2019年6月5日(水)



2019年5月16日(木)日本経済新聞
カーナビ NHK契約義務 東京地裁 テレビ持たない女性に
(記事)




2019年5月22日(水)日本経済新聞
新興企業の青田買い防ぐ 買収審査 金額も対象 公取委、GAFA念頭
(記事)




2019年6月5日(水)日本経済新聞
後発薬カルテル 課徴金 公取委命令 山形の製薬会社に 日本ケミファ処分見送り
(記事)




Trial on merges and acquisitions.

合併や買収に関する審査

 

An administrative organ judges, too.

行政機関もまた判断を下すのです。

 


2018年12月18日(火)のコメントで、ソフトバンク株式会社の上場に関する記事を計26本紹介し、
「有価証券の上場には4つのパターンがある。」という資料を作成し、以降、集中的に証券制度について考察を行っているのだが、
2018年12月18日(火)から昨日までの各コメントの要約付きのリンクをまとめたページ(昨日現在、合計169日間のコメント)。↓

各コメントの要約付きの過去のリンク(2018年12月18日(火)〜2019年4月30日(火))
http://citizen.nobody.jp/html/201902/PastLinksWithASummaryOfEachComment.html

各コメントの要約付きの過去のリンク その2(2019年5月1日(水)〜)
http://citizen2.nobody.jp/html/201905/PastLinksWithASummaryOfEachComment2.html

 

 



【コメント】
裁判や行政機関による審査に関する記事を3本紹介していますが、昨日のコメントに一言だけ追記を行いたいと思います。
昨日は「司法と行政の境界線というのは現実にはあいまいだ。」という点から議論を開始したわけですが、
今日紹介している記事と昨日紹介した記事等を題材にして、「裁決を行う機関」をまとめますと以下のようになります。

2019年5月16日(木)の日本経済新聞の記事(放送法)における裁決機関 → 裁判所
2019年5月22日(水)日本経済新聞の記事(企業買収)における裁決機関 → 公正取引委員会
2019年6月5日(水)日本経済新聞の記事(カルテル)における裁決機関 → 公正取引委員会
投資法人における投資主総会の招集の審理・決定を行う裁決機関 → 財務局
株式会社における株主総会の招集の審理・決定を行う裁決機関 → 裁判所
道路交通法違反か否かについて審理・決定を行う裁決機関 → 警察
刑法違反か否かについて審理・決定を行う裁決機関 → 裁判所
ある出願が特許法に基づく発明(特許権)か否かについて審理・決定を行う裁決機関 → 特許庁

申請や申し立てを受けて審査と決定を行う国の機関というのは細かく見ていくと他にもあると思います。
極端なことを言えば、種々の登記申請の際も、法務局の登記官は申請書類を見て登記を認めるか否かを暗に審査しているわけです。
ただ単に、申請書類に不備や問題がなければそのまま登記がなされる(登記が認められる)、というだけなのです。
登記を行うのに裁判所の審理・決定が必要だ、などという考え方はないわけです。
すなわち、率直に言えば、いわゆる行政機関(行政府)も、大なり小なり審査や判断や決定は行っているわけです。
このように考えていきますと、三権分立における裁判所(司法府)の位置付けに絶対的な・唯一つに決まる答えがあるわけではない、
ということに改めて気付かされます。
昨日も書きましたが、「条文に書かれていないこと」に関して審理を行い判決を下すのが裁判所(司法府)である気すらします。
以前も書きましたが、独占禁止法に最も詳しい審理官が公正取引委員会の職員であり、
特許法に最も詳しい審理官が特許庁の職員であり、刑法に最も詳しい審理官が警察の職員(警察官)であり、
証券投資信託や投資法人や証券投資に関連する法律に最も詳しい審理官が財務局(金融庁)の職員である、
という考え方はあると思います。
また、投資法人における投資主総会の招集の審理・決定を行う裁決機関について調べていて今ふと気が付いたのですが、
株式会社における株主総会の招集の審理・決定を行うのは、会社法に最も詳しい審理官である法務局(法務省)の職員である、
という考え方に法理論上はなるなと思いました(つまり、投資法人は上場や公募が制度上の前提だと整理されているのでしょう)。
そして、上場企業(株式会社)における株主総会の招集の審理・決定を行うのは、実は法務局(法務省)の職員ではなく、
金融商品取引法に最も詳しい審理官である財務局(金融庁)の職員である、と法理論上は整理されると思います。
つまり、株式会社における株主総会の招集の審理・決定を行う裁決機関は、非上場企業の場合は法務局、
上場企業の場合は財務局、と法理論上は整理されると思います。
以上見ましたように、審理や決定は裁判官の専売特許では決してない、と考えるべきなのだと思います。
教科書に書かれている「三権分立」とはやや異なりますが、各行政機関(行政府)は所管している事柄に関しては
積極的かつ排他的に(裁判所とは無関係に)審理や決定を行う、というふうに三権を再定義するべきではないかと思いました。
昨日も書きましたし今日も書きましたが、裁判所とは「条文に書かれていないこと」に関して審理を行い判決を下す機関である、
というふうに裁判所を再定義するべきではないかと思いました。
「法と道徳」という言葉がありますように、最後の最後は裁判所は「道徳」を根拠に審理と決定をするのがその役割である、
というふうに裁判所を再定義するべきではないかと思いました。


