2019年5月25日(土)
「ゼミナール 会社法入門」 岸田雅雄 著 (日本経済新聞出版社)
第2章 株式と株主
T 会社法TODAY
5 株主総会に出席する
株主の提案権と議決権
議決権
1株1議決権の原則
書面による議決権の行使
代理人による議決権行使
委任状争奪戦
書面投票制度と代理行使
電子投票制度
議決権の不統一行使
図表2-10
議決権行使書の例
図表2-11 委任状の例
「136〜137ページ」
2018年12月18日(火)のコメントで、ソフトバンク株式会社の上場に関する記事を計26本紹介し、
「有価証券の上場には4つのパターンがある。」という資料を作成し、以降、集中的に証券制度について考察を行っているのだが、
2018年12月18日(火)から昨日までの各コメントの要約付きのリンクをまとめたページ(昨日現在、合計158日間のコメント)。↓
各コメントの要約付きの過去のリンク(2018年12月18日(火)〜2019年4月30日(火))
http://citizen.nobody.jp/html/201902/PastLinksWithASummaryOfEachComment.html
各コメントの要約付きの過去のリンク その2(2019年5月1日(水)〜)
http://citizen2.nobody.jp/html/201905/PastLinksWithASummaryOfEachComment2.html
【コメント】
昨日のコメントでは、教科書「ゼミナール
金融商品取引法」に書かれていますコラム「委任状勧誘と書面投票」について、
「大部分の記述が間違っている。」と指摘をした上で、添削と言うと僭越ですが、
「正しい考え方はこうなのではないか。」と私が考えるところを書きました。
1日経って昨日書きましたコメントを自分で読み返してみて、昨日私が書きました内容は正しいと改めて思いましたが、
今日になって気が付いたことがありますので、一言だけ追記をしたいと思います。
私は昨日、会社法第298条第2項の条文について次のように書きました。
>率直に言いますと、会社法第298条第2項の条文の意味自体が判然としないところがあるのですが、
今日になって、会社法第298条第2項の条文が言いたいことが分かったように思います。
まず、会社法第298条の関連箇所を要約して紹介します。
会社法第二百九十八条(株主総会の招集の決定)の要約
第1項 取締役は、株主総会を招集する場合には、次に掲げる事項を定めなければならない。
第1項第3号 株主総会に出席しない株主が書面によって議決権を行使することができることとするときは、その旨
第2項 取締役は、株主の数が千人以上である場合には、「第1項第3号」に掲げる事項を定めなければならない。
結論を言いますと、会社法第298条第2項の条文が意味するところは、
「取締役は、『株主は書面によっても議決権を行使することができる。』と定めなければならない。」
ということだと私は思います。
コラムの記述内容とは異なり、株主の数が1,000人以上の場合は会社には書面投票制度が義務付けられている
というわけでは全くないのですが、会社法第298条第2項の条文が定めたい事柄というのは、
「株主の数が1,000人以上の場合は、株主本人による議決権行使に加え、会社は書面投票制度を追加的に導入しなければならない。」
ということなのだと私は思います(株主数の多さを鑑みて、書面による議決権行使を必ずできるように制度構築されているのです)。
「株主の数が1,000人以上の場合は、株主が『書面によって』も議決権が行使できるように会社は取り計らわなければならない。」
というのが、会社法第298条第2項の条文の正しい解釈だと私は思います。
株主の数が1,000人以上の場合は、会社法上株主は「書面によって」も議決権が行使できなけれればならないのです。
以上の議論を踏まえ、今日は次のような資料を作成しましたので、理解のヒントにしていただければと思います。
Chart concerning exercising a voting right.
(議決権行使に関する表)
「PDFファイル」
「キャプチャー画像」
株主の立場から言えば、議決権を行使する方法は4つあります。
第1の方法は株主「本人が」議決権を行使することであり、第2の方法は株主が「書面によって」議決権を行使することであり、
第3の方法は株主が「電磁的方法によって」議決権を行使することであり、
第4の方法は株主「代理人によって」議決権を行使することです。
In case the number of shareholders is one thousand or more,
a company
"must" provide a method how a shareholder exercises his voting right "in
writing."
But, a shareholder is at liberty not to choose the method
nonetheless.
That is to say, a shareholder can exercise his voting right "in
person"
even in case the number of shareholders is one thousand or more.
株主の数が1,000人以上である場合には、会社は株主が「書面によって」議決権を行使する方法を提供「しなければなりません」。
しかし、株主はそれでもなおその方法を選択しないことが自由にできます。
すなわち、たとえ株主の数が1,000人以上である場合であっても、株主は「本人が」議決権を行使することができるのです。
A company's legal obligation to provide methods of a shareholder's exercising
his voting right
and a shareholder's practical choice of his exercising his
voting right
in case the number of shareholders is one thousand or more.
株主の数が1,000人以上である場合における、株主が議決権を行使するための方法を提供する会社の法律上の義務と
株主が議決権を行使する際の株主の実務上の選択肢
In theory, directors of a company have no choice but to trust each
other
because they are all an equal constituent of a board of directors.
理論的には、会社の取締役達はお互いのことを信頼するしかありません。
なぜならば、会社の取締役達は皆取締役会の平等な構成員だからです。