2019年5月31日(金)



2019年5月31日(金)日本経済新聞
LXIL対立 「速やかに解消を」 会社提案の取締役候補ら
(記事)




2019年5月30日
株式会社LIXILグループ
社外取締役候補者による重要メッセージに関するお知らせ
ttps://ssl4.eir-parts.net/doc/5938/announcement2/50465/00.pdf

(ウェブサイト上と同じPDFファイル)





2018年12月18日(火)のコメントで、ソフトバンク株式会社の上場に関する記事を計26本紹介し、
「有価証券の上場には4つのパターンがある。」という資料を作成し、以降、集中的に証券制度について考察を行っているのだが、
2018年12月18日(火)から昨日までの各コメントの要約付きのリンクをまとめたページ(昨日現在、合計164日間のコメント)。↓

各コメントの要約付きの過去のリンク(2018年12月18日(火)〜2019年4月30日(火))
http://citizen.nobody.jp/html/201902/PastLinksWithASummaryOfEachComment.html

各コメントの要約付きの過去のリンク その2(2019年5月1日(水)〜)
http://citizen2.nobody.jp/html/201905/PastLinksWithASummaryOfEachComment2.html

 


【コメント】
株式会社LIXILグループが提案している社外取締役候補者7名が、株式会社LIXILグループを通じて、
「株式会社LIXILグループの経営正常化へ向けた重要メッセージ」を株主や市場の投資家に対して公表しています。
ただ、取締役というのは"individual"な存在ではなく、あくまでも取締役会の構成員全員で1つの意思決定機関・意思表示機関です。
つまり、候補者の一部のメンバーだけで意見を表明しても意味はないわけです(残りのメンバーとは意思疎通がないのか、と)。
株主や市場の投資家に「取締役の候補者はバラバラだ(一体性がない)。」、という悪い印象を与えるだけだと私は思いました。


Constituents of a board of directors are all in the same boat
or share a fate of a resolution of a board of directors in a true sense.

取締役会の構成員は皆、一蓮托生なのです。
すなわち、取締役会の構成員は皆、取締役会決議の成り行きを真の意味で共有しているのです。

 

 


2019年5月31日(金)日本経済新聞
政策保有株 売り広がる 東証の統治指針改定で カゴメや資生堂など
株式持ち合い 企業統治の「穴」に
(記事)




2018年6月1日
東京証券取引所
改訂コーポレートガバナンス・コードの公表
ttps://www.jpx.co.jp/news/1020/20180601.html

コーポレートガバナンス・コード(2018年6月版)
【原則1-4. 政策保有株式】
(7/24ページ)

コーポレートガバナンス・コード(改訂前からの変更点)
【原則1-4. いわゆる政策保有株式】
(7/24ページ)

 



「ゼミナール 金融商品取引法」 大崎貞和 宍戸善一 著 (日本経済新聞出版社)

第6章 敵対的企業買収と防衛策
5. 株式相互持合い
「187ページ」 

「188〜189ページ」 

 

 


【コメント】
上場企業が保有する政策保有株式を売却する動きが活発になっているという記事を紹介しています。
記事を一読して気になったことがありますので、その点について一言だけ書きたいのですが、まず記事の冒頭部分を引用します。

>上場企業が取引先との関係維持などを目的とした政策保有株式の圧縮に動いている。カゴメや資生堂などが2018年度に売却した。
>投資家からの批判に加え、東京証券取引所などによる18年6月の企業統治指針(コーポレートガバナンス・コード)の改定で
>保有圧縮を求めたことが企業の背中を押している。「モノいわぬ株主」の減少は企業統治の向上や市場の効率化につながりそうだ。

私は以前も、会社の保有資産の売却について企業統治指針(コーポレートガバナンス・コード)で指針を定めるのはおかしい、
というようなことを書いたことがありますが、この記事を読んで改めてこの指針はおかしいと思いました。
この記事を読んで私が気になったのは、特に「政策保有株式」の売却を推奨している、という点です。
「政策保有株式」という用語に関しては厳密な定義があるわけではないようですが、
基本的には業務上の取引関係を中心にした持ち合い株式や取引先企業の株式のことを指すのだと思います。
私が今日気になった(つまり、記事を読んで私の頭に思い浮かんだ)のは、「純投資」という用語です。
一般的には、「投資利回りの最大化のみを追及する証券投資」のことを「純投資」と呼び、
「純投資」を行う株主(「投資利回りの最大化のみを追及する株主」)のことを「純粋株主」と呼ぶのだと思います。
簡単に言うと、「株式の政策保有」の対義語・反意語が「純投資」であると私は思うわけですが、
「株式の政策保有」というのは業務提携や取引継続といった明確な目的があって行われていることだと私は思うわけです。
何が言いたいかというと、企業統治指針(コーポレートガバナンス・コード)が発行者に対し保有圧縮を求めるべき銘柄は、
「政策保有株式」ではなく「純投資」である、ということです。
企業というのは、実物資産に投資をし(つまり、設備投資を行い棚卸資産を仕入れ)日々事業を営む存在です。
つまり、投資効率を意識せず資産の有効活用の妨げになっているのは、「政策保有株式」ではなく「純投資」だと言えるのです。
証券投資という大きな観点から見ても、証券投資を行うのは個人を中心とした投資家であって企業ではないわけです。
企業が投資利回りの最大化のみを目的に株式を保有することは、証券市場としても健全ではないと私は思います。
また、記事では「株式の政策保有」を行っている株主のことを「モノいわぬ株主」と表現していますが、それは逆でしょう。
企業は、「株式の政策保有」を通じて、出資先企業と事業運営に関する協議を積極的・主体的・直接的に行います。
いわゆるアクティビストとは全く異なりますが、企業は業務提携や取引継続といった点に関連して出資先企業に物を言うわけです。
一言で言えば、企業は成長投資を継続せねばならないのに、証券制度が業務提携や取引を縮減させてどうするのでしょうか。
仮に証券制度が発行者に対し保有の縮減を要求するならば、市場の効率化という点から言っても、それは「純投資」銘柄なのです。


In my personal feeling, it is not shares of a political holding but shares of a pure investment
that the securities sysytem should recommend an issuer to sell, I suppose.
For example, a shareholder which is in a business alliance with an issuer directly talks to its investee
concerning each other's operations.
That is to say, the fact that a shareholder holds some of a company's stock is
exactly the ground that it qualifies itself to talk to its investee.

私の個人的な感覚では、証券制度が発行者に対し売却することを推奨するべきなのは、
政策保有の株式ではなく純投資の株式なのだと思います。
例えば、発行者と業務提携を行っている株主は、お互いの業務に関して投資先に直接的に物を言います。
すなわち、会社の株式を幾分か保有しているということが、株主が投資先に物を言う資格があるとするまさに根拠なのです。