2019年5月9日(木)


2019年5月8日(水)日本経済新聞
外国人留学生ら 帰国時に換金 口座売買 銀行対策急ぐ
(記事)



2018年12月18日(火)のコメントで、ソフトバンク株式会社の上場に関する記事を計26本紹介し、
「有価証券の上場には4つのパターンがある。」という資料を作成し、以降、集中的に証券制度について考察を行っているのだが、
2018年12月18日(火)から昨日までの各コメントの要約付きのリンクをまとめたページ(昨日現在、合計142日間のコメント)。↓

各コメントの要約付きの過去のリンク(2018年12月18日(火)〜2019年4月30日(火))
http://citizen.nobody.jp/html/201902/PastLinksWithASummaryOfEachComment.html

各コメントの要約付きの過去のリンク その2(2019年5月1日(水)〜)
http://citizen2.nobody.jp/html/201905/PastLinksWithASummaryOfEachComment2.html

 


【コメント】
昨日のコメントでは、このたびの史上初の10連休について振り返り(総括)を書いたわけですが、
連休明けに複数の銀行でシステム障害が発生したことに関して、連休明けは引き出しが相対的に集中しやすい傾向にあると指摘し、
10連休中に手持ちの現金を使い果たしたので連休明けにATMで現金を下ろすということは十分に想定される、と書きました。
関連のある議論というわけではないのですが、今日は「銀行口座の売買」についての記事を紹介しています。
私は最初は「銀行口座を売買するというのは一体どういう意味なのだろうか?」と思ったのですが、
一預金者としての行動(人が銀行にお金を預けたり引き出したりする状況)を頭に思い浮かべてみますと、
確かに他人名義の口座(他人が開設した口座)を自分の口座であるかのように自由に使うことはできるなと思いました。
要するところ、口座開設時の通帳と印鑑さえあれば、銀行にお金を預け入れることも引き出すこともできるわけなのですから、
他人にお願いをして銀行口座を開設してもらい、通帳と印鑑だけ譲ってもらう、ということ自体は簡単にできると思いました。
「銀行口座の売買」というのは、結局のところは「通帳と印鑑(とキャッシュカード)の売買」を現実には意味するわけです。
たとえ銀行口座の氏名と住所がその銀行口座の実際の使用者とは異なっていても、
銀行にその事実が判明する(口座の名義と実際の使用者とが異なることに銀行が気が付く)ことは通常はありません。
通帳の繰り越しに関しても、以前は口座を開設している支店まで行かなければ預金者は新しい通帳を作成してもらえなかった
のですが、数年前私自身極めて驚いたのですが、今ではなんとATMの機械が自動的に新しい通帳を作成しています。
預け入れもATMで当然できますので、一旦銀行口座を開設すると、今では支店に赴くことも印鑑を使用することも現実にはありません。
現実的対応策としては、「銀行口座の売買」はそもそも法律で禁止されています(罰金や懲役が科せられます)し、
外国人による銀行口座の開設は現実には極めて難しい(審査が厳しい)ようですし、また、
例えば留学生や外国人労働者に関しては、口座開設時には在留カードの提示を求めたり、
在留期間の期限が切れると銀行口座の使用を停止するという対応を銀行は取っているとのことです。
銀行は従来から通帳と印鑑を持っていればその人が預金者本人であると判断していた(預金の引き出しに応じていた)わけですが、
より性悪説に立って考えてみますと、口座の使用の都度銀行は写真付きの身分証明書の提示を預金者に求めるべきなのだと思います。

 

 


2019年3月24日(日)日本経済新聞
受給前の補助金 担保に 中小企業庁が新制度 新興勢、融資受けやすく
(記事)


2019年5月8日(水)日本経済新聞
給与前払いに参入 リコーリース 申請翌日振り込み
(記事)



2019年5月8日
リコーリース株式会社
給与の前払い等に活用できる早期資金化サービス「RiLTA(リルタ)」提供開始について
ttp://pdf.irpocket.com/C8566/FMlK/oFkN/FlId.pdf

(ウェブサイト上と同じPDFファイル)




RiLTAサービスサイトはこちら:
ttps://riln.r-lease.co.jp/rilta/live/service/

 

 



【コメント】
2019年3月24日(日)付けの日本経済新聞の記事と2019年5月8日(水)付けの日本経済新聞の記事を紹介していますが、
この2つの記事は内容が非常によく似ていると思いました。
「将来現金を受け取ることができる権利」(受取債権)を言わば担保として金融機関から現金を借り入れる、
という論点がこの2つの記事の共通点だと私は思いました。
2019年5月8日(水)付けの日本経済新聞の記事を読みますと、リコーリースは関連するシステム(ハードウェアとソフトウェア)だけを
提供する(現金の支払い等にはリコーリースは関与しない)、というふうにも読めますが、それは違うのではないかと思います。
従業員からの申請に基づき従業員に対し現金を振り込むのは、企業(雇用者)ではなく、リコーリースだと私は思います。
そう思ってリコーリースのウェブサイトを見て、プレスリリースを読んでみました。
すると、私の考えは間違いであることが分かりました。
従業員からの申請に基づき従業員に対し現金を振り込むのは、リコーリースではなく、企業(雇用者)であるとのことです。
リコーリースが提供するのは関連するシステム(ハードウェアとソフトウェア)の部分だけのようです。
記事を読んで、リコーリースは「従業員が給料日に企業から給料を受け取る権利」(受取債権)を言わば担保として
企業の従業員に現金を貸し付ける、というサービスを新たに提供するのだろうと私は思ってしまいました。
2019年3月24日(日)付けの日本経済新聞の記事には、
中小企業庁は国の補助金を裏付けに企業が借り入れをできる仕組みを新たに作る、と書かれてあるわけですが、
仮に私の考えの通りだとすると、紹介している2つの記事は取引の構図が非常によく似ていることになるわけです。
間違えてしまった言い訳ではありませんが、率直に言いまして、従業員からの申請に基づき従業員に対し現金を振り込むのは、
企業(雇用者)であるというのは、取引として根本的におかしいと思います。
なぜならば、企業(雇用者)は所定の給料日に給与を支払うことを前提に日々業務を行っているからです。
「給料日前に給与を支払ってくれ。」などと従業員に言われても、日々の資金繰り上企業(雇用者)はその申請に応じ切れません。
給料日前に従業員に現金を手渡すことができるのは、企業(雇用者)ではなく、他の第三者(金融機関等)ということになります。
記事にありますサービスを提供することを考えますと、「将来受け取る給与」(受取債権)を裏付けとして
金融機関等の第三者が従業員に資金を貸し付ける、という方法になると思います。
仮に、貸付ではなく、「給与前払いサービス」を従業員に提供するとするならば、それは、
雇用契約上の「支払期日」の変更に応じるという形で企業(雇用者)が平常通り給与を支払う、ということを意味すると思います。


Concerning a contract, an obligor doesn't have to fulfill his obligation for an obligee till the fixed date, actually.
With regard to the case in this article, the employer (the company) is not legally obliged to pay a salary
to the employee (the worker) till the payment date of the salary stated in the employment contract.
And, what is more, in practice, on the corporate management, a company daily operates its businesses
on the presupposition that it pays salaries to its workers on a fixed date.
That is to say, a company is not able to accept a petition that a salary should be paid to its worker
in advance of a salary date on its cash management from the beginning.

契約に関して言いますと、実は、債務者は所定の期日まで債務者に対し債務を履行する必要はないのです。
この記事の事例に即して言いますと、雇用者(企業)は雇用契約書に記載された給与支払期日までは、
被雇用者(従業員)に対し給与を支払う法律上の義務はないのです。
そして、さらに言えば、実務上のことを言えば、企業経営上は会社は所定の期日に従業員に給与を支払うことを前提に
日々の業務を行っているのです。
すなわち、給料日前に従業員に給与を支払って欲しいという申請を会社が受け入れることは資金管理上始めからできないのです。