2019年5月22日(水)



2019年5月14日(火)日本経済新聞
東芝 外国人役員3分の1 物言う株主 影響強く 稼ぎ頭育成 実行力が課題
今期最終損益は未定 LNG売却不透明 営業益は3.9倍
(記事)





2019年5月13日
株式会社東芝
取締役候補者の決定について
ttp://www.toshiba.co.jp/about/press/2019_05/pr_j1301.htm

(上記プレスリリースをPDF出力したファイル)




2019年5月13日
株式会社東芝
役員候補者決定のお知らせ
ttps://www.toshiba.co.jp/about/ir/jp/news/20190513_5.pdf

(ウェブサイト上と同じODFファイル)





2018年12月18日(火)のコメントで、ソフトバンク株式会社の上場に関する記事を計26本紹介し、
「有価証券の上場には4つのパターンがある。」という資料を作成し、以降、集中的に証券制度について考察を行っているのだが、
2018年12月18日(火)から昨日までの各コメントの要約付きのリンクをまとめたページ(昨日現在、合計155日間のコメント)。↓

各コメントの要約付きの過去のリンク(2018年12月18日(火)〜2019年4月30日(火))
http://citizen.nobody.jp/html/201902/PastLinksWithASummaryOfEachComment.html

各コメントの要約付きの過去のリンク その2(2019年5月1日(水)〜)
http://citizen2.nobody.jp/html/201905/PastLinksWithASummaryOfEachComment2.html

 

 



【コメント】
私は昨日、「取締役の候補者を提案する者は、取締役会の全員分の候補者を提案しなければならない。」と書いたわけですが、
昨日書きましたコメントについて説明をしたいのですが、昨日書きました新しく辿り着いた結論というのは、一言で言うならば、

「取締役会の構成員(取締役ら)は一括して(1つの選任議案で)選任されなければならない。」

という趣旨になるわけです。
他の言い方をすれば、「取締役1名につき1選任議案」(取締役の選任を1名毎に採決する)、という考え方は間違いである、
という結論になると私は思うわけです。
昨日書いた結論に関しては、実は私自身何年も前に関連するコメントを書いたことがあったことを今日思い出しましたし、
その後この点について話を聞く機会があったのですが、昨日私が辿り着いた結論は基本的には正しかったようです。
昨日コメントを書き終わった後に頭の中でさらに考察を進めていったのですが、この論点に関しては、個人的発案になりますが、
「取締役というのは"individual"な存在ではない。」という観念(取締役の基礎概念・取締役の捉え方)を考え付きました。
「取締役の本質の1つは"individual"ではないという点である。」という観念に私は辿り着きました。
「取締役は"individual"な存在ではない、だから、取締役を1名だけ選任するということができないのだ。」と私は思います。
「取締役全員で1つの合議体を成す。」(取締役会の構成員が全員そろって初めて取締役会は構成される)という考え方
になりますから、「取締役1名につき1選任議案」(取締役の選任を1名毎に採決する)という考え方は間違いなのです。
一言で言えば、取締役は決して独立してはないのです。
辞書に書かれている意味とは少し異なりますが、"selfless"(己がない)という言葉を思い付きました。
会社においては、取締役というのは、"selfless"な(=自己がない)状態である位置付けであり、
"personally"(=個人として)行動を取ることはできないのです。
「取締役会あっての取締役である。」と考えるべきなのです(それが取締役は取締役会の構成員であることの所以でしょう)。
例えば、物言う株主が「自分自身を(もしくは自分が推薦する候補者を)取締役に就任させよ。」と会社側に要求してくる
ことが実務上ありますが、その考え方は理論的には間違いなのです。
仮にある人物を取締役に就任させたい場合は、「取締役会の構成員全員分(取締役全員分)の候補者を記載した議案」
を物言う株主は作成しないといけないのです(取締役会の一部の人員だけを新たに選任することは理論的にはできないから)。
また、出資比率に応じた取締役の「枠」(人員数、推薦枠、取締役比率)を物言う株主が会社側に要求することが実務上ありますが、
理論的には取締役に「枠」という概念はないのです(取締役にあるのは取締役会だけなのです)。
物言う株主から見ると、取締役の選任というのは"all or nothing"だ(議案が通るか通らないかしかない)と言えるでしょう。
「会社機関の本質」がズバリ書かれてある教科書がありましたので紹介します↓。
”会社の機関とは、その意思表示が会社の意思表示とみなされる存在である。”と書かれています。
取締役に即して言えば、取締役会の意思表示が会社の意思表示なのです(だから、取締役会が会社機関なのです)。
取締役の意思表示は会社の意思表示ではなく、取締役は会社において意思決定や意思表示をすることができないのです。
取締役が会社の機関ではない理由は、取締役は意思決定や意思表示をする存在ではないからなのです。


「ゼミナール 会社法入門」 岸田雅雄 著 (日本経済新聞出版社)
第3章 コーポレート・ガバナンス
T 会社法TODAY
1 コーポレート・ガバナンスの担い手
「184〜185ページ」

 

 


A director of a company is not an "individual" one but a "member" of a board of directors.
A director of a company can never be an "individual" one but is no more than a "constituent" of a board of directors.
Just as a meeting of shareholders is an organ of a company but a shareholder is not an organ of a company,
a board of directors is an organ of a company, whereas a director is not an organ of a company.
In other words, a meeting of shareholders is a decision-making organ of a company but a shareholder himself isn't,
and a board of directors is a decision-making organ of a company but a director himself isn't.
A director himself is not able to make a decision, actually.
A director just fundamentally participates in making a decision at a board of directors.
Directors of a company are not independent of each other and are fundametally dependent on each other, actually.
And, each director of a company is dependent on a board of directors at least in terms of its decision-making.
Once directors make a resolution on a proposal at a board of directors,
each director is regarded as having been in favor of the proposal
notwithstanding the fact that he has been against the proposal.
For the resolution is a will of a board of directors.
A director himself is not able to have a will individually.

会社の取締役というのは、「単一体の(個人的人格・個性を持った)」存在ではなく、取締役会の「一員」なのです。
会社の取締役というのは、「単一体の」存在では決してあり得ず、取締役会の「構成員」に過ぎないのです。
株主総会は会社の機関であるが株主は会社の機関ではないように、
取締役会は会社の機関なのですが、取締役は会社の機関ではないのです。
他の言い方をすれば、株主総会は会社の意思決定機関なのですが、株主自身は会社の意思決定機関ではないのです。
そして、取締役会は会社の意思決定機関なのですが、取締役自身は会社の意思決定機関ではないのです。
実は、取締役自身は意思決定をすることができません。
取締役は、取締役会において本質的に意思決定に参加するだけなのです。
会社の取締役達は、実は、お互いに独立してはおらず本質的に依存し合っているのです。
そして、会社の取締役1人1人は、少なくともその意思決定に関しては、取締役会に依存・従属しているのです。
取締役会においてある議案について一旦決議を取ったならば、たとえその議案に反対であっても、
どの取締役もその議案に賛成であるものと見なされます。
というのは、その決議は取締役会の意思だからです。
取締役自身は個別的に意思を持つことはできないのです。

 

Literally all of the directors of a company constitute a board of directors.
Each of the directors of a company is essential in order for a board of directors to be constituted.
None of the directors of a company can exist without a board of directors.
For none of the directors is an"individual" one.

会社の取締役の文字通り全員が取締役会を構成するのです。
会社のどの取締役も、取締役会を構成するためには必要不可欠なのです。
会社のどの取締役も、取締役会なしには存在し得ないのです。
なぜならば、会社のどの取締役も「単一体の(個人的人格・個性を持った)」存在ではないからです。