly is comprehensively prohibited from dispatching his message
from an official announcement day till the end of a voting day by the Public Officers Election Act.
After an official announcement day, he can make a contact with the electorate
only by means of several limited stated media such as a speech made on a street corner,
a joint meeting for campaign speeches by rival candidates, a candidate's election broadcast on a television,
a bill given out to each household, and, not to mention, a poster put up on a billboard, etc.

有権者1人1人は皆同一の条件で投票を行わねばならないのです。
議会への立候補者でさえ、公示日から投票日が終わるまでは
公職選挙法によりメッセージを発信することが全面的に禁止されています。
公示日後は、立候補者は、街頭演説と立会演説会と政見放送と各世帯に配布されるビラと、
そして言うまでもなく、掲示板に貼られるポスター等といったいくつかの制限された所定の手段を通じてしか
有権者と接触を図ることができないのです。

 

A company should not disclose a result of a voting before a meeting of shareholders
even if the result is definite only by prevotes.
That would constitute an invasion of a right to vote of a shareholder.
If the Japanese people resident abroad are under a situation that they can't exercise their right to vote
at an election of a national assembly or a prefectural assembly or a city assembly in Japan,
some officers of an election administration commission must visit each of them with voting papers and a ballot box
so that they can exercise their right to vote even abroad.

たとえ事前投票だけでその結果が確定しているとしても、会社は株主総会の前に投票の結果を開示するべきではないのです。
もしそんなことをすれば株主の議決権を侵害していることになるでしょう。
仮に外国に居住している日本国民が国会議員や県議会議員や市議会議員の選挙の際に投票を行うことができない状態にある
という場合は、それら外国に居住している日本国民が外国にいても投票を行うことができるように、
選挙管理委員会の職員が投票用紙と投票箱を持って1人1人のもとを訪問しなければならないのです。

 

No person can bring forward what you call a "motion" at a meeting of shareholders.
In practice, more than 90 percent of the shareholders exercise their voting rights by prevotes.
No shareholder exercises his voting right thinking that a "motion" will be brought forward afterward.

株主総会においていわゆる「動議」を提出することは誰にもできません。
実務上は、株主の90パーセント以上は事前投票により議決権を行使しています。
後で「動議」が提出されるだろうと考えながら議決権を行使する株主は1人もいないのです。