 


今日紹介している記事と昨日紹介した記事等を題材にして、一言だけ書きたいと思います。
まず、今日紹介している2019年5月16日(木)付けの日本経済新聞の記事についてです。
「自家用車に設置しているワンセグ機能付きカーナビはテレビ放送を受信する設備か否か?」
については条文には書かれていないわけです。
つまり、この事例でも、「条文に書かれていないこと」に関して争われたと言っていいわけです。
争点になっている事柄については条文に明文の規定はないものの、
最も近いと考えられる条文(放送法)を争点の具(手段)として、当事者双方が主張し合ったわけです。
この裁判では、その争点として、
原告は「自家用車に設置しているワンセグ機能付きカーナビはテレビ放送を受信する設備ではない。」と主張し、
被告は「自家用車に設置しているワンセグ機能付きカーナビはテレビ放送を受信する設備である。」と主張したわけです。
改めて考えてみますと、双方の主張に条文の規定は関係がない(法的根拠がない主張、法律とは関係がない主張)わけです。
すなわち、「自家用車に設置しているワンセグ機能付きカーナビはテレビ放送を受信する設備か否か?」という問いに、
絶対的な答え(つまり、法律上の答え、条文の規定上の答え)は始めからないわけです。
むしろ、その問いに絶対的な答え(つまり、法律上の答え、条文の規定上の答え)がないからこそ、
ある意味裁判になる(つまり、法の規定がないから、見解の食い違いや争いが生じる)のではないでしょうか。
裁判所は、やはり、最後の最後は必然的に常識や道徳を根拠に審理と決定をすることになると思います。
常識や道徳というのは、より法律に関連する分野では、"justice"(正義、公平)という意味合いに近いと思います。
"justice"(正義、公平)の根拠・背景・基底には常識や道徳がある、と言えばいいでしょうか。
昨日と今日私が提唱している新しい定義における裁判所(司法府)では、結果として(条文そのものは争点になりませんので)、
法ではなく、"justice"(正義、公平)や常識や道徳を根拠に審理と決定を行っていくことになると思います。
次に、昨日紹介した2019年6月4日(火)付けの日本経済新聞の記事についてです。
意外に思うかもしれませんが、道路交通法をどんなに違反しても(どんなに重大な道路交通法違反でも)起訴されたりはしません。
例えば、最高速度違反で人を轢いても、道路交通法違反を理由に起訴されたりはしません。
たとえ酒気帯び運転をしても(そしてさらに酒気帯び運転で人を轢いても)、道路交通法違反を理由に起訴されたりはしません。
道路交通法違反に関する処罰は、警察が科するのみです(つまり、運転手が道路交通法違反で刑務所に入ることはないわけです)。
運転手が起訴されるのは、結局のところは道路交通法違反ではなく刑法違反が理由になります。
酒気帯び運転や人を轢いた場合は、道路交通法違反ではなく、刑法違反を理由に起訴されます(そしてその処罰も刑法が根拠)。
ただ、現行の道路交通法の条文を見てみますと、「○年以下の懲役又は○円以下の罰金に処する。」という文言もあります。
現行の道路交通法の規定では、一部の事柄については道路交通法違反を理由に起訴される、ということのようです。
記事の内容についてですが、道路交通法の「第百三十条(反則者に係る刑事事件)」に規定がある事柄のようです。
反則者が反則金の納付の書面の受領を拒んだ時は当該反則行為に係る事件について公訴を提起される、との規定がありますので、
反則者が書面の受領を拒んだ後に一転して受領を求めても拒んだ時点で公訴を提起される、と解釈する方が自然だと思います。
それから、関連する話になりますが、記事には次のように書かれています。

>道交法によると、反則切符の受け取りを拒否すれば、納付の通告ができないため起訴される。

運転手が道路交通法に違反をして警察官から反則切符(青切符)を渡された時に反則切符の受け取りを拒否した場合は、
運転手(反則者)は「公務執行妨害」の罪になります(つまり、刑法違反を理由に文字通り運転手は現行犯逮捕されます)。
反則金の納付を反則者に通告することがその時警察官が行うべき公務なのですから、
運転手はその公務の執行を妨害していることになるのです。