2019年5月19日(日)



2019年5月9日(木)日本経済新聞
東商取の相対取引 10連休は振るわず 初の試みで様子見ムード
(記事)






2018年12月18日(火)のコメントで、ソフトバンク株式会社の上場に関する記事を計26本紹介し、
「有価証券の上場には4つのパターンがある。」という資料を作成し、以降、集中的に証券制度について考察を行っているのだが、
2018年12月18日(火)から昨日までの各コメントの要約付きのリンクをまとめたページ(昨日現在、合計152日間のコメント)。↓

各コメントの要約付きの過去のリンク(2018年12月18日(火)〜2019年4月30日(火))
http://citizen.nobody.jp/html/201902/PastLinksWithASummaryOfEachComment.html

各コメントの要約付きの過去のリンク その2(2019年5月1日(水)〜)
http://citizen2.nobody.jp/html/201905/PastLinksWithASummaryOfEachComment2.html

 

 



【コメント】
紹介している記事を題材(理解のヒント)にして、ちょうどよい機会ですので、「立会場」について概念整理をしてみました。
紹介している記事中の「東京商品取引所」を「東京証券取引所」に、そして、取引する商品全般のことを「株式」と置き換えても、
論じたい議論の本質を全く損ないません(むしろ、より馴染みのある「株式」の方がイメージがわきやすいでしょう)ので、
以下、「株式の取引」を前提にして(物事を「株式」に置き換えて)議論を進めたいと思います。
まず、「立会場」とは「不特定多数の投資家が集まって株式の取引を行う場」であるわけですが、
一般的には「不特定多数の投資家が集まって株式の取引を行う場」のことを「株式市場」と呼んでいるわけです。
しかし、今日紹介している記事では、証券取引所が「投資家が相対取引で株式を売買する場」を提供している、
ということについて書かれています。
記事の内容を踏まえますと、証券取引所が提供している「投資家が株式を売買する場」には、次の2種類があることになります。

@「投資家が市場取引で株式を売買する場」
A「投資家が相対取引で株式を売買する場」

証券取引所が「投資家が市場取引で株式を売買する立会場」と「投資家が相対取引で株式を売買する立会場」
の2種類の「立会場」を提供している(つまり、証券取引所内に「立会場」が2つある)わけですが、
若干イメージが掴みにくいかもしれませんので、これら2種類の「立会場」の概念図を描いてみましたので参考にして下さい↓。

「市場取引」用の立会場=「板」、「相対取引」用の立会場=「ホール」

伝統的な証券制度では「市場取引」用の立会場しかない(投資家は必ず「市場取引」を行わなければならない)わけですが、
投資家の利便性により重点を置いた証券制度では「相対取引」用の立会場を証券取引所や証券会社等が投資家に対し提供する、
ということが考えられます(例えば、未公開株式を不特定多数の投資家間で取引をする場が後者の場であることがあり得ます)。
「相対取引」用の立会場では、自分の注文を掲示した投資家同士が直接に出会い株式の取引を行っていきます。
「市場取引」用の立会場では各注文を「板」に集約しますが、「相対取引」用の立会場では特に注文を集約するということはせず、
「相対取引」用の立会場は文字通り投資家と投資家とが物理的に出会う場(言わば「集合場所」)であるわけです。
抽象的に言えば、「市場取引」は"price-to-price"、「相対取引」は"man-to-man"という相違点があると表現できるでしょう。


There are two types of trading floor.
In the abstract, a trading floor for a "market trade" use is a "board,"
and a trading floor for a "counter trade" use is a "hall."

立会場には2種類あります。
抽象的に言えば、「市場取引」用の立会場は「板」であり、「相対取引」用の立会場は「ホール」なのです。


Orders are agreed with each other on a "board" or through "placed prices" only in case of a "market trade,"
whereas orders are agreed with each other in a "hall" or "between investors" in case of a "counter trade,"

「市場取引」では注文は「板」ですなわち「指値」のみを通じて約定する一方、
「相対取引」では注文は「ホール」ですなわち「投資家間」で約定する。