2019年5月28日(火)


2019年5月28日(火)日本経済新聞 大機小機
社外監査役に期待されること
(記事)


 

2018年12月18日(火)のコメントで、ソフトバンク株式会社の上場に関する記事を計26本紹介し、
「有価証券の上場には4つのパターンがある。」という資料を作成し、以降、集中的に証券制度について考察を行っているのだが、
2018年12月18日(火)から昨日までの各コメントの要約付きのリンクをまとめたページ(昨日現在、合計161日間のコメント)。↓

各コメントの要約付きの過去のリンク(2018年12月18日(火)〜2019年4月30日(火))
http://citizen.nobody.jp/html/201902/PastLinksWithASummaryOfEachComment.html

各コメントの要約付きの過去のリンク その2(2019年5月1日(水)〜)
http://citizen2.nobody.jp/html/201905/PastLinksWithASummaryOfEachComment2.html

 

 



【コメント】
昨日のコメントを踏まえた上で、経営の監視・監督役について今日も一言だけ書きたいと思います。
紹介している記事を1つの題材にしたいのですが、記事には監査役に期待される役割について、次のように書かれています。

>監査役は会計監査と業務監査を通して業務執行を調べ、違法や不当な行為があれば阻止・是正することが職務だ。

2019年5月26日(日)のコメントで書きましたように、監査役に求められるのは、業務執行や業界知識や経営上の助言ではなく、
いい意味でのプレッシャーを取締役にかけることだと私は思います。
第三者委員会の調査のように、調査の結果違法や不当な行為を判明させるということが監査役の役割なのではなく、
違法や不当な行為を最大限「未然に防ぐこと」が監査役の役割だと私は思います。
また、記事に書かれていることとは正反対に、監査役に求められているのは経営の視点からの実態把握などではないと私は思います。
むしろ、経営や経営者(取締役)の視点とは異なる視点から業務執行を見ることが、監査役には求められると私は思います。
経営者(取締役)は会社の利益の最大化という観点から業務執行を行いますが、
監査役は会社の損失の最小化といった観点から業務執行を監督することが求められると私は思います。
経営用語を用いて表現すれば、
経営者(取締役)は「オペレーションズ・マネジメント」に重点を置いて業務執行を行いますが、
監査役は「リスク・マネジメント」に重点を置いて業務執行を監督することが求められると私は思います。
自動車で例えるならば、経営者(取締役)はアクセル、監査役はブレーキといったところでしょうか。
例えば、日本の証券制度上、1966年以前の公認会計士は、独立した立場から監査を行うのではなく、
会社に常駐して自分自身が財務諸表を作成するということをしていたわけです。
この証券制度(監査制度ではない証券制度)を参考にしますと、
監査役は監査を通じて業務執行を調べるということをするのではなく、
「常に取締役に付き添い取締役が行う日々の業務執行に立ち会う。」、という監督方法が観念できると思います。
取締役1人につき監査役1人(もしくは1人以上)が業務執行の監督担当者として付き人になるわけです。
紹介している記事のタイトルに「社外監査役」と書かれてあるわけですが、その職務として監査役はむしろ常に社内に常駐する、
ということが求められると思います(もちろん、取締役が業務執行上社外に出かける時は付き添って社外に出かけますが)。
上記の監督方法を実現するためには、少なくとも「取締役の人数<監査役の人数」でなければなりません。
「公認会計士は財務諸表の作成を行うのかそれとも監査を行うのか?」で証券制度上の公認会計士の位置付けが極端に変わるわけですが、
監査役についても同様であり、「監査役は会計監査のみを行うのか取締役の業務執行の監督をも行うのか?」で、
必要となる人員数が大きく異なることになります。
そして、取締役会の議事録だけではなく、業務執行の結果日々発生する証憑も監査役が常に保管することになります。
実務上の取締役に対する牽制(違法や不当な行為の未然防止)という意味では、上記のような監督方法が求められるでしょう。
また、付き添い・立会い担当監査役と会計監査担当監査役の両方の監査役が会社に常駐するといった具合に、
上記の監督方法では結果として必然的に監査役の人材も多様化することになるでしょう。

 

One idea is that a Company Auditor must always be in a man-to-man attendance on a Director as a matter of his duties.

1つの案は、監査役は職務として常に取締役に1対1で付き添っていなければならない、というものです。