2019年6月15日(土)



2019年6月13日(木)日本経済新聞
米、GAFA規制新解釈 競合買収、反トラスト法違反も
(記事)




2019年6月13日(木)日本経済新聞
独占の弊害、幅広く監視 米「IT巨人の時代」に対応
(記事)



「ゼミナール 金融商品取引法」 大崎貞和 宍戸善一 著 (日本経済新聞出版社)

第14章 規制の実効性確保 パブリック・エンフォースメントとプライベート・エンフォースメント
「360〜361ページ」 

1. 公的機関によるパブリック・エンフォースメント
(2) 課徴金制度
「364〜367ページ」

図14-1 課徴金制度の仕組
「365ページ」

(3) 刑事罰
「367〜368ページ」 


 


2018年12月18日(火)のコメントで、ソフトバンク株式会社の上場に関する記事を計26本紹介し、
「有価証券の上場には4つのパターンがある。」という資料を作成し、以降、集中的に証券制度について考察を行っているのだが、
2018年12月18日(火)から昨日までの各コメントの要約付きのリンクをまとめたページ(昨日現在、合計178日間のコメント)。↓

各コメントの要約付きの過去のリンク(2018年12月18日(火)〜2019年4月30日(火))
http://citizen.nobody.jp/html/201902/PastLinksWithASummaryOfEachComment.html

各コメントの要約付きの過去のリンク その2(2019年5月1日(水)〜)
http://citizen2.nobody.jp/html/201905/PastLinksWithASummaryOfEachComment2.html

 

 


【コメント】
2019年6月4日(火)のコメントと2019年6月5日(水)のコメントで、「司法と行政の境界線というのは現実にはあいまいだ。」
という点について議論をしましたが、今日紹介している2019年6月13日(木)付けの日本経済新聞の記事2本は、
「司法と行政の境界線というのは現実にはあいまいだ。」ということを示す最たる例であるように思います。
「司法と行政の違い」について私が思うところは2019年6月4日(火)のコメントと2019年6月5日(水)のコメントで書きましたので、
これらのコメントを読んでいただければと思います。
紹介している記事について私の考えを書きますと、
「法律を運用することを担う行政機関は、法律の解釈を公表するようにしなければならない。」
となります。
法律の解釈が事前に公表されていなければ、人は法律の守りようがないという場面が現実にあるわけです。
どの法域であれ(全ての法分野において)、各法律の解釈は所管の行政機関により事前に公表されなければならないのです。
それで、今日は、関連する議論の題材として、金融商品取引法の教科書から
「エンフォースメント」(法執行、規制の実効性確保)についての説明をスキャンして紹介しています。
現行の金融商品取引法では、違反行為に対する処罰として主に刑事罰と課徴金制度が規定されているわけですが、
真の意味の「エンフォースメント」(法執行、規制の実効性確保)とは刑事罰と課徴金では実はありません。
真の意味の「エンフォースメント」(法執行、規制の実効性確保)とは、刑事罰と課徴金を強制的に執行することなのです。
当局からの命令や決定だけでは真の意味の「エンフォースメント」(法執行、規制の実効性確保)にはならないのです。
この文脈における「実効性」とは、牽制や抑止や未然防止の意図ではなく、強制力を持った執行なのです。
「実効性」という意味では、命令や決定の次の段階(すなわち「執行」)が実は最も重要なのです。
金融庁長官から納付命令(決定書謄本送達)を受けても、課徴金が納付されなければ「絵に描いた餅」にすぎません。
現実の社会では、納付命令や収監命令を当局が発出するだけで、
すべての関係者(違反者)がそれらを自発的に遵守してくれる(決定に服してくれる)ことなど到底望めないのです。
真の意味の「エンフォースメント」(法執行、規制の実効性確保)とは、一言で言えば強制することなのです。
簡単に言えば、罰則を定めた規定だけでは意味がない(罰則規定だけでは「エンフォースメント」にならない)のです。


Court (a pure judging organ) doesn't have a means to make an enforcement,
whereas the authorities concerned (an administrative organ) do have and must have.

裁判所(純粋な審理機関)には法執行を行う手段がないのですが、
関係当局(行政機関)には法執行を行う手段がありますしさらにはなければならないのです。


The true meaning of the term "enforcement" is not deciding details of a penalty
but compulsorily imprisoning an offender and compulsorily collecting a fine from an offender.
The term "enforcement" doesn't mean an imprisonment order itself nor a payment order itself.
The term "enforcement" truly means the following stage of an order (a decision, a judgement).

「法執行」という用語の真の意味は、量刑の詳細を決定することではなく、
違反者を強制的に収監することや違反者から強制的に罰金を徴収することなのです。
「法執行」という用語は、収監命令そのものを意味するわけではありませんし納付命令そのものを意味するわけではありません。
「法執行」という用語は、命令(決定、判決)の次の段階を真に意味しているのです